MLBの2009シーズンが開幕して、ちょうど2週間が経過した。各球団とも10試合以上を消化し、スタートダッシュに成功したチームと出遅れたチームの色分けがはっきりしてきている。上原浩治(オリオールズ)、川上憲伸(ブレーブス)のデビュー戦勝利、イチローの最多安打記録越えなど、日本人選手の活躍も目立った各地区の戦いをおさらいしたい。
アメリカンリーグ
<東地区>
 昨季地区優勝のレイズにレッドソックス、ヤンキースが顔をそろえる大激戦区で好調なスタートを切ったのは同地区5位のブルージェイズ。下馬評は低かったが、10勝4敗で首位を走る。チーム打率.290をマークするなど打線が好調だ。レッドソックスは松坂大輔が開幕から連敗を喫するなど、一時は借金4まで負けが込んだが5連勝で盛り返してきた。大型補強で覇権奪回を目指すヤンキースはインディアンス相手に4−22の大敗を喫するなど、波に乗れていない。上原の加入したオリオールズはチーム防御率がリーグワースト2位の6.93と投手陣の脆さが依然として目立っている。

<中地区>
 ホワイトソックス、タイガース、ロイヤルズが7勝5敗で首位に並ぶ。ホワイトソックスはカルロス・クエンティンが7本塁打と大当たり。タイガースではWBCベネズエラ代表として出場したミゲル・カブレラが5割近い打率を残し、好調だ。トレイ・ヒルマン体制2年目となったロイヤルズはザック・グリンキーが1完封を含む3連勝を飾るなど、投手陣がいい。本拠地メトロドームのラストイヤーを優勝で飾りたいツインズは7勝7敗の勝率5割。インディアンスはWBC韓国代表の秋信守が2試合連発ホーマーを放つなど気を吐くが、出だしの開幕5連敗が響いている。

<西地区>
 昨季地区最下位のマリナーズがいい滑り出しをみせた。リードオフマンのイチローが不在の8試合、チームは6勝2敗。ケン・グリフィーJr.の加入で打線に厚みが増し、投手陣もフェリックス・ヘルナンデスが若きエースとして成長をみせている。ただし、捕手の城島健司が離脱後、1勝3敗と負けが込んでいるのがやや気がかりだ。他の3チームは勝率5割を切る状況。レンジャーズのイアン・キンズラーが15日に、サイクルヒットに加え、9イニングで6安打をマークするチーム記録を樹立している。K-RODこと絶対的守護神のフランシスコ・ロドリゲス(メッツ)が抜けたエンゼルスは4勝8敗と苦しいスタートだ。

ナショナルリーグ
<東地区>
 マーリンズが11試合で10勝をあげる開幕ダッシュをみせた。同地区は昨季ワールドチャンピオンのフィリーズが軸とみられていただけに、この勢いがどこまで続くか見ものだ。対照的にナショナルズは早くも今季10敗目。昨季メジャーワーストの102敗を喫した悪夢が蘇っている。フランシスコ・ロドリゲス、J.J.プッツと他球団のクローザーを補強したメッツは先発陣の不調で勝ち星を伸ばせていない。川上を獲得したブレーブスは5勝1敗と快調だったが、その後、連敗もあり現在は6勝7敗と負けが先行する。

<中地区>
 昨季地区優勝のカブスが7勝4敗と安定した戦いぶり。2年目の福留孝介も開幕11試合で10打点を稼ぐなど、勝負強さをみせている。一方で松井稼頭央が所属するアストロズは4勝9敗と出遅れた。松井が腰の張りで4試合を欠場したのも痛かった。カージナルスとレッズは、開幕カードこそ負け越したが、チーム状態を上げてカブスを追う。昨季最下位のパイレーツはエースのポール・マホームが2勝をあげ、7勝6敗と1つの勝ち越し。左腕エースのC.C.サバシアが抜けたブルワーズは借金4と苦戦を強いられている。

<西地区>
 8連勝中のドジャースが首位を快走している。チーム打率は30球団で唯一3割を超える。脇腹を痛めて故障者リスト入りしている黒田博樹も復帰に向けて練習を再開した。パドレスはオフにオーナーが交代し、有効な補強ができなかったが、ここまでは9勝4敗。ダイヤモンドバックスは昨季最多勝のブランドン・ウェブが右肩痛で離脱し、状態が気にかかる。ベテラン左腕のランディ・ジョンソンを獲得して巻き返しを図るジャイアンツは4勝8敗。ロッキーズと並んで最下位に沈んでいる。

(石田洋之)