5日、サッカー日本代表はキリン杯第2戦でコロンビア代表と埼玉スタジアムで対戦。前半をスコアレスで折り返した日本は後半に押し込んだが、決勝点を奪うことはできなかった。

◇6月5日、埼玉ス
日本代表 0−0 コロンビア
 強豪コロンビアの壁を最後まで崩すことはできなかった。

 オシム監督は思い切って4−5−1の新布陣を試した。2戦連発中のFW高原のワントップ、トップ下にオシム体制初出場となるMF稲本、右翼にMF中村俊、左翼にMF遠藤が入った。左サイドバックには、稲本と同じくオシムジャパン初出場のDF中田が起用された。対するコロンビアはDFイバン・コルドバ(インテル)をベンチに温存した。

 試合は、序盤から1対1に強さを見せるコロンビアが主導権を握った。新システムの日本はコロンビアの素早いプレスに苦しみ、ボールをなかなか前線につなぐことができない。

 前半で最大のチャンスは12分の場面。MF中村憲が稲本とのワンツーからゴール前へ飛び出し、低い弾道のシュートを左隅へ放つ。だが、GKの好セーブにあって得点には結びつかない。

 逆に日本はミスからピンチを招く。14分には、自軍ゴール前で中村俊がボールを失い、FWエディソンにフィニッシュまで持ち込まれるが、シュートはわずかに左隅へ外れる。18分にも、こぼれ球を拾ったMFダビドにミドルシュートを打たれるも、左上へそれた。失点はしなかったが、前半はコロンビアに圧倒された形だった。

 日本は後半、リズムを変えるべく、動きに精彩を欠いた稲本、中田を外して、MF羽生、DF今野を投入。運動量の多い2人がピッチに入ったことで、徐々にペースをつかんでいく。

 後半14分、その今野が左サイドを突破し、中央へ低いクロス。これを中村俊、遠藤とつないで最後は中村憲が右足で狙うが、シュートはゴール上へ。試合終了間際の43分には、中村憲の右クロスをファーサイドの高原が頭で合わせるが、左へそれる。コロンビアを押し込みながらも、最後の詰めを欠いてしまう。

 結局、試合はスコアレスのまま終了。決めるべきチャンスを決められず、アジア杯前の最後の調整試合は、消化不良の感が残った。

【コロンビア監督「日本人は個人技が足りない」】
 
 課題が数多く見えたゲームだった。「『カミカゼシステム』と選手には言った」(オシム監督)という急造の攻撃的布陣はチームにうまくフィットせず、ビルドアップの時点でミスが多発。前半はコロンビアに押し込まれて、「『カミカゼシステム』は機能しなかった」とオシム監督が話すほどだった。

 逆に、後半は過密日程の疲れが見えるコロンビアを押し込んだ。コロンビアのホルヘ・ルイス監督が「前半はウチが押し込んだが、後半になって、日本が対応してきた。際どい場面を何度も作られた」と語るようにいくつか好機はつくった。だが、肝心のフィニッシュが正確でなく、決定力不足を露呈した。

「後半は明らかによい内容だった。ボクシングの日本の判定勝ち」とオシム監督は胸を張ったが、決して手放しでは喜べない内容だ。ホルヘ監督には「日本はダイナミックでリズミカルな攻撃をするが個人技が足りない」と欠点を指摘された。

 ただ、逆に考えれば膿を出せた試合ともいえる。オシム監督は「コロンビアのようなテクニックのあるチームとやれて、色々なことを学ぶことができた」と収穫を口にした。稲本、中田浩という海外組を試せた点も大きい。2人は「フィジカルコンディションに問題があった」(オシム監督)という理由で前半45分での交代を余儀なくされたが、オシム監督は「この問題を改善するのは簡単だ」とも話した。

 問題は、このゲームで得た教訓をアジア杯に生かせるか。1対1の球際、最後のフィニッシュと一朝一夕では解決しがたい課題が改めて浮かび上がったが、残された時間で一つでも多く改善しなければならない。

<日本代表出場選手>

GK
川口能活

DF
中澤佑二
中田浩二
⇒今野泰幸(45分)
阿部勇樹
駒野友一

MF
稲本潤一
⇒羽生直剛(45分)
遠藤保仁
⇒巻誠一郎(80分)
鈴木啓太
中村憲剛
中村俊輔
⇒藤本淳吾(88分)

FW
高原直泰
⇒播戸竜二(90分)