31日、翌日に控えたヤマザキナビスコカップ決勝に出場する大分トリニータのペリクレス・シャムスカ監督と高松大樹キャプテン、清水エスパルスの長谷川健太監督と高木守道キャプテンが都内ホテルで記者会見を行なった。激突する両クラブはともに若手主体で、指揮官も同い年の43歳と若い。準決勝では大分が名古屋、清水が鹿島という好調クラブを倒し、勢いづいている。4万5千人以上のサポーターが集まる国立競技場で優勝カップを掲げるのは果たしてどちらのクラブか―――。
(写真:左から大分高松キャプテン、シャムスカ監督、清水・長谷川監督、高木キャプテン)
 今年で15回目を迎えたヤマサキナビスコカップ。明日、国立のピッチに登場するのは、リーグ戦、カップ戦通じて初のタイトル奪取を狙う大分トリニータと、1996年以来12年ぶりのナビスコカップ制覇を目論む清水エスパルスだ。

 会見の冒頭、シャムスカ監督は「トリニータの選手、サポーター、関係者を含めた“トリニータファミリー”の夢である決勝に進むことができた。我々にとってだけでなく、九州のクラブにとって初めてのタイトルを獲得するチャンスだ。長年の夢をかなえたいと思っている」と、初優勝へむけて意気込みを語った。

 対して長谷川監督は「ナビスコカップは予選からタイトルを獲るために戦ってきた。明日は戦うことが目的ではなく、勝つことが目的だ。大分には決勝を楽しんでもらって、結果はわがエスパルスがいただきたいと思っています」と、シャムスカ監督を挑発するようなコメントを口にした。

 大分はカップ戦を含めた最近10試合で5勝3敗2分け。Jリーグでは4位と年間王者を狙える位置につけている。ここ5試合では3敗を喫し、17戦無敗(カップ戦を含む)を誇った時期の勢いはなくなってはいるが、日本代表にも選出されているDF森重真人を中心にリーグ最小失点の堅守を誇っている。対する清水は現在リーグ戦3連勝中。その3試合では10得点と波に乗っている。チームの中心はこちらも代表に招集されているFW岡崎慎司。両キーマンともに北京五輪を経験した若い選手がクラブを引っ張る。

 今年のJリーグでの直接対決は、大分の1勝1分け。2試合合計で両クラブ合わせ7ゴールが生まれる打ち合いになっている。「守備の大分、攻撃の清水」というイメージがあるが、大分・清水の直接対決に限っては両者とも攻撃力を存分に発揮できる組み合わせとなる。明日も決勝の舞台にふさわしい激しい戦いを期待したい。

 注目の決勝戦は13:35、東京・国立競技場でキックオフする。

 また記者会見の後にはヤマザキナビスコカップ決勝前夜祭が開かれ、その中で今年度のニューヒーロー賞が発表された。この賞は予選リーグと決勝トーナメントを通じて活躍が顕著だった23歳以下の選手に贈られている。過去には名波浩(96年、磐田)、高原直泰(98年、磐田)、長谷部誠(04年、浦和)など、後の日本代表で中心となる選手が受賞してきた。

 今年の受賞者は大分の19歳、MF金崎夢生だ。今年のオールスターサッカーにも選出された、将来有望な大型ゲームメーカーだ。金崎は受賞インタビューで「受賞できたのはチームメイトや周りのみなさんのおかげ。ナビスコカップではまだ点を決めていないので、明日の決勝ではゴールを決めて新しい歴史を作りたい」と答え、大分まで優勝カップを持ち帰ることを力強く誓った。