21日、日本サッカー協会(JFA)は6月6日(土)から17日(水)に行われる南アフリカW杯最終予選に出場する日本代表26名を発表した。3月のバーレーン戦では選出されなかった本田圭佑(VVVフェンロ)が代表に復帰し、槙野智章(広島)、山田直輝(浦和)が初選出された。岡田JAPANはW杯最終予選に先立ち、5月27日、31日にキリンカップでチリ、ベルギーと対戦し、ウズベキスタンへ向けて飛び立つ。
(写真:引き締まった表情で質問に答える岡田武史代表監督)
 アジア最終予選A組に入る日本は、首位オーストラリアに次ぐ2位につけている。首位との勝ち点差は2だ。3位バーレーンとは勝ち点4差、6日のウズベキスタン戦で勝てば残り2試合を残してグループ2位以上が確定し、早くも南アフリカへの切符を手にする。ウズベキスタン戦で出場権を獲得すれば、2大会連続での出場権獲得1番乗りとなる。岡田武史監督は会見で「ウズベキスタン戦でベストになるようチームを持っていく」と語り、ウズベキスタン戦での決着に自信をみせた。

 今回招集されるメンバーには、これまでにない新鮮な人選があった。中でも一番の驚きは山田直の招集だろう。開幕から好調のレッズを原動力とはいえ、今年3月にJデビューを飾ったばかりの18歳だ。岡田監督は山田直について「田中達也のようにスイッチをいれることのできる選手」と表現し、期待の高さをうかがわせた。

 同じく初選出されたのは槙野については「チームではストッパーだが、本来は左サイドバック。一度呼んでみてみたい」と、チームとは違う役割を求める構えをみせた。また、山口智(G大阪)が代表に復帰。これまで選出されてきた寺田周平(川崎F)が左太もも負傷のため選出されず、山口に出番が回ってきた。「経験豊富なベテランのメンタリティといざという時のライン統率力」を山口に期待するポイントを挙げた。

 負傷者が続出しているFW陣では、玉田圭司(名古屋)、大久保嘉人(ヴォルフスブルグ)らが選出された一方、田中達也(浦和)は選ばれなかった。

 しかし、不安の残る攻撃陣に頼もしい選手が復帰した。オランダ2部VVVフェンロを1部昇格に導いた本田だ。今シーズンは2部リーグながら36試合に出場し16得点を挙げ、リーグMVPにも選出された。「リーグのレベルがどうのではなく、ここまで得点を取っている選手は今の代表にはいない。すでに国内に戻っており、合宿初日から合流してもらう」と本田の得点力に期待をかけていた。

 6日に対戦するウズベキスタンは、切れ味鋭いカウンターを得意としている。昨年10月のホーム戦ではカウンターからマクシム・シャツキフ(ディナモ・キエフ)に先制ゴールを許している。彼の動きには再び注意が必要だ。「ウクライナ戦に集中させてベストの状態に持っていく」と会見の中で3度も口にした岡田監督。W杯出場にむけ優位な立場にあるとはいえ、3連戦の初戦に全力を傾ける姿勢だ。

 10日、横浜でのホームゲームはカタールとの対戦。昨年11月、敵地で行われた試合では、田中達の先制点や玉田の豪快なゴールなどで3−0と圧倒し、最終予選で一番の出来を見せた。ここまで最終予選のホームゲームで3試合1勝2分けと勝ちきれない試合の多い岡田JAPAN。この試合で出場権がかかることもあり得るが、それ以上にホーム戦での快勝をサポーターは期待している。

 17日の最終戦はオーストラリアとのアウェー戦。この試合は両者の位置関係もあり、消化試合になる可能性が高い。しかし、本大会でベスト4を目標とするチームが地区予選を2位で通過したのでは話にならない。2月のホーム戦では守りを固めたオーストラリアにまんまとスコアレスドローに持ち込まれている。敵地ながら、逆転1位を狙うためには必ず勝ち点3を持ち帰らなければならない。

 5月下旬から6月中旬にかけて5試合を戦う日本代表。本大会への切符を掴むだけでなく、南アフリカで好結果を残すためには、チームの完成度を上げることも重要だ。幸いなことに出場権獲得は難しい状況ではない。会見の席で「もう大丈夫という所から覆される場面を何度もみてきた。我々はまだ何も手にしていない」と気を引き締めなおした岡田監督。しかし、本大会へはあと1年と少しの時間しかない。日本が本大会で上位に進出するためにも、この5試合は結果を求めるだけでなく、世界に通用するサッカーを披露してもらいたい。

<日本代表メンバー26人>

GK
楢崎正剛(名古屋グランパス)
都築龍太(浦和レッズ)
川島永嗣(川崎フロンターレ)
DF
中澤佑二(横浜F・マリノス)
山口智(ガンバ大阪)
田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(FC東京)
長友佑都(FC東京)
槙野智章(サンフレッチェ広島)
内田篤人(鹿島アントラーズ)
MF
中村俊輔(セルティック)
橋本英郎(ガンバ大阪)
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
松井大輔(サンテティエンヌ)
阿部勇樹(浦和レッズ)
長谷部誠(ヴォルフスブルグ)
本田圭佑(VVVフェンロ)
香川真司(セレッソ大阪)
山田直輝(浦和レッズ)
FW
玉田圭司(名古屋グランパス)
大久保嘉人(ヴォルフスブルグ)
矢野貴章(アルビレックス新潟)
岡崎慎司(清水エスパルス)
興梠慎三(鹿島アントラーズ)


<キリンカップ2009>
◇5月27日(水)
日本代表 × チリ代表
長居スタジアム(大阪)

◇5月29日(金)
チリ代表 × ベルギー代表
フクダ電子アリーナ(千葉)

◇5月31日(日)
日本代表 × ベルギー代表
国立競技場(東京)


◇W杯アジア最終予選スケジュール

■第6戦(6月6日) ウズベキスタン戦(タシケント)

■第7戦(6月10日) カタール戦(横浜)

■第8戦(6月17日) オーストラリア戦(メルボルン)