新球場の完成、若い世代の台頭と、内外の世代交代が著しい広島東洋カープが１巡目に指名したのは、地元広島出身の亜細亜大学・岩本貴裕選手。投手だった高校時代もドラフトにリストアップされた逸材は、大学４年間で野手としてさらに鍛錬を重ね、逆方向のスペシャリストに成長した。
―― ドラフト１巡目指名を受けた時はどのような気持ちだったか？
岩本: ドラフトの日は、ちょうど公式戦（東都大学秋季リーグ）が重なっていた日でした。ドラフトより（４年ぶりの優勝に王手がかかった）試合に集中していたので、試合終了後、マネジャーから言われて思い出したくらいです。１巡目指名は嬉しかったのですが、試合に負けてしまったのであまり喜ぶことができませんでした。
―― 広島から期待されていることは？
岩本: 逆方向に打てるバッティングを評価していただいたと思っています。長距離打者とも言われるのですが、自分では中距離打者だと。自分としてはホームランではなく左中間に強いライナーを飛ばすイメージで打っています。その飛んだ角度がいい時にはホームランになる。それが理想ですね。
―― 逆方向への打撃を強化するために、どのような練習をしたのか？
岩本: 高校時代から教えていただいている方には、剣道をイメージした練習を教えていただきました。剣道では竹刀を振り下ろして腰の位置にきたときに、手首を押し込んでもうひと突きさせるような動きがあります。それを取り入れて、ボールがバットに当たった瞬間にぐっと手首を入れるんです。ボールがバットからすぐに離れてしまうと、ボールに力が伝わらず、打球が切れてしまう。だから最後に手首でバットを入れて、ボールがバット上をスライドさせなくするんです。そうすることでライン線の打球も切れずに打てるようになりました。
―― バッティングのスランプ時にはどんな対策を？
岩本: ノックをさせられました。ノックは本当に正直で、変な打ち方をしていると、ドライブしたり、キャッチャーフライになってしまったり、外野に大きな打球を飛ばせなかったりしてしまいます。ポイントを一定にするという意味で、ノックは本当に良い練習です。
ピッチングで調整した時期もありました。実は投球と打撃の体の使い方が一緒なんです。ピッチャーはバッターにいかに下半身をまっすぐ見せないようにするかが大切で、バッターはいかに体が開かないようにするかが大切になってきます。横の動きを長くする下半身の粘りが大切という点では共通しているんです。
――「練習の虫」だとか。
岩本: 高校２年の時、ピッチャーで出場した夏の地方大会準決勝で、四球を連発して、普通にプレーすれば勝てていた試合に負けてしまったんです。それまで本当に納得のいく練習をしていたかというと、そうではありませんでした。先輩に対する申し訳ない気持ちが強くて、こういう思いは２度としたくないと思いました。それから自分でも、びっくりするくらい練習するようになったんです。そのときの思いが今の自分につながっていると思います。
子どもたちの目標に！「中途半端な気持ちではプロには行けない」という思いから、大学進学を決意。その選択は今の岩本選手にどう影響しているのだろうか。
―― 大学時代に得たものは？
岩本: 監督さんが「本当にこいつを強くしてやろう」という思いで精神的に鍛えてくださいました。寝ていても監督さんの声が聞こえるような気がしたりするくらい監督さんは恐かったのですが、厳しいことに耐えたことで強くなれたと思います。チームのことよりも自分のことを考えていたような高校時代からは考え方も変わりました。技術面はまだまだですが、体も強くなったので、練習についていける体力はあると思います。
野球以外の面でも、社会に出ても恥ずかしくないマナーを身につけさせてもらったと思います。今までもいいことばかりではありませんでしたし、これからはもっと辛いことが多いと思いますが、何があっても立ち直っていける自信はあります。
―― プロ野球で対戦したい選手は？
岩本: 同世代のダルビッシュ有投手（北海道日本ハム）、涌井秀章投手（埼玉西武）を目の前にして打席に立ってみたいですね。どのくらい凄いボールなのか見てみたいです。
―― これからの課題は？
岩本: いかに一発でボールを捉えられるか、打ち損じをなくすかが大切だと思います。力が入りすぎるとどうしてもズレが出てくるので、あまり力まずにボールをしっかり捉えて、あとはボールの速さを利用して打ち返す、というのが理想のイメージです。
―― 将来のクリーンアップへの期待について。
岩本: ４番タイプではないと思っています。特にこだわりはないので、与えられた打順で活躍できればと思っています。長打率よりも得点圏打率の方が勝つ確率が高くなるので、自分の中ではランナーがいるときにいかに打てるかが大事です。
―― どんなプロ野球選手になりたい？
岩本: 数字やタイトルなどの目標を立てたりはしません。レギュラーで試合に出ること、ケガをしないこと、長く続けることが目標です。新球場になって、子どもたちもたくさん見にきてくれると思うので、元気を与えて「僕もプロ野球選手になりたいな」と思わせるような選手になりたいですね。
＜岩本貴裕（いわもと・たかひろ）プロフィール＞
1986年４月18日、広島市出身。小１から野球を始め、中学では投手兼外野手。広島商では４番エースとして３年夏の甲子園に出場した。高校通算52本塁打｡亜大では１年から４番に座り、２年秋の明治神宮大会で優勝。３年春に１試合３本塁打も記録。東都リーグ通算15本塁打。今年７月には全日本のメンバーとして第４回世界大学野球選手権大会準優勝に貢献した。182センチ、82キロ。左投左打。
（聞き手・広瀬明佳）
☆プレゼント☆ 岩本貴裕選手の直筆サインボールを抽選で２名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の冒頭に「岩本貴裕選手のサインボール希望」と明記の上、住所、氏名、連絡先（電話番号）、この記事への感想をお書き添えの上、送信してください。当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。
携帯サイト
「二宮清純.com」では、
「次代を担うヒーローたち」と題し、ドラフト指名選手のインタビュー記事を先行配信中。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。
当HP編集長・二宮清純の携帯公式サイト「二宮清純.com」
http://ninomiyaseijun.comへ携帯で（au、ドコモ、ソフトバンク）今すぐアクセス！
＜利用料＞
315円（月額税込、登録月より有料）
＜アクセス方法＞ ※トップメニューより
EZweb（au）カテゴリ（メニューリスト） → スポーツ・レジャー → 総合 → 二宮清純.com
i-mode（docomo）メニューリスト→ スポーツ → スポーツニュース → 二宮清純.com
Yahoo!ケータイ(SoftBank)メニューリスト → スポーツ → スポーツニュース →二宮清純.com