3月9日に開幕したJリーグ2008年シーズン。9カ月の戦いを経て、12月6日(土)に最終節を迎える。優勝の可能性を残しているのは、鹿島アントラーズ、名古屋グランパス、川崎フロンターレの3クラブ。一方、J2へ降格の可能性があるのは、ジェフユナイテッド千葉、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田、アルビレックス新潟、大宮アルディージャの5クラブ。大混戦だった今シーズン、最後に笑う、もしくは泣くのはどのクラブか――。
 11月29日に行われた鹿島−磐田戦。後半45分を過ぎてもスコアは0−0のまま。ロスタイムは4分と表示されたが、時計の針が進んでも両クラブに得点は入らなかった。ロスタイム3分が経過した所で鹿島は左サイド、PA少し外でFKのチャンスを得る。最後のプレーになると思われたチャンス、MF増田誓志がゴール前に上げたボールはDF岩政大樹の頭にピタリと合い、磐田ゴールのネットを揺らした。

 劇的な勝ち越し弾で貴重な勝ち点3を手にした鹿島は、2位名古屋に勝ち点差2をつけて最終節を迎える。次節の相手はすでにJ2降格が決まっている最下位のコンサドーレ札幌だ。

 圧倒的有利な状況は言うまでもない。しかし過去のシーズンを見るとこのまま終わらなかったのがJリーグ最終節だ。昨年、首位浦和が最終節で最下位の横浜FCに敗れ、鹿島が優勝したことは記憶に新しい。今年の鹿島も最終節の相手は最下位の札幌、そしてアウェーゲームだ。2位以下のクラブの優勝の条件を見ても驚くほど昨年と共通点が多い。しかし鹿島イレブンは浦和の失敗を見ている。同じ轍を踏まないように細心の注意を払って試合に臨むだろう。慎重になり過ぎて選手の動きが必要以上に硬くならなければ、11度目のタイトル奪取の可能性は極めて高い。注目したい選手は得点王争い独走しているFWマルキーニョスだ。ホームに札幌を迎えた開幕戦でも1ゴールを奪っている。ここ4試合得点がないが、勝負強さはリーグ随一。タイトルのかかった大一番で彼が活躍すれば鹿島の優勝は確実なものとなる。

 鹿島に続く名古屋、川崎Fは優勝に向け勝つしかない。名古屋の相手はACL出場権争いをしている大分トリニータ、そして川崎Fの相手は残留争い真っ只中の東京ヴェルディだ。

 今季、名古屋躍進のキーマンとなったMF小川佳純は前節でも直接フリーキックを叩き込み波に乗っている。今季11得点11アシストと大ブレイクを果たした24歳は「自分たちの試合に集中して、勝って(鹿島の)結果を待ちたい」とまず大分を撃破することに集中している。

 得失点差の関係で3点差以上の勝ちを収めなければならない川崎FはMF中村憲剛、FW鄭大世を中心に超攻撃的布陣で試合に臨む。今季リーグ最多の63ゴールを挙げているクラブだけに、攻めのサッカーはお手のもの。大量得点を奪って相手を撃破したい。優勝争いのみならず、3位までに与えられるACL出場権を獲得するためにも勝ち点3を死守したいところだ。

 片や残留争いに目を向けると、優勝争いに劣らず熾烈な戦いを繰り広げている。

 17位千葉は16、15位クラブと勝ち点2差があり、引き分け以下なら自動降格が決定する。FW巻誠一郎は「われわれの人生がかかる試合になる」と神妙な面持ちで最終節への意気込みを語っている。相手は5位FC東京。こちらも3位以内という明確な目標のある相手だけに、厳しい戦いになるだろう。

 16位の東京Vもこのままの順位ではJ2・3位との入れ替え戦にまわることになる。しかしクラブは先日、中堅・ベテランの10選手に戦力外通告をしている。その中には福西崇史、服部年宏ら代表経験者も含まれており、「(クラブは)決していい雰囲気ではない」と柱谷哲二監督はこぼしている。Jリーグの規定では来季契約更新の意思がない選手には11月30日までに通達しなければならないとなっているが、この大一番にこそ彼らの力、経験が必要になるはずだ。

 前節、寸での所で勝ち点1を取り逃した磐田は大宮と最終節で戦う。前節の敗戦ショックは少なくないが、大宮は勝ち点差3で順位が接近している相手。得失点差も考慮すると、大宮を倒せば彼らを上回ることになる。眼前の敵を倒せば残留決定という状況は非常にわかりやすい。他会場の結果に左右されない点は他クラブよりも磐田にとって有利に働くだろう。集中して試合に臨むことができれば残留への道も見えてくる。

 史上稀に見る混戦を繰り広げた08シーズンもいよいよクライマックス。注目の最終節は6日14:30から9試合が一斉にキックオフされる。

<J1順位表>
       勝ち点  得失点差
1.鹿島    60    +25
2.名古屋  58    +13
3.川崎F   57    +21
――――――――――――――――――
13.大宮   40    −10
14.新潟   39    −15
15.磐田   37    −7
16.東京V  37    −10
17.千葉   35    −19
18.札幌   18    −33
(17、18位は自動降格、16位は入れ替え戦へ)

<最終節注目カード>
札幌 × 鹿島(札幌ド)
大分 × 名古屋(九石ド)
東京V × 川崎F(味スタ)
千葉 × F東京(フクアリ)
磐田 × 大宮(ヤマハ)
(全て14:30 キックオフ)