28日、フジゼロックススーパーカップが東京・国立競技場で行われ、08年Jリーグチャンピオンの鹿島アントラーズが08年度天皇杯王者のガンバ大阪に3−0で勝利した。鹿島は前半6分にFW興梠慎三が先制点を奪い、続く14分、39分にも追加点を挙げ、前半だけで試合を決定づけた。守備の面でも90分間ガンバ攻撃陣を完封し、来週末のJリーグ開幕に向けて順調な仕上がりを見せた。

  14本のシュートを浴びるも完封勝ち(国立)
鹿島アントラーズ 3−0 ガンバ大阪
【得点】
[鹿島]  興梠慎三(6分)、マルキーニョス(14分)、野沢拓也(39分)
 3万人6千人の観客が詰めかけた09年最初のタイトル戦は、前年度のリーグチャンピオンが完勝を収め、今シーズンもリーグの中心になることを印象づけるゲームとなった。

 前半立ち上がりからペースを奪ったのは鹿島だった。DF加地亮を負傷で欠き苦しい台所事情のガンバ守備陣に対し、多くのチャンスを演出していく。ガンバは新加入の高木和道を最終ラインに配置し、3バックで試合に臨んでいた。鹿島はその急造3バックの背後を攻め、サイド攻撃で度々ガンバゴールを脅かす。

 先制点が生まれたのは前半6分。左サイドで得たコーナーキック。高いボールにゴール前で合わせたのはDF岩政大樹だ。岩政の高い打点から落としたボールにすばやく反応したFW興梠慎三が左足でシュート。ボールは豪快にゴールネットを揺らし、早い時間帯でリードを奪った。

 鹿島は、その後も3バック背後のスペースを攻めあがる。14分には左サイドDF新井場雅彦からのクロスを中央で受けたFWマルキーニョスが、二人のDFを振り切りながら粘り強くシュートを放ち2−0。さらに39分、MFダニーロからのスルーパスに反応した興梠が右サイドから低いクロスを上げ、野沢のゴールが生まれる。シンプルな攻撃から鮮やかに3ゴールを奪った鹿島。3月7日のレッズ戦に向け、いい状態でチームが調子を上げてきているようだ。

 一方のガンバは、3バックが機能せず45分間で3失点。西野朗監督はたまらず後半開始から中澤聡太、高木のDF二人をベンチに下げ、システムを4−4−2へ変更する。FW播戸竜太をピッチに送りチームの立て直しを図った。そこからは中盤が機能し主導権を引き寄せる。シュート数は後半だけで8本。本来の4バックに戻し、攻めの形は作った。しかし鹿島の堅実なゲーム運びの前に無得点に終わる。加地の他にも故障者を多く抱えるガンバは主力を欠きながら戦うシーズン序盤に、苦しい戦いを強いられそうだ。

 試合後、鹿島オズワルド・オリヴェイラ監督は「(09シーズンの)素晴らしいスタートが切れた。ガンバは素晴らしいチームだが、今日は本来の調子ではなかった。前半で3点を取っていたので、むやみに打ち合う必要はなかった。後半はゲームマネージメントをしっかりするようい選手に伝え、最後までうまく戦うことができ満足している」とタイトル戦を振り返った。また、7日の開幕カード、レッズ戦について「相手はアジアチャンピオンになり、ACミランとも互角に戦ったクラブ。選手の個々の力もずば抜けている。我々は相手に対し謙虚な気持ちで緻密な準備をしていくだけだ」と述べた。

 対照的に厳しい状態で開幕を迎えるガンバ西野監督は「準備段階でいい形はできなかった。今日は3バックを試したり、DFラインを変えたり、いいテストになった。しかし手ごたえはない。(様々な布陣を)トライしたというよりは、トライさせられたという感じだ。選手たちも自分たちの現状を見つめられたと思う。(この敗戦を)次につなげられればいい」と険しい表情で語った。

 17年目を迎えるJリーグは来週3月7日、全34節の長いシーズンが開幕する。開幕戦前に好ゲームをみせた鹿島が、今シーズンもその強さを見せることができるのか。彼らの戦いぶりに注目したい。

(大山暁生)