5日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦が行われた。ガンバ大阪がホームにアデレード・ユナイテッド(オーストラリア)を迎えた試合は、前半37分、ルーカスの得点で先制したガンバは、その後も遠藤、安田が効果的に得点を挙げ3−0で完勝した。

 アデレードを完封、12日のアウェー戦へ(万博)
ガンバ大阪 3−0 アデレード・ユナイテッド
【得点】
[G大阪]ルーカス(37分)、遠藤保仁(43分)、安田理大(67分)
 ガンバはこれまでグループリーグから7勝3分とACLで無敗を誇っている。日本勢対決となった準決勝では浦和レッズを2戦合計4−1で下し、クラブ初のアジア王者の座へ王手をかけた。Jリーグでも最近5試合で3勝1敗1分と調子も上々だ。

 アデレード・ユナイテッドは2年前にアジアサッカー協会に籍を移したオーストラリアのクラブとして、初めてのACL決勝進出となった。準決勝ではジーコ元日本代表監督率いるクルブチ(ウズベキスタン)を2戦合計3−1で破っている。グループリーグで浦項スティラーズ、長春亜泰と韓国、中国の優勝クラブを、準々決勝で鹿島アントラーズを下しており、東アジアのチャンピオンクラブ相手に堂々たる試合運びを見せてきた。極東の3クラブとのアウェー戦でも負けを喫しておらず、ホームで勝利したいガンバにとって難しい戦いになることが予想された。

 ガンバのフォーメーションは「4−2−3−1」。これは準決勝第2戦の後半に浦和から3得点を奪った攻撃的布陣だ。西野朗監督は決勝戦の舞台でも攻めの姿勢を前面に打ち出してきた。

 監督の思惑通り、選手たちも積極的に攻撃を仕掛けていく。前半立ち上がりから左サイドバック安田理大がアデレード陣の深い位置までドリブル突破し形を作り、8分には左サイドからMF明神智和がミドルシュートを放つ。これは惜しくもGKにセーブされるが、ガンバは右サイドからもMF佐々木勇人、DF加地亮が突破を試みるなど、両サイドを起点に攻撃の形を作っていく。

 対するアデレードの攻撃は、カウンター一辺倒になった。ワントップのFWクリスティアーノのボールを預け、試合を組み立てていく。高身長が揃うメンバーだけに、一本のパスで得点の可能性があるカウンターは脅威だった。しかし、ガンバ守備陣はDF山口智を中心に落ち着いてラインをコントロールし、相手に決定機を作らせなかった。

 圧倒的に攻めこんだガンバに先制点が入ったのは前半37分。自陣で相手パスをカットしたMF二川孝広が素早く前線にロングパスを送る。そのボールに追いついたのはFWルーカス。落ち着いてゴール前までボールを運びGKの動きを見て丁寧にシュート。アデレードDFもボールにしぶとく食い下がるが、シュートはゴール左隅に吸い込まれ1−0となる。

 このままガンバ1点リードで折り返すかと思われた43分にもゴールが生まれる。右サイドの佐々木がドリブルでアデレード陣内へ進出。そこから中央で待つルーカスの足元へパスを送る。ルーカスはピタリとトラップしたボールを素早く左サイドに展開、絶妙なスルーパスを出す。そこに走りこんできたのはMF遠藤保仁だ。ボールをワントラップしトップスピードのまま左足を振りぬくと、相手GKは一歩も動けずシュートはゴールネットに突き刺さった。ガンバは攻めに攻めた前半を2−0で折り返し、これ以上ない展開で後半を迎える。

 後半開始直後、2失点で後のなくなったアデレードが、前半の戦いぶりとはうって変わって積極的な守備を見せる。高い位置でボールを奪うと速攻をしかけガンバゴールに襲いかかる。幾度かヒヤッとする場面もあったが、GK藤ヶ谷陽介が体を張って好セーブを連発、1点たりともアウェーゴールを与えないという気迫のプレーを見せる。

 片やガンバも攻撃の手を緩めず、3点目を果敢に奪いにいく。後半17分には明神に代えてFW山崎雅人を投入。ACLで5得点を挙げラッキーボーイとして勝利に貢献してきた山崎の投入でガンバ攻撃陣はさらに勢いを増した。

 そして迎えた後半22分、左コーナーキック。キッカーの遠藤はアデレードDFの意表を突きファーサイドに高いボールを上げる。ここに走りこんできたのは安田だった。コーナーキックにダイレクトで合わせ、ボレーシュート。ボールは勢いよくゴールに突き刺さり、勝敗を決する3点目を奪った。

 3−0と大きくリードを奪いながらも西野監督はさらに攻撃のカードを切っていく。佐々木に代えてFWロニーを投入し、さらに得点を奪いにいく姿勢を見せた。試合終了間際には遠藤が直接フリーキックでゴールネットを揺らしたが、これは惜しくもオフサイドの判定。ファインゴールは幻に終わってしまった。

 試合は3−0のまま終了し、ガンバが大事なホームゲームで完勝した。3点差になりながらも90分間集中し、アウェーゴールを与えず完封したことは、次戦に向けて非常に大きな意味を持つだろう。

 試合後、ガンバ西野朗監督は「足元でボールが動いていたし、いいサッカーができたと思う。アウェーでの第2戦は簡単に結果が出るものではないが、3点といういいアドバンテージを作ることができたので有効に使っていきたい」と選手たちを称えつつ、優位な立場で次戦を迎えられることを喜んだ。「ガンバらしい攻撃的なサッカーでチャンピオンになることが目標。半分はクリアできたので、余裕を持ってさらにいいサッカーをやりたい」と第2戦も攻めの姿勢を貫くことを約束した。

 1ゴール1アシストの大活躍を見せた遠藤は「前半からいいリズムで攻撃できていた。もう少し決定力が高ければ4点、5点入っていてもおかしくないような展開だった。まぁ半分入ったからよかったです。今日と同じモチベーションで同じサッカーをし、相手のホームでも気持ちで負けないように試合に臨みたい」と大勝にも気を緩めず、敵地に乗り込むことの重要性を口にした。

 ガンバは第2戦で勝つか引き分け、または2点差以内の負け、さらに3点差負けでも1点以上奪えばアウェーゴールの差で優勝が決まる。

 念願の頂点まであと一歩のところに迫ったガンバ大阪。アジア王者の座をかけた最後の戦いは12日(水)、アデレード・ヒンドマーシュスタジアムで行われる。