中日に3巡目指名を受けた東海大学の岩崎恭平選手の最大の武器は、50メートル5秒66を誇る“足”。プロでも俊足を最大限にいかし、レギュラーを狙う。大学の同級生からつけられたという“プリンス”の愛称が似合う甘いマスクをもつ岩崎選手。だが、そこには冷静な“目”と走塁への確かな“こだわり”があった。
―― 中日に3巡目で指名されたことについては?

岩崎: 順位は別として、どこかに指名されるのではないかとは思っていました。それでも、名前があがった瞬間はほっとしたというのが正直なところです。中日は細かいところまでしっかりやる野球をしている。だから毎年上位に食い込んでいけるのだと思います。そういう点では自分に合っているのではないかと。

―― 盗塁の成功率が伸びたのは、中日の荒木雅博選手をマネしたのがきっかけだったとか。

岩崎: たまたまテレビで観た時に荒木さんのスタートの構えとスライディングが自分とは違うことに気付いたんです。それまで僕は真っすぐ両足に均等に重心をとっていたのですが、荒木さんはちょっと軸足の左足を内側に傾けていたんです。実際、荒木さんがどういう考えでやられているのかはわからないのですが、軸足を内側に入れることでロスが少なくなるのかなと。マネしてみたところ、うまくいったんです。それで自信がついたというのが大きかったと思います。

―― スライディングは?

岩崎: 荒木さんだけでなく、イチローさん(マリナーズ)や片岡さん((易之・埼玉西武)もそうですが、お尻をつけずに若干ベースに近いところでスライディングをしているんです。そうすると、スピードに乗ったまま、勢いを殺さずに突っ込んでいくことができる。すると、審判も微妙なタイミングの時でも思わずセーフにすることがあるんです。

―― 盗塁の技術を身につけたことでプロへの道が切り拓けたと。

岩崎: そうですね。それはすごく大きいと思います。スカウトの方にも「お前の盗塁は武器になる」と言われましたし、盗塁に対してはプロでも自信をもってやりたいと思っています。

 高校時代は甲子園出場経験はないものの、大学では自身のプラン通り2年秋からレギュラーを獲得、3年秋にはベストナインに輝いた。そして今夏は全日本に選出され、国際大会に出場した岩崎選手。4年間で得たものとは何なのか。

―― 大学でどんなことを学んだのか?

岩崎: 技術的なこと以上に、プレー以外での姿勢や態度についてですね。私生活もそうですが、野球でも例えば、打てない試合での姿勢が大事だと。実は今年の春のキャンプ時にも監督さんに言われたんです。「お前が打っている姿はみんな見ているから、もうわかっている。本当に見たいところは別のところにあるんだぞ」と。この1年は特にそのことを意識しながらやってきました。

―― 全日本で得たものとは?

岩崎: パワーのある外国人選手たちに対抗するにはどうしたらいいのかということを考えさせられました。力のある選手には真っ向から力比べをしても勝てません。足でかきまわしたり、つなぎを大事にしたり……。きっちりそれぞれの仕事をしてスピードをいかした野球、いわゆる「スモール・ベースボール」が重要だということを改めて感じました。
 また、トップクラスの選手たちと一緒にやれたことで非常に刺激になりました。みんなそれぞれ自信をもっているんでしょうね。練習もたんたんとやるんですけど、そこにすごさを感じました。集中力もあるし、自分たちで考えながらやっているなと。

 目指すは盗塁王

―― プロで対戦したい相手は?

岩崎: 大場翔太投手(ソフトバンク)です。大学時代、全く打てなかったんですよ。これまで対戦した中でも、別格のピッチャーでしたね。対戦成績は8打数2安打でしたが、2本とも苦心の末に三遊間方向に転がした内野安打。クリーンヒットは1本もありませんでした。大場投手のすごさはキレもそうですが、ボールに威圧感があるんです。

―― 大場投手からどんなヒットを打ちたい?

岩崎: 三塁線をライナーで抜くヒットです。サードの頭を越えた後も切れずに、そのまま真っすぐ伸びていく打球です。これは僕の理想の打球でもあります。一番かっこいいし、一番難しい。センター前や(左打者は)一、二塁線は高い確率で抜けていくのですが、一塁線、三塁線のヒットは確率が低くなる。ましてや逆方向の三塁線となると難易度がグンと上がる。大場投手からぜひそんなヒットを打ちたいですね。

 近年では常にAクラスに入るほどの安定した戦力をもつ中日。選手層もあつく、優秀な若手も多い。果たして岩崎選手につけ入るスキはあるのか。

―― レギュラー争いは厳しそうだが。

岩崎: 最初からレギュラーをとれるとは思っていません。まずは自分の武器をアピールして、認めてもらうこと。それでおもしろいなと思ってもらえれば、徐々に出場の機会は増えてくると思います。大学4年間も1年生でベンチ入り、2年生でレギュラー、3年生でタイトルホルダー、4年生ではそのままの流れでレベルアップというふうにプランを立てながらやってきました。プロでもいろいろと勉強しながら段階を踏んで、チャンスをうかがいたいと思っています。

―― プロでは何が必要になってくる?

岩崎: 第一にケガをしない体をつくること。それと強い信念をもつこと。僕はどんなプレーに対しても何かしらの目標をもって取り組んでいます。そうすれば、たとえ壁にぶち当たっても設定した目標を達成するためにどうすればいいかを考えられる。そこで見えてくるものがあるんです。

―― 将来的な目標は?

岩崎: まずは2、3年でレギュラーをとること。自信はそこそこあります。全くなければやっていけませんので。そのためには自分をアピールしなければいけないと思っています。大学では下級生の頃、わざと監督やコーチの見えるところで練習したりしていました。でも、逆にレギュラーをとった後は見えないところでやっていましたね。
 将来的にはイチローさんや荒木さん、川崎さん(宗則・ソフトバンク)、青木さん(宣親・東京ヤクルト)のように足が速くてヒットも量産、なおかつ守備も巧い選手になりたいと思っています。目標としては盗塁王と首位打者をとることです。

―― ファンにはどんなところを見てもらいたい?

岩崎: 一番は塁に出たときの動きを見てもらいたいですね。ファンに「アイツ、何かしそうだな」という期待感を持ってもらえるような選手になりたいと思います。

岩崎恭平(いわさき・きょうへい)プロフィール
1986年4月4日、神奈川県出身。東海大相模高では1年秋からレギュラー入りするも、甲子園出場経験はなし。東海大では2年秋からレギュラーを獲得し、打率.356をマークした。3年時には春秋連続でベストナインに輝き、今年は全日本メンバーに選出された。4年間での公式戦通算成績は打率.355、4本塁打、38打点、39盗塁。50メートル5秒66の俊足が最大の武器だ。178センチ、73キロ。右投左打。

(聞き手・斎藤寿子)

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