28日、キリンカップ2009が大阪・長居スタジアムで行われ、日本代表はチリ代表と対戦した。玉田圭司(名古屋)、岡崎慎司(清水)の2トップで試合に臨んだ日本は、前半20分、24分と立て続けに岡崎が2ゴールを挙げる。後半7分には阿部勇樹(浦和)がコーナーキックからヘディングシュートを決め、試合終了間際にも本田圭佑(VVVフェンロ)がダメ押し弾を叩き込んだ。守備陣もチリを相手に完封し4−0で快勝。W杯最終予選に向けて仕上がり具合のよさをアピールした。岡田JAPANは31日(日)に東京・国立競技場でベルギー代表と対戦し、6月6日(土)にW杯出場権獲得をかけたウズベキスタン戦に臨む。

 南米の強豪相手に終始主導権握る(長居)
日本代表 4−0 チリ代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(20分、24分)、阿部勇樹(52分)、本田圭佑(89分)
 2010年南アフリカW杯への出場権をほぼ手中にしかけている岡田ジャパン。6月6日から17日にかけて行われるアジア最終予選3連戦に向けた最後のテストマッチ“キリンカップ2009”第1戦で南米の強豪チリと対戦した。チリは現在、W杯南米予選でパラグアイ、ブラジルに続き3位につけている。チリも日本同様、6日にW杯予選を控える(対パラグアイ戦、アウェー)。それだけに両国の仕上がり具合が最大のポイントだった。

 日本の先発メンバーは、海外組の合流の遅れや故障・体調不良が出たこともあり、3月に行われた最終予選バーレーン戦とは6人が入れ替わっていた。先発のチャンスが回ってきた岡崎、中村憲剛らにとっては、岡田武史監督に力をアピールする絶好の機会。彼らの活躍に期待がかかった。

 日本は前半開始から前線の岡崎、玉田らが連動して積極的な守備をみせ、チリにプレッシャーをかける。高い位置からのディフェンスでボールを奪い数多くのチャンスを演出していった。

 先制点を奪ったのは前半20分。センターライン付近からの縦パスを、ペナルティエリア外でポストとなった岡崎が落とす。そこへ走りこんだ本田が左足で強烈なミドルシュートを放つ。シュートは無回転で揺れながらゴールへ向かう。GKも必死のセーブでボールを弾いたが、そのボールに詰めたのは岡崎だった。冷静に右足で押し込み1−0とする。

 その4分後、2点目を決めたのも岡崎だった。中盤でボールをカットした中村憲が縦パスを入れる。そのボールに反応したのはDFラインからタイミングよく上がっていた中澤佑二。中澤はうまくトラップし、素早く相手DFの裏にスルーパスを出す。そのスルーパスを巧く受けた岡崎がGKの動きを見て、右足で落ち着いてボールを流し込んだ。日本は出足のいい守備とテンポのよいパス回しで2得点を奪った。

 しかし、前半37分にアクシデントが発生する。足の状態が万全でなかった玉田がケガの状態を悪化させ途中交替を余儀なくされた。

 代わってピッチに立ったのは、18歳で代表に招集された山田直輝だった。山田は非凡なパスセンスとピッチを広く使ったサイドチェンジなどで満員の観衆を沸かせた。

 後半が始まっても試合は日本ペースで進む。後半7分、右コーナーキックをニアサイドで合わせた阿部がヘディングシュートを決めて3−0。日本はこの後も攻撃の手を緩めず、試合終了間際に本田が、途中出場の香川真司、矢野貴章、山田とつないだボールを左足で流し込みダメ押し。4−0の圧勝で強豪チリを下した。

 試合後、岡田武史監督は「本田にはゴールを絡む仕事をしてほしいと思っていた。岡崎も裏に抜けるという良さを出してくれて満足している」と上機嫌で語った。代表デビューとなった山田直については「思い切ってチャレンジしてくれた。素晴らしいプレーも何本もあった。可能性を感じさせてくれた」とルーキーの働きに満足していた。

 チリ戦で課題を挙げるとすれば、右サイドから突破を許す場面が多く見られたことだろう。内田篤人の負傷により先発出場した駒野友一だったが、攻撃参加も少なく機能していない部分も多かった。中澤と阿部のセンターバックが安定した守備を見せ、決定機に繋がることは無かったが、駒野のベルギー戦での挽回に期待したい。

 南米の強豪相手に快勝した岡田JAPAN。31日にはベルギーとの対戦が控えている。この試合には中村俊も合流し、ウズベキスタン戦に近い布陣で臨むだろう。しかし、今日の試合に出場した岡崎、本田、中村憲、阿部らもいい動きを見せている。代表内での競争はチーム力を1段上げるためにも必要なこと。ほぼ固定化されている岡田JAPANの先発メンバーに危機感を与えるような動きをベルギー戦でも期待したい。

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
駒野友一
今野泰幸
阿部勇樹
MF
遠藤保仁
→橋本英郎(60分)
長谷部誠
→山口智(74分)
中村憲剛
→香川真司(82分)
本田圭佑
FW
岡崎慎司
→矢野貴章(70分)
玉田圭司
→山田直輝(37分)