9日、都内ホテルで埼玉西武の新人選手入団発表が行なわれた。6球団1位指名の競合の末に入団が決まった菊池雄星(花巻東高)をはじめとする6人のルーキーが真新しいユニホーム姿で小林信次球団代表、渡辺久信監督とともに登場。詰め掛けた大勢の報道陣の前で一人ひとり挨拶を行なった。
(写真:丁寧に記者の質問に答える菊池)
 眩しいほどの無数のフラッシュの中、登場した6人の選手たちは皆、一様に緊張した表情を浮かべていた。その中心にいたのが今秋ドラフト最大の目玉として注目された菊池だ。挨拶のトップを飾った菊池は「日本を代表するような愛されるピッチャーになりたい」と豊富を語った。

 西武は今オフ、現役最高齢投手の工藤公康が16年ぶりに復帰し、同じサウスポーの菊池との競演が話題となっている。当の菊池も報道陣に配られた資料のプロフィール中の「目標とする選手」に工藤を挙げており、「自分自身も1年でも1日でも長く現役を続けたいと思っているので、45歳を過ぎても投げられるようなピッチャーになるためには、どういう考え方で、どういう取り組み方をすればいいのかを聞きたい」と、来季プロ29年目を迎える大ベテランへの思いを語った。

 また、菊池と同じく高卒ルーキーとして1984年に西武に入団した渡辺監督。1年目から一軍に定着したその活躍ぶりについて聞かれると、菊池は「自分自身はまだまだ一軍で投げられるレベルではないが、少しでも早く一軍で投げたいので、どうすれば活躍できるようになるのかを聞いてみたい」と隣席に座る指揮官にアドバイスを求めた。

 それに対して渡辺監督は「プロで活躍するためには、まずは身体づくりが大切になってくる。自分は入団時、体重が73キロくらいとあまりにも細すぎて周囲からは『体重を増やさなくてはいけない』と言われた。とにかくコンディショニングというのはすごく大切なこと。『ここまでやったらよくないな』ということが自分でわかるようになってくれば、ある程度大丈夫だと思う」と身体づくりの重要性を説いた。さらに「(菊池には)せこせことしたピッチングではなく、思い切って投げ込んでもらいたい。10年くらい一線でローテーションを張れるようなダイナミックな投手に成長してほしい」と将来のエース候補にエールを送った。

 会見中、「自分はまだ一軍で投げられるレベルではない」と何度も繰り返した菊池。プロの世界でもより一層努力しなければならないことを自ら噛み締めるように、記者からの質問に一つ一つ丁寧に答えるその様は、精神年齢の高さを物語っていた。
 菊池雄星、18歳。果たして彼の前途にはどんなことが待ち受けているのか。そしてデビュー戦は……。将来、日本のエースとなるであろう彼の一挙手一投足が注目される。

 各選手の質疑応答は次の通り。

菊池雄星(花巻東高)> 投手/背番号17
―― ユニホームに袖を通して壇上にいる今の気持ちは?
「伝統のあるチームに入らせてもらい、期待と結果を出さなくてはいけないという責任を感じている」
―― 背番号「17」の自分の姿は?
「エースを支える番号だと思っている。少しでもピッチャー陣、チームの力になれるようになりたい」
―― (壇上に上がる前に)渡辺監督と握手をかわしたときの気持ちは?
「改めて西武で投げるという決意も固まった。渡辺監督のような素晴らしいピッチャーになれるように頑張っていきたい」
―― セールスポイントは?
「真っすぐをよく取り上げられるが、自分の中ではスピードや変化球以上に野球に対する姿勢を大事にしてきたので、それが一番の長所だと思っている」
―― ファンにメッセージを。
「まだ一軍で投げられるレベルではないので、毎日練習して少しでも早く一軍のマウンドで投げられるようにして、西武ドームで投げる姿を見せたい」

美沢将(第一工業大学)> 内野手/背番号44
―― ユニホームを着て壇上にいる今の気持ちは?
「幼い頃からライオンズファンだったので、今ライオンズのユニホームを着てここにいることを光栄に思う」
―― 憧れの選手は?
「中島裕之さんのように三拍子そろった日本を代表とするプレーヤーになりたい」

岩尾利弘(別府大学)> 投手/背番号12
―― ユニホームを着た今の気持ちは?
「ユニホームを着る前は半分ほどしか自覚がなかったが、今は早く大分に帰って練習したい」
―― 同期にはピッチャーが4人いるが、「ここだけは負けない」というところは?
「全体的に低めに投げられるコントロールと変化球を使うタイミングには自信がある」

石川貢(東邦高)> 外野手/背番号53
―― 渡辺監督と握手をした時の気持ちは?
「実感がわかなかったが、(監督に)お会いしてみて西武の一員となったということを改めて実感した」
―― セールスポイントは?
「足が一番のセールスポイント。将来は一軍で1番、2番を打てるように頑張りたい」

松下建太(早稲田大)> 投手/背番号35
―― ライオンズの一員になったという実感は?
「自分自身が一番憧れていた球団のユニホームを着れたことは嬉しい。ユニホームを見た瞬間からプロ野球選手になったという気持ちになった」
―― プロではどんなところを出していきたいか?
「リズムやテンポ、球のキレを一番大事にしてきたので、プロ野球の世界でもそこを大事に投げていきたい」

岡本洋介(ヤマハ)> 投手/背番号30
―― セールスポイントは?
「マウンドに立ったら、誰にも負けないという強い気持ちで投げているので、そこを見てもらいたい」
―― ファンにメッセージを。
「球団を支えてくれているファンの方々に少しでも恩返しができるよう、少しでも早く一軍に上がって投げたいので、応援よろしくお願いします」