24日、サッカー日本代表はキリン杯第1戦でモンテネグロ代表と静岡スタジアムエコパで対戦。前半にFW高原の2試合連続ゴールを含む2点を奪って、快勝した。日本は5日に埼玉スタジアムでコロンビア代表と戦う。

◇6月1日、静岡ス
日本代表 2−0 モンテネグロ代表
【得点】
[日] 中澤佑二(23分)、高原直泰(37分)
 3連覇がかかったアジア杯に向けて、日本が課題を残しつつも完封勝ちを収めた。

 注目の海外組は唯一FW高原のみが先発に名を連ねた。足首を傷めているMF中村俊はメンバー入りせず。30日にチームに合流したばかりのMF稲本、DF中田浩はベンチスタートで、最後まで出番はなかった。

 また、前回のペルー戦から思い切ったメンバー変更が行われた。国際Aマッチ出場1試合のFW矢野が高原のパートナーに抜擢され、今回オシム体制初選出のGK楢崎がゴールマウスに立った。

 試合は、序盤から日本が運動量の少ないモンテネグロを攻め立てる。前半10分には、左サイドの山岸がPA内に思い切りよく走りこんでMF遠藤のロングパスを引き出す。その4分後にも、フィニッシュには持ち込めなかったものの、高原のスルーパスに矢野が反応。スペースに積極的に飛び込む機動性あふれる攻撃を展開した。

 その流れから前半23分に待望の先制点が生まれる。左サイドのコーナーキック。ショートコーナーから遠藤がファーサイドへ緩やかな弾道のボールを送ると、187センチの中澤が同じく187センチのDFブヨビッチに競り勝ってヘッド。このシュートがGKの頭上を破った。

「ヤット(遠藤)からいいボールがきたので、枠に飛ばすだけだった。いい時間帯でとれたと思う」(中澤)

 さらに同37分には流れるような展開から追加点。右サイドでMF中村憲のサイドチェンジを受けたDF駒野が中央へクロス。ニアサイドに走りこんだ高原が頭で合わせ、ゴール右隅へ突き刺した。中村憲の展開力、駒野の正確なクロス、高原のスペースへ飛び込むタイミングの全てがかみあったビューティフルゴールだった。

 前半は終始攻勢だった日本は、後半に入るとペースダウンする。同8分、ゴール正面でフリーでボールを受けた中村憲がフィニッシュに持ち込むも、シュートはゴール右上へ。攻めはするものの、一つ一つのプレーに正確性を欠き、追加点が奪えない。21分には、高原のファウルでモンテネグロにPKを献上したが、FWブルザノビッチが左に外し、相手のミスに助けられる。

 その後、U-22世代のMF水野ら次々と選手をピッチに送り込むが、一度沈滞した流れは元に戻らなかった。後半40分には、途中出場のFW巻が左CKを頭で叩きつけるがGKの正面へ。結局、3点目は奪えず、2−0のままで試合を終えた。

 試合後、オシム監督は「選手はよくやった。こういう初戦は難しいが、何とか勝てた」と話しながらも「内容については満足していない。我々の求めるものはワンタッチ、ツータッチで人もボールも動くサッカーだが、個人プレーに走る選手がいたことでゲームがこわれる時間帯があった」と課題を指摘した。

  キリン杯第2戦・コロンビア戦は6月5日、埼玉スタジアムで行われる。

【海外組をどう組み込むか】

 オシムジャパンにとって、今回のモンテネグロ戦の意義は大きい。確かに、3日前に来日した対戦相手のモンテネグロはコンディションに問題を抱えていたのか、精彩を欠いた。球際は激しく当たってきたが、運動量が少なく、中盤で日本の選手をフリーにする場面が目立った。後半21分には絶好のPKも決めきれなかった。その相手に対して、日本は3点目を奪えず、最後の詰めを欠いてしまった。

 たが、一方で収穫が多かったのも事実。1点目の場面では、中澤が体格のいい屈強な相手に負けないことを証明した。2点目は、今年初の流れの中でのゴールだった。2試合連続得点の高原が前線の軸となりつつあること、ゴールまでの過程がよかったことも意義深い。他にも、駒野の積極果敢な攻め上がり、阿部の臨機応変なポジションチェンジなど今回のゲームで見えたプラス面は多い。

 チームは確実に進歩している。当面の課題は、国内組を中心に熟成しつつあるチームに海外組をどう組み込むかということ。5日のコロンビア戦では今回出場しなかった中村俊、稲本、中田浩の出場が見込まれる。彼らの加入でチームのバランスが崩れては元も子もない。アジア杯に向けて、無理のない形で海外組をチームに取り込んでいく必要がありそうだ。

<2試合連続のゴールを決めた高原選手のコメント>
「まだまだとは思うが、チームとして結果を出せたことはよかった。とにかく、今の調子を続けることが大事。誰と2トップを組んでも、やるべきことをやることは変わらない。今回のゲームは(2トップのコンビネーションが)良かったと思う。6日のコロンビア戦でも自分たちの目指すサッカーを表現したい」

<日本代表先発メンバー>

GK
楢崎正剛

DF
坪井慶介
中澤佑二
駒野友一

MF
阿部勇樹
遠藤保仁
⇒今野泰幸(79分)
鈴木啓太
⇒橋本英郎(88分)
中村憲剛
⇒藤本淳吾(88分)
山岸智
⇒佐藤寿人(62分)

FW
高原直泰
⇒水野晃樹(68分)
矢野貴章
⇒巻誠一郎(80分)