WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)1次ラウンドA組の第5戦は、韓国代表が中国代表を14−0の7回コールドで下し、日本とともに米国・サンディエゴでスタートする2次ラウンド進出を決めた。9日は東京ラウンドの1位通過をかけて日本と韓国が再戦する。

 初スタメンの李机浩が2ラン
中国代表     0 = 0000000
韓国代表    14 = 200255× (7回コールド)
(中)●孫國強−ト涛−朱大衛−劉凱−李韋良
(韓)○尹錫ミン−鄭大ヒョン−林昌勇
本塁打  (韓)李机浩1号2ラン
 中国の先発は孫國強。今大会、3試合連続の登板だ。中国代表のテリー・コリンズ監督は変則のサイドスローピッチャーで、韓国の打者を惑わす作戦に出た。

 しかし、孫の制球が定まらない。韓国は先頭打者の李鍾旭が四球で歩くと、すかさず盗塁。暴投も重なって、難なく李は3塁に進む。2番の鄭根宇も四球で無死1、3塁となり、3番・金賢洙が先制のタイムリー。なおも内野ゴロの間に1点を追加し、韓国が試合の流れをつかんだ。

 先制パンチに加え、選手起用も当たった。「アンダースローに強いと打撃コーチから推薦があった」(金寅植監督)と大砲の李大浩をあえて外して6番に李机浩をスタメンに。その李机浩が4回、レフトスタンドへ貴重な2ランを放った。

 投げては尹錫ミンが打たせてとる投球をみせる。「明日のためにも後から出てくる投手を少なくしようと思った」。1回、3回を9球で終えるなどなど、少ない球数で中国打線を寄せ付けない。

 こうなると今大会、健闘をみせていた中国もさすがに緊張の糸が切れた。5回はレフトがライナー性の打球を目測を誤ってヒットにしてしまうと、セカンドがバウンドを合わせきれず、打球を外野へ抜かしてしまう。ファーストがトンネルすれば、今度はセカンドがファンブル……。投手陣も制球が定まらず、ストライクを取りに行ったところを痛打された。

「中国は台湾の試合にすべてを出していた。レベルの劣る投手が出てきたのでは?」。敵将にも同情される内容で、5、6回で計10失点。規定により、7イニングで試合は終わった。

 9日の試合は重要だ。2次ラウンドは日本、韓国に加え、順当に行けばB組から勝ち上がるキューバ、メキシコの組み合わせになる。1位通過すれば初戦はB組2位、2位だとB組1位との対戦だ。B組1位はキューバが予想されるため、できれば最初にぶつかるのは避けたい。加えて韓国とは2次らウンドでも激突する可能性があるため、もう一度叩いて苦手意識を植え付けたいところだ。

 もちろん、韓国もこのまま引き下がるわけにはいかない。「昨日の試合は忘れた。明日は韓国の違う面が出せるだろう。いい結果が出せるのでは」。好投の尹錫ミンは選手の気持ちを代弁して、こう語った。

 ただ、「日本に負けたくない気持ちは強い」と語る指揮官は、2次ラウンドを見据えた選手起用もしなくてはならない。中国戦でも14点差ながら、抑えの鄭大ヒョン、林昌勇を調整登板させた。「明日はなるべく投手を使いたい」。2次ラウンドの開幕までは約1週間あるため、投手の登板間隔が空きすぎる点を金監督は気にしている。勝負と調整を天秤にかけながら、ベンチは難しい選択を強いられそうだ。

 対する日本代表の原辰徳監督は「1位通過でアメリカに飛んでいきたい」と、あくまで勝負にこだわる姿勢をみせた。この最終戦を両国がどう捉えるか。そして、それがどんな結果を生むのか。日韓リターンマッチは単なる勝敗以外の部分でも注目のゲームとなりそうだ。

○金監督
 東京ラウンドを通過できてうれしい。昨日、大敗した後、選手たちには「1点差、2点差で負けても10点差で負けても一緒。まだチャンスはある。集中しよう」と話をした。今回の方式については韓国としては不満がある。ただ、WBCを通して若い人たちが野球への理解を深めてくれることを考えれば我慢するしかない。
 今日は予期しないコールド勝ちで予定した投手を使えなかった。少ない投手で終われたのは良かったが、登板間隔が空いてしまった者もいる。明日はなるべく投手を使いたい。日本は今回、もっとも強いチーム。気持ちを切り替えてベストを尽くしたい。

【9日の試合】( )内は予告先発
18:30〜 韓国(奉重根)×日本(岩隈久志)