プレミア勢vs.バルセロナ 決勝の地、ローマへ進むのは? 〜欧州CLベスト4〜

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 28、29日の両日、欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレッグが行われる。28日はバルセロナ(スペイン)対チェルシー(イングランド)、29日はマンチェスター・ユナイテッド対アーセナル(ともにイングランド)の対戦となる。決勝の地、ローマのスタディオ・オリンピコへ駒を進めるのはどのクラブか? 名勝負になること間違いなしの準決勝を展望する。
 先陣を切って戦うバルセロナとチェルシーの両クラブは、準々決勝でそれぞれ歴史に残る戦いぶりを披露した。バルセロナはドイツの名門バイエルン・ミュンヘンを1stレッグで4−0の大勝を収め、2ndレッグは1−1のドロー。前身のチャンピオンズカップも含め、優勝4回を誇る名門を子供扱いしてベスト4へ進出した。

 一方のチェルシーはリバプールと2戦合計7−5という目まぐるしい展開の対戦に勝利した。ホーム・スタンフォードブリッジで行われた2ndレッグは歴史に残る戦い、最終的には後半2ゴールを決めたフランク・ランパードらの活躍で、4−4のドローに持ち込み4強への切符を手に入れた。

 両クラブとも勢いのつく戦いぶりをみせただけに、この試合に臨むテンションは互角だろう。そうなれば、勝敗を分けるのは指揮官の手腕と国内リーグの日程だ。

 バルセロナを率いるのは、若きカリスマ、ジョゼップ・グアルディオラ。90年代初頭、「ドリームチーム」と呼ばれたバルセロナで主将を務めた38歳は、新人監督として今季からバルセロナを率いている。シーズン前は彼の経験不足を不安視する声もあったが、リーガ・エスパニョーラ開幕からは首位を独走。リオネル・メッシ、ティエリ・アンリ、サミュエル・エトーの超攻撃的3トップが機能し、アグレッシブなサッカーを展開している。メッシはCLリーグでも8得点を挙げ、得点王トップを走っている。ランキング上位のライバルたちはすでに大会から姿を消しており、このまま得点王を獲得する可能性は非常に高い。

 チェルシーを指揮するのはオランダ人のフース・ヒディンク。87年にPSV(オランダ)を欧州王者の座に押し上げ、W杯では98年フランス大会でオランダをベスト4、02年日韓大会でも韓国をベスト4、06年にはオーストラリアをベスト16に導いている。その的確なベンチワークで「ヒディンク・マジック」と呼ばれる奇跡を何度も演出してきた。

 準々決勝2ndレッグでも0−2のビハインドから前半35分にニコラ・アネルカを投入。そのアネルカが後半開始直後に、ディディエ・ドログバのゴールをアシストするなど、試合の流れを一気にチェルシーへと傾けさせ、準決勝進出を決めた。

 ベンチワークという点では、やはりヒディンクに一日の長があるだろう。チームを率いて日は浅いが、彼の豊富な経験がそれを補ってくれる。実際、プレミアリーグでもシーズン途中での監督交代の不利を感じさせていない。戦術面だけでなく、選手の気持ちを高ぶらせるモチベーターとしての手腕も抜群しており、今季の開幕から出場機会に恵まれなかったドログバをシーズン途中から見事に復活させた。第2戦がホームで戦える点も、ヒディンクに有利に働くだろう。

 国内リーグの日程が厳しいのはバルセロナ。1stレッグと2ndレッグの間に行われるリーガでの試合は、“クラシコ”と呼ばれるレアル・マドリッド戦(アウェー)だ。しかも、バルセロナは先週4位のバレンシアに2−2で引き分けており、一方のレアル・マドリッドは敵地で3位セビージャに対し4−2で快勝している。

 1位バルセロナと2位レアル・マドリッドとの勝ち点差は4となり、クラシコの結果次第で、国内リーグの優勝の行方も混沌としてくる。ただでさえ重圧のあるクラシコの前後にCL準決勝を戦わなければならない。この状況は辛いだろう。過密日程も考えると、超攻撃的サッカーを披露してきたバルセロナにとって、本当の実力を問われる1週間になりそうだ。

 王者・マンUが盤石も、勢いはアーセナルか!?

 29日に行われるのはマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルのイングランド勢対決だ。マンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグで2位リバプールに勝ち点差3にまで迫られているが、消化試合が1試合少ないため気持ちに余裕がある。

 対するアーセナルは先週のリバプール戦で4−4という激しい打ち合いを演じた。ここで全得点を挙げたのは、シーズン途中にセニト・サンクトペテルブルクから移籍してきたアンドレイ・アルシャビン。UEFAの規定によってアルシャビンはCLの舞台には立てないが、国内リーグに専念する彼の活躍がクラブの疲労を和らげてくれている。

 さらに、アーセナルは国内リーグ20試合で負けなしと上がり調子だ。特に司令塔セスク・ファブレガスの復帰はチームに勢いを与えており、前節のミドルスブラ戦でも2ゴールを挙げている。準々決勝2ndレッグ、セオ・ウォルコットのゴールをお膳立てしたヒールパスでのアシストも見事だった。セスクの存在の有無でアーセナルは全く別のクラブになってしまう。昨季はシーズン途中でセスクの離脱があり、後半失速したアーセナル。今季では今がもっともいい状態かもしれない。

 王者・マンチェスター・ユナイテッドも連覇への階段を着々と昇ってきた。準々決勝2ndレッグでクリスティアーノ・ロナウドの「生涯最高のゴール」が決まり、健闘をみせたポルトを粉砕したが、今度の敵はこれまで以上に強敵になりそう。

 しかしながら、前節のプレミアリーグでトットナムを5−2で退け、昨年に続くダブル(プレミアシップ、CL制覇)も十分視界に入っている。4月5日には17歳のFWフェデリコ・マケダがセンセーショナルなデビューを果たし、明るい話題も事欠かない。イタリア生まれの新星がCLの舞台でも活躍する姿を目にできるかもしれない。

 様々な記録のかかる決勝戦カード

 ベスト4に残っているのはイングランドの3クラブとスペインの1クラブ。国別優勝回数を見てみると、イングランドとスペインは11回でイタリアと並び最多記録だ。したがって、どのクラブが勝っても最多優勝国の座に就くことになる。

 バルセロナが準決勝で敗れれば、2年連続でイングランド勢同士の決勝となる。さらにはマンチェスター・ユナイテッド対チェルシーとなれば2年連続の同一カードだ。またマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーがベスト4で敗退すれば、アーセナル対バルセロナのカードは05−06シーズン決勝のリマッチとなる。

 そして、マンチェスター・ユナイテッドには現行の欧州CLに変わった92年以降、初めての連覇がかかっている。

 世界中のサッカーファンは、2つのスター軍団『マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナ』のカードを期待しているかもしれないが、残る2クラブも決勝での敗退経験があるだけに、優勝カップ“ビッグイヤー”を虎視眈々と狙っている。

 決勝の舞台は5月27日、イタリア・ローマのスタディオ・オリンピコ。彼の地に足を踏み入れる2クラブはどこになるのか? 準決勝の計4試合は目の離せない展開になりそうだ。

(大山暁生)
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