FIFAコンフェデレーションズカップ南アフリカ大会は28日、決勝が行われ、ブラジルがアメリカを3−2で破り、2大会連続3度目の優勝をおさめた。前半に2点を先行されたブラジルは後半に入ってルイス・ファビアーノの2ゴールで追いつく。さらに後半39分、コーナーキックからルシオがヘディングで勝ち越しゴールを決め、逆転で連覇を達成した。

 ルイス・ファビアーノ、通算5ゴールで得点王
◇6月28日 ヨハネスブルグ・エリスパークスタジアム
ブラジル 3−2 アメリカ
【得点】
[ブ] ルイス・ファビアーノ(46分、74分)、ルシオ(84分)
[ア] クリント・デンプシー(10分)、ランドン・ドノバン(27分)
 欧米王者のスペインを準決勝で破ったアメリカの勢いは本物だった。ブラジル優位と目された決勝戦。カナリア軍団に過去15戦で1回しか勝っていないアメリカが鮮やかな先制パンチを見舞った。前半10分、右サイドからのアーリークロスをデンプシーが右足でうまく合わせ、ゴールネットを揺らす。ややプレスの弱かった相手の立ち上がりを的確に突いた得点だった。

 1点を追う立場となったブラジルはロビーニョ、フェリペ・メロ、マイコンとグループリーグのアメリカ戦でゴールを決めた3選手がそろってシュートをみせ、反撃を開始する。しかし、いずれもアメリカのGKティム・ハワードに阻まれ、追いつけない。ブラジルはゲームを支配しながら、相手DF陣を崩せず、フラストレーションのたまる展開となった。

 そんな王者の焦りが、らしからぬミスを呼ぶ。前半27分、パスカットを許してボールを奪われると、アメリカは一気の速攻。ゴール前に駆け上がったドノバンが左サイドからの折り返しを受ける。ドノバンは慌てて戻ったブラジルDFを冷静にかわしてシュート。アメリカに大きな2点目が入った。前半はこのまま2−0で終了。アメリカにとって主要国際大会初の戴冠が残り45分と迫っていた。

 だが、サッカーは2−0からの戦い方がもっとも難しい。後半に入ると前回大会の覇者が底力を見せた。後半開始1分、右サイドからマイコンのクロスがルイス・ファビアーノへ渡る。今大会3得点のストライカーが振り向きざまに左足を振りぬくと、強烈なシュートがゴールマウスへ。この1点でブラジルは完全に息を吹き返した。その後も黄色いユニホームが相手陣内を縦横無尽に駆け巡り、アメリカゴールを脅かす。後半15分にはゴールラインを割ったようにも見えたカカのヘッドもあり、ブラジルの猛攻が続いた。

 なんとか耐え忍んできたアメリカだが、後半29分、とうとう追いつかれる。左サイドからカカの低いクロスにロビーニョが右足でシュート。これはバーを叩いたものの、ルイス・ファビアーノがこぼれ球を狙っていた。今度は泥臭く頭で押し込む同点ゴール。完全に試合の流れはブラジルへ傾いた。

 さらに攻勢を強めたカナリア軍団は後半39分、コーナーキックからルシオが頭で合わせて勝ち越し。最後はうまく時間を使って、1点差を守りきった。今大会のブラジルはグループリーグから負けなしの5勝で完全優勝。準決勝の南アフリカ戦、決勝のアメリカ戦と格下相手に苦戦しながら、最後は勝負強さをみせた。ただ、これまでコンフェデ杯を制した国が、翌年のW杯で優勝した経験はない。前回のコンフェデ杯を優勝したブラジルも、ドイツW杯では8強止まりだった。果たして、そのジンクスを王者は打ち破ることができるのか。なお、大会MVPにあたるゴールデンボールはカカが受賞した。

 また決勝に先立って行われた3位決定戦ではスペインが地元の南アフリカを延長の末、3−2で下した。先制を許したスペインは終了間際、ダニ・グイサの連続ゴールで逆転に成功。しかし、ホームの声援を味方につけた南アフリカはロスタイムにカトレゴ・ムフェラが直接FKを鮮やかに決め、同点に追いつく。熱戦に終止符が打たれたのは延長後半2分。スペインは左サイドでFKのチャンスを得ると、これをシャビ・アロンソが直接ゴールに叩き込み、粘るホスト国を振り切った。

 南ア、世界ランク1位相手に健闘
◇6月28日 ルステンブルク ロイヤル・バフォケン・スタジアム
スペイン 3−2 南アフリカ
【得点】
[ス] ダニ・グイサ(88分、89分)、シャビ・アロンソ(108分)
[南] カトレゴ・ムフェラ(73分、90+3分)