31日、プロ野球日本シリーズが札幌ドームで開幕した。リーグ覇者同士の対戦となった今シリーズの初戦は、チャンスを確実にモノにした巨人が4−3で北海道日本ハムを下し、7年ぶりの日本一に向けて白星スタートを切った。

◇第1戦
 坂本、勝ち越し2点タイムリー(巨人1勝0敗、札幌ドーム)
巨人           4 = 010020100
北海道日本ハム   3 = 010001001
勝利投手 ゴンザレス(1勝0敗)
敗戦投手 武田勝(0勝1敗)
セーブ   クルーン(1S)
本塁打   (巨)谷1号ソロ
        (日)スレッジ1号ソロ
 初回は両者ともに三者凡退で終わり、静かな立ち上がりとなった。試合が動いたのは2回。巨人が6番・谷佳知の一発で先制すると、その裏、日本ハムは5番・スレッジが同点弾を放ち、すぐさま試合を振り出しに戻した。3、4回は日本ハム・武田勝、巨人・ゴンザレスの両先発陣が無失点に抑え、試合は一時膠着状態となった。

 再び試合が動いたのは5回表。谷、7番・阿部慎之助が連続ヒットで出塁すると、8番・木村拓也は送りバントを決め、1死二、三塁とした。9番・古城茂幸は三振に倒れるも、1番・坂本勇人があわやホームランかというレフトフェンス直撃の2点タイムリーを放ち、巨人が勝ち越しを決めた。

 一方、日本ハムは3、5回とランナーをスコアリングポジションに進めながら、あと一本が出ず、得点に結びつけることができずにいた。ようやく打線がつながったのは6回裏だった。先頭打者のスレッジがヒットで出塁すると、6番・小谷野栄一も続き、無死一、二塁とした。しかし7番・糸井嘉男が送りバントを試みるも、二塁ランナーが三塁ホースアウトとなり、1死一、二塁となる。

 ここで両指揮官が勝負に出た。日本ハム・梨田昌孝監督が8番・鶴岡慎也に代えて左の坪井智哉を代打に送ると、巨人・原辰徳は左の山口鉄也をマウンドに上げた。すると、梨田監督は坪井を下げ、右の二岡智宏を送った。激しいベンチワークの結果、軍配が上がったのは日本ハムだった。二岡はフルカウントからファウルで粘った後の7球目、山口のスライダーをうまくとらえる。打球は三遊間を抜け、日本ハムに貴重な1点が入った。

 しかし、巨人は7回表に代打イ・スンヨプのタイムリーで1点を追加。これが最終的には試合を決める一打となった。再び2点をリードした巨人は山口、越智大祐とつなぎ、日本ハムの追い上げを許さなかった。

 そして迎えた9回裏、巨人は満を持して守護神・クルーンをマウンドに上げた。対する日本ハムは1番・田中賢介からという好打順。田中はなんとか反撃の糸口をつかもうと、セーフティバントを試みるも、150キロのスピードに押され、小フライとなる。しかし、上がったところが良かった。クルーンが必死に腕を伸ばして取ろうとするも、打球はマウンドと二塁の間にポトリと落ちたのだ。続く2番・森本哲稀は内野ゴロ、3番・稲葉篤紀はライトフライに倒れるも、田中は三塁へ進んだ。打席には頼れる4番・高橋信二。高橋は初球、甘く入ったスライダーを迷わず振り抜いた。フェンス直撃のタイムリー二塁打となり、日本ハムが1点差に迫る。

 そして続くスレッジはフルカウントから四球を選び、2死ながら一、二塁とした。一塁ランナーが返れば、日本ハムのサヨナラ勝ちとなる。果たして東北楽天とのクライマックスシリーズで見せた奇跡の逆転劇はあるのか。しかし、ここはクルーンが踏ん張った。小谷野をカウント2−2と追い込むと、最後はフォークが抜けて真ん中に入るも、これを小谷野が見逃して三振に倒れた。

 1点をなんとか死守した巨人がまずは先手をとった今シリーズ。明日の第2戦も札幌ドームで行なわれる。初戦から接戦となり、今後はさらに激しい攻防が繰り広げられそうだ。