キリンチャレンジカップ2009が4日、東京・国立競技場で行なわれ、日本代表はフィンランド代表と対戦した。日本は前半で3得点をあげるなど相手を圧倒し、5−1で快勝。11日(祝・水)の南アW杯アジア最終予選、オーストラリア戦(横浜)に弾みをつけた。

 北京五輪世代が計4ゴール(国立)
日本代表 5−1 フィンランド代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(15分、32分)、香川真司(44分)、中澤佑二(57分)、安田理大(87分)
[フ] ポロカラ(55分)
「できたところ、まだ甘かったところがあった。オーストラリア戦を考えると、もうちょっと厳しくしないと難しいところとか、いろいろ収穫があった」
 新たな収穫と残された課題。岡田武史監督が試合後に語った一言にすべては凝縮されていた。

 スタメン11人の平均身長で7センチも上回るフィンランドは仮想オーストラリア。1週間後に迫った強敵との対戦を前に、海外組不在の中、個々人がどのようなプレーをするか注目が集まった。

 収穫は若い力の台頭だ。FW岡崎慎司が2ゴールをあげたのを皮切りに、19歳のMF香川真司、DF安田理大と北京五輪世代が計4得点をマークした。「今まで出場機会がなかった選手の中で、計算できるプレーをしてくれた選手が何人かいた。海外組に、充分とって代わる力を示してくれた」。指揮官も彼らのアピールを素直に評価した。

 高さのある相手に対し、日本は最終ラインの裏を突いた。8分にはMF中村のスルーパスに岡崎が抜け出すが、相手GKにシュートを阻まれる。続く12分にも右サイドからFW玉田圭司が相手DFの裏へボールを放り込んだが、岡崎に渡らなかった。だが、「タイミングよくいけば、行けるな」。落ち着いて次の機会をうかがった。

 迎えた15分、右サイドからMF内田篤人がロングフィードを入れると、ゴールの瞬間が訪れる。岡崎がDF2人の間をすり抜けてボールを受けると、もう目の前には相手GKしかいなかった。2週間前のイエメン戦で代表初ゴールを決めたばかりの22歳はそのまま左足を振り抜き、日本が幸先よく先制した。

 その後もプレスの弱いフィンランドに対して、MF香川真司がドリブルで中央突破をみせるなど、試合は日本ペース。32分、MF中村憲剛が中央から浮き球のパスを前線に供給すれば、またも最終ラインを破ったのは岡崎だった。ゴール右からインサイドでシュートを放つと、再びゴールネットが揺れる。先制ゴールと同じような流れで日本は追加点をあげた。

 前半終了間際も香川が中盤で相手ボールを奪い、ドリブルで前進。取り囲んだDF陣をあざ笑うかのように、ポーンと長身のフィンランド人の頭を越すボールをあげ、彼らをかわす。スピードで勝る19歳はすかさず左足で流し込み、3−0。日本は大きくリードして45分で試合を決めた。

 後半は途中出場の安田が結果を残した。終了間際の41分、左サイドで一度、DF長友佑都に預けたボールを再び受け取ってゴール前へ。「監督から“自分のプレーを出さないのは一番ダメだ”と言われた。シュートチャンスはあると思っていた」。右足で果敢にゴールを狙うと、ボールは相手GKの手をはじいて、ネットに吸い込まれた。

 運動量の乏しい相手だったとはいえ、後半12分の中澤佑二のヘッドも含め、5得点。岡田ジャパンとしては最多得点で、ノーゴールに終わったバーレーンでの敗戦を払拭した。

 だが、同じ90分内で、問題点もはっきりと見えた。セットプレーのからの3試合連続の失点だ。後半5分、フィンランドのコーナーキック。GK都築龍太とFWタルバヤルビの競り合いで生じたセカンドボールをフォーローできなかった。ゴール前でフリーだったMFポロカラに押し込まれて失点。岡田監督は「セットプレーになる前のプレーが甘かった。それが失点につながった。キーパーと競っていた選手のマークを外していたという問題もあった」と反省点をあげた。

 それだけではない。「我々のイメージより、あと1本遅いとか、あと1歩戻りきれていない場面とか、ここを使われたらやばかったなという場面が何度かあった」。「(大一番を前にした)デリケートな時期」(岡田監督)ということもあり、指揮官は多くを語らなかったが、表情は晴れなかった。守りでは決して迫力を感じない相手に、たやすく前線へクロスをあげられる場面がたびたびあったし、攻撃でも、岡崎が語ったように「後半は雑だった」。「意図的に(日本に)ポゼッションさせた」(バクスター監督)というフィンランドの守備陣に対し、なかなかシュートへ持ち込めなかった。

「相手が止まっている時はポジションはとれる。相手が動いてきた時にどれだけパスが出せるか」
 代表では初のトップ下にチャレンジした中村は課題を口にした。「いよいよオーストラリアと戦う気持ちが強くなってきた」。岡田監督は前を向く。輝きをみせた若手と中村俊輔ら海外組をいかに融合し、調整するか。残された時間はあと6日だ。

<日本代表出場メンバー>

GK
都築龍太
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
→高木和道(55分)
長友佑都
内田篤人
→駒野友一(72分)
MF
橋本英郎
遠藤保仁
→今野泰幸(77分)
中村憲剛
香川真司
→安田理大(81分)
FW
玉田圭司
→巻誠一郎(84分)
岡崎慎司