四国・九州アイランドリーグ、BCリーグに続く日本で3番目のプロ野球独立リーグ、関西独立リーグが27日、開幕を迎える。初年度は大阪府を本拠地に置く「大阪ゴールドビリケーンズ」、神戸市を本拠とする「神戸9クルーズ」、明石市の「明石レッドソルジャーズ」、和歌山県の「紀州レンジャーズ」の4球団が前後期36試合ずつのリーグ戦を争い、それぞれの優勝チームが年間王者をかけてチャンピオンシップを戦う。27日の開幕戦は京セラドームでの大阪−神戸(18時15分プレーボール)。栄えある初代チャンピオンを目指す各球団の横顔を紹介する。
大阪ゴールドビリケーンズ
監督  村上隆行(元近鉄)
コーチ 石毛博史(元巨人)
コーチ 西浦克拓(元日本ハム)
コーチ兼野手 平下晃司(元阪神)

 オープン戦では負けなしの5勝1分。先輩格にあたるアイランドリーグの徳島も8−3で下した。投打のバランスがとれている印象だ。投手陣ではBCリーグ信濃に在籍していたサイドスローの小坂英、ドラフト1位指名を受けた右腕の土肥翔治(京都ファイアーバーズ)が先発の軸になりそう。また速球とフォークを武器にする遠上賢一(OBC高島)がクローザーに座り、安定している。

 攻撃の目玉となるのはコーチ兼任の平下。オープン戦でもホームランを放つなど、元NPB選手として格の違いを見せている。NOMOベースボールでプレーしていた平松陽介、京都外大西高で甲子園準優勝を経験した林一茂(Ritsベースボールクラブ)らアマ球界で実績を残した選手も多く、打線につながりがある。15選手を獲得した。野手15選手中8名が左バッター(育成選手、スイッチも含む)で、おもしろいオーダーが組めそうだ。

神戸9クルーズ
監督  中田良弘(元阪神)
コーチ 村上眞一(元オリックス)
コーチ 衣川幸夫(元近鉄)

 昨季アイランドリーグで最多勝に輝いた西川徹哉(元高知)、BCリーグチャンピオン富山の守護神だった小園司が加わった投手陣は強力だ。1月には元ロッテの末永仁志も獲得した。アンダースローの大島崇仁(ワイテック)、140キロ台のストレートが武器の治下竜麻(日大)など、個性のあるメンバーが並ぶ。男性に交ざってプレーする初の女性プロ野球選手として注目される吉田えりは開幕戦で中継ぎデビューの予定。アンダースローから投じるナックルボールは大きな武器だ。キャンプで右肩を痛めたこともあり、どこまで本来の力を発揮できるか。

 打線もドラフト候補にも挙がっていた武田陽介(西濃運輸)、アイランドリーグで中軸を打っていた経験もある若林春樹(元香川)、アトランタブレーブス傘下でプレーしていた濱岡巧と強打者が揃う。昨季アイランドリーグで32盗塁をマークした金城直仁(元徳島)ら足を使える選手も多い。独立リーグ経験者が6名在籍し、長丁場を戦う上でアドバンテージになりそうだ。

明石レッドソルジャーズ
監督  北川公一(元近鉄)
コーチ 山本重政(元近鉄)
コーチ 山田勉(元南海)

 神戸同様、6名の独立リーグ経験者が入団した。昨年は長崎で監督代行も務めた(元西武)が名実ともに投手陣の柱だ。速球が持ち味の若き右腕・福泉敬大(神港学園出身)、百合翔吾(大阪経済法科大学)が先発候補。ブルペンにはアイランドリーグ、BCリーグを渡り歩いた前田真宏、チーム唯一のサウスポー山下忠志(日本航空第二高出身)が控える。

 打線では天理−青山学院大と強豪校で強打者として知られていた田中克誠が4番を打つ。ドラフト1位で獲得した川咲勇司(阪南大)が1番に座り、アイランドリーグでプレー経験もある高下沢(元香川)、新川秀逸(元愛媛)が脇を固める。また岩手21赤べこ野球軍団のプレーイングマネジャーを務めた野手最年長の平良和一郎が下位を打ち、心強い。

紀州レンジャーズ
監督  藤田平(元阪神)
コーチ 河埜敬幸(元南海)
コーチ 井上紘一(元広島)

 投手陣はBCリーグ初年度(07年)に15勝をあげ、石川の優勝に貢献した蛇澤篤が入団。NOMOベースボールクラブの中心投手だった宇高直志もチームに加わった。韓国人左腕の辛雨承、190センチの長身を誇る米国出身のロバート・ユージン・ワンダリッチなど国際色豊かなピッチングスタッフだ。

 野手では智弁和歌山高時代はトップバッターとして活躍した嶋田好高(元アイランドリーグ愛媛)が地元に帰ってプレー。BCリーグ福井のレギュラーだった芳岡弘泰も移籍した。WBC台湾代表候補に選ばれた捕手の呉承達に加え、3名の韓国人野手を獲得するなど、投手陣同様、若い外国人を積極的に招いている。ただ、オープン戦では2勝6敗1分。とりわけライバルとなる他の3チームに勝利を収めることができなかった。藤田平監督はオーダー編成に苦心しているようだが、独立リーグ経験者は4球団で最多の7選手もいる。シーズンに向けて完成度は高まっていくはずだ。

<開幕直後の試合スケジュール>

【3月27日(金)】
大阪−神戸 18時15分 京セラドーム大阪 
【3月28日(土)】
紀州−明石 13時 紀三井寺公園野球場 ※紀州開幕戦
【4月4日(土)】
大阪−神戸 13時 万博公園野球場     
【4月5日(日)】
神戸−明石 13時 スカイマークスタジアム ※神戸開幕戦
大阪−紀州 14時 住之江公園野球場
【4月11日(土)】
明石−神戸 13時 明石公園第一野球場 ※明石開幕戦
紀州−大阪 13時 御坊総合運動公園野球場 
【4月12日(日)】
明石−紀州 13時 明石公園第一野球場
大阪−神戸 18時 住之江公園野球場   

(石田洋之)