丸佳浩は選球眼のいいバッターである。昨季、選んだ四球数100は、セ・リーグでトップ。出塁率4割1分9厘はウラディミール・バレンティン(東京ヤクルト)とわずか3糸差のリーグ2位だった。

 侍ジャパンでもレギュラー格の丸に、ストライクゾーンで勝負するピッチャーは少ない。いかにボール球を振らせるか――。これが他球団のバッテリーに共通するテーマである。

 もちろん丸も、そのことは重々承知だ。キャンプ地の沖縄でそのことを訊ねると「今年の目標は低めのボール球に手を出さないことです」と答えた。

 シーズンの目標に打率や打点、あるいはホームラン数をあげるバッターは少なくない。問題は、それを達成するために、どうするかだ。

 丸の目標は具体的だ。低めのボール球を捨てれば、自ずと打率も出塁率も上がり、ひいてはチームに貢献できると考えているのだろう。

 低めのボール球といっても、最初からボールゾーンにきた球に手を出すバッターはいない。ストライクゾーンからボールゾーンに落ちる、あるいは曲がる球が厄介なのだ。

  これを、しっかり見切ることができれば、間違いなく昨季を上回る成績を残すことができるはずだ。

 丸がレギュラーの座を掴んだのは2011年だが、この年の打率は2割4分1厘、出塁率は3割1分9厘だった。12年は2割4分7厘、3割5分3厘。13年は2割7分3厘、3割7分6厘。そして14年は3割1分、4割1分9厘と、文字通り右肩上がりだ。課題を明確にし、それを具体的にひとつひとつ解決していく力が、丸の最大の強みなのだろう。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)

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