イタリア・ローマで開催されている水泳世界選手権で、28日に競泳3日目が行われ、男子背泳ぎ100m決勝で古賀淳也(早稲田大)が52秒26の大会新記録で優勝した。今大会で日本人初めてのメダル獲得で、第1号は金メダルとなった。ライバルと目されていた入江陵介(近畿大)は後半に追い上げたものの4位でフィニッシュ。3位と0.09秒差で惜しくもメダルには届かなかった。
 水着の性能などで苦戦が強いられていた日本勢だったが、メダル第1号は最も輝く色となった。前日の準決勝を1位タイムで通過した古賀は、決勝でも素晴らしい泳ぎを見せた。好スタートから先頭に立った古賀は前半から快調に飛ばした。50mのターンでは2位にわずかの差をつけトップで折り返す。後半に入っても古賀のスピードは衰えるどころが、2位以下とのリードをさらに広げ、残り20mからは頭一つ抜け出しそのままゴール。自身の持つ日本記録を0.13秒更新する好タイムで世界一の座についた。2位にはヘルゲ・ミュー(ドイツ)、3位にはアシュビン・ウィルデブール(スペイン)が入った。

 古賀はもともと50mで強さを発揮するスピードタイプだったが、スタミナを強化し距離の壁を克服した。ライバルの入江の影に隠れていたものの、直前の日本選手権でも100mで入江に競り勝ち優勝。100mでは2人同時のメダル獲得に期待が集まっていた。

「昨日の夜からリラックスできていたので、(決勝は)いいイメージしか湧かなかった。入江の泳ぎは意識したが、日の丸を(表彰式の)真ん中に立てることだけを考えていたので、ライバルというより仲間という意識で泳いだ。50mでは1位を取ることと世界記録を狙いたい」とレース後に語った古賀。金メダル獲得の勢いそのままに、次の目標は最終日に決勝を控える50m背泳ぎだ。100mを制したスプリント能力を50mでも発揮してもらいたい。

 一方、4位に敗れた入江が最も得意とするのは31日に決勝が行なわれる200m背泳ぎ。ライバルに後塵を拝し悔しい想いをした100mの分まで、得意の舞台で金メダル獲得と世界記録更新を狙いたい。

【男子100m背泳ぎ】
1位 古賀淳也(早稲田大) 52秒26 (大会記録、日本記録)
2位 ヘルゲ・ミュー(ドイツ) 52秒54
3位 アシュビン・ウェルデブール(スペイン) 52秒64
4位 入江陵介(近畿大) 52秒73