7、8日の両日にヨーロッパ各地で欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝の1stレッグが行われる。ベスト8のうち4つを占めるイングランド・プレミアリーグ勢のうち、いくつのクラブが4強に駒を進めるのか。名門対決となるバルセロナ対バイエルン・ミュンヘンの行方は? 激戦必至のベスト8から目が離せない。
 06−07、07−08シーズンとベスト4のうち3つを占め、強さを見せつけているイングランド・プレミアリーグ勢。今年はマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルが決勝トーナメント1回戦でイタリア・セリエA勢と対決したが、3戦ともプレミアリーグに軍配、現在の欧州サッカー勢力図が見事に反映された結果となった。

 準々決勝の組み合わせは3月20日、抽選により決定した。準々決勝4カードと決勝までの道のりが決まったことで、今後のCLがどのように展開していくか大勢が見えてきた。準々決勝のカードはビジャレアル(スペイン)対アーセナル(イングランド)、マンチェスターU(イングランド)対ポルト(ポルトガル)、リバプール(イングランド)対チェルシー(イングランド)、バルセロナ(スペイン)対バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)となっている。

 最も組み合わせに恵まれているのは、前回大会の覇者、マンチェスターUだ。対戦相手のポルトは決勝T1回戦でアトレティコ・マドリッド(スペイン)にアウェーゴール差で辛くも勝ってきた相手。他のクラブをみても、一段実力が劣ることは自明だ。日本人としては、東京ヴェルディに在籍したフッキがいるクラブだけに戦いぶりに注目したいが、タレント豊富な“赤い悪魔”を撃破することは簡単ではない。

 マンチェスターUは03−04シーズンにポルトに敗退した経験があるが、当時のポルトを率いたのはジョゼ・モウリーニョ(現・インテルミラノ監督)であり、マンU撃破は彼の手腕によるところが大きい。この敗北の経験からマンチェスターUの選手が油断することは考えづらく、ここでの番狂わせはないだろう。

 マンチェスターUとポルトの勝者が戦うことになるのは、ビジャレアル対アーセナルの勝者だ。このカードは05−06シーズン準決勝の再現となる。その試合ではアーセナルが2戦合計1−0で勝利し、決勝へ進出している。現在の両クラブは全く異なる布陣だが、ビジャレアルのロベール・ピレスは05−06シーズンにはアーセナルの主力選手だった。今回の再戦を心待ちにしているだろう。ビジャレアルはスペイン代表の中盤を支えるマルコス・セナらを擁し、中盤での支配から分厚い攻撃を展開したい。

 一方のアーセナルは、主力のケガで国内リーグでは4位と苦戦が続いている。しかし、最近はリーグ戦4連勝中と復調気配だ。ケガからの復帰が噂されるセスク・ファブレガスの活躍に期待がかかる。

 準々決勝の残り2試合は、全くもって予断を許さない戦いになる。まずはプレミア直接対決となるリバプール対チェルシーの一戦。CLではここ4シーズンでも対決しており、今回で5年連続となる。過去4シーズンの対戦ではリバプールが2勝1敗1分(05−06シーズンではグループリーグで戦い、2戦ともスコアレスドロー)。昨季は準決勝でチェルシーが勝ち残り、決勝へ駒を進めた。

 リバプールはプレミアリーグでも上り調子。先月14日のマンチェスターU戦ではアウェーで5対1という歴史的大勝を収め、続く22日アストンビラ戦でも5−0。消化試合が1つ多いものの、首位マンチェスターUに勝ち点1差にまで迫っている。

 一方のチェルシーはシーズン序盤の不振を理由に2月にルイス・フェリペ・スコラーリ監督を解任、フース・ヒディンクが指揮を執る。ヒディンク就任以降、チームは確実に上昇している。特にスコラーリとの確執が噂されていたエースストライカーのディディエ・ドログバがヒディンク体制になってからは好調をキープ。決勝T1回戦でも、ベスト8進出を決めるゴールを挙げている。「今回の対戦を楽しみにしている。自分たちの望む方法を計画するだけだ。選手はその計画を実行に移さなければならないが、実行に移す際のわずかな違いが勝負を分ける」と語るヒディンク監督。勝ち方を知っている名将同士の対決だけに、ピッチの外での采配も見逃せない。

 最後に紹介するのはバルセロナ対バイエルン・ミュンヘン。両クラブとも圧倒的な破壊力が魅力だ。特にバイエルンは決勝T1回戦でスポルティング・リスボンを2戦合計12−1というCL史上最多ゴールで圧勝している。実力差があったとはいえ、この勢い準々決勝にも持ち越されるだろう。今週末に行われた国内リーグでは大久保嘉人、長谷部誠が在籍するヴォルフスブルグに1−5と大敗、さらにこの試合で守備の要であるルシオが負傷し出場が危ぶまれているが、フランク・リベリーら攻撃陣は好調をキープしており、守備の不安を打ち消してくれるはずだ。

 対するバルセロナは国内リーグで2位レアル・マドリッドに勝ち点6差と独走中。先週のバジャドリー戦ではリオネル・メッシ、ティエリ・アンリ、ダニエウ・アウベスをベンチからスタートさせ、CLに照準をあわせ準々決勝に臨む。バルサは初戦のホーム戦で2点差以上の勝ちが欲しいところだ。両クラブとも代表選手を多数擁しており、W杯予選の過密日程も気になるが、激しい打ち合い必至の好ゲームが期待できる。

(大山暁生)

<欧州CL決勝トーナメント準々決勝>(左からホーム、アウェー)
◇4月7日(火)
ビジャレアル(スペイン) × アーセナル(イングランド)
マンチェスター・ユナイテッド(イングランド) × ポルト(ポルトガル)

◇4月8日(水)
リバプール(イングランド) × チェルシー(イングランド)
バルセロナ(スペイン) × バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)