3日、ヤマザキナビスコカップ決勝が東京・国立競技場で行なわれる。決勝に駒を進めたのは5年ぶり2度目のカップ戦制覇を狙うFC東京と念願の初タイトル獲得を目論む川崎フロンターレだ。お互いの本拠地が近くライバル関係にある両クラブ。14時5分にキックオフされる試合には4万を超えるサポーターがつめかけ、熱戦を見守る。
 3月から行なわれてきたJリーグカップ戦のヤマザキナビスコカップ。リーグ戦やアジアチャンピオンズリーグ(ACL)と並行して行なわれてきたが、11月3日(祝)に決勝の時を迎える。国立の地にたどり着いたのは、ホームタウンを東京近郊におくFC東京と川崎フロンターレだ。両者の対決はスタジアムが多摩川を挟んで位置するため“多摩川クラシコ”として人気のカードだが、奇しくも今季3度目の“多摩川クラシコ”は東京の真ん中、日本サッカーの聖地で行われることとなった。

 5年ぶりのカップ制覇を目指すFC東京は、満身創痍の中、決戦に臨む。今季好調を維持し、クラブを牽引してきた石川直宏が左膝前十字靭帯不全損傷で離脱し、攻撃面での戦力ダウンは否めない。また、左サイドバックの長友佑都も右肩を痛め出場は微妙な情勢だ。2人の日本代表選手を欠き、厳しい戦いが予想される。

 ただ、ここへきてチームはリーグ戦5連勝と昇り調子だ。「(現状の)100%の力を出し切るしかない」と大一番を前に自然体で振舞う城福浩監督の姿には、決勝前とは思えない落ち着きがある。選手たちにも石川選手の分までという想いは大きいはずだ。下馬評では不利と言われているだけに、開き直ってプレーできれば勝機は十分に見えてくる。

 一方の川崎フロンターレは、ケガによる数名の脱落はあるが、ほぼベストメンバーで決勝に臨むことになる。さらに、ここへきて守備のキーマン寺田周平が復帰する可能性も出てきた。故障明けとはいえ、寺田がピッチにいるのといないのでは安定感が違う。決勝での復帰となれば、DF面で大きなプラスとなる。

 攻撃陣も好調をキープ。鄭大世にジュニーニョ、レナチーニョといったアタッカー陣は驚異的な破壊力を誇り、リーグ戦57ゴールはリーグ1位だ。中盤から中村憲剛が試合を組み立て、機を見てボランチから谷口博之が顔を出しゴールを狙う。FC東京と同様に、現在リーグ戦で5連勝中。これまでACLとの過密日程に苦しんできたが、皮肉にも準々決勝で敗退したことによって、選手のコンディションは上向いてきた。今年のリーグ戦で2戦2勝とライバルとの相性もよい。悲願の初タイトルに向け視界は良好だ。

 しかし、一発勝負の決勝だけに何が起こるかわからない。川崎は2年前の決勝、初優勝目前でガンバ大阪の軍門に下っている。これまで惜しいところまでいきながら、タイトルに手が届いていないことも事実。FC東京は5年前に浦和に苦しめられながらもPK戦をものにし栄冠を勝ち取っている。この経験の差は、意外に大きいかもしれない。

 いずれにせよ、強烈なライバル関係にある両者の戦いは激戦必至だ。リーグ戦における順位は関係なく、どちらも譲れない戦いとなる。FC東京が2度目のカップ戦制覇なるか。それとも、川崎の悲願達成か。注目の決勝は14時5分にキックオフされる。