創部13年目の徳島県立城東高校硬式野球部。今秋、早くもプロ野球選手が誕生した。第10期生の武内久士(法政大)だ。185センチ、95キロの恵まれた体格から投げ下ろされるストレートは最速154キロ。メジャーからも注目された剛腕は将来、広島の守護神を狙う。
―― ドラフト当日、広島から指名された瞬間は?
武内: 合宿所の自分の部屋でインターネットで確認していたのですが、なかなか名前が出てこなくて……。金光興二監督からも「どうなるかわからない」と言われいましたし、正直不安な気持ちの方が強かったです。だから自分の名前を見つけたときは、ホッとしました。

―― 母校の城東高校出身者としてはプロ第一号。
武内: もっと母校を強くするためには自分がプロの第一線で活躍をして、目標の選手にしてもらえるようにならなければいけないと思っています。高校時代の監督からも「入っただけで満足するのではなく、これからが勝負だぞ」と言われました。

―― 球団からはどんな期待をされているのか?
武内: 指名の挨拶に来ていただいた苑田聡彦スカウト部長からは「リリーフピッチャーとして期待している」と言ってもらいました。最終的には抑えをやりたいという気持ちはありますが、まだそのレベルではないので、当面は中継ぎとして起用されるのではないかと思います。

―― 広島という球団へのイメージは?
武内: 昨年、広島に入団した法政大学の先輩・小松剛さんからいろいろと話を聞いていますが、やっぱり練習が厳しいということですね。それと、若手の選手が試合によく出ているという印象があります。

―― 小松選手からプロとしてのアドバイスは?
武内: このオフシーズンにしっかりとトレーニングしておかないと、厳しい練習についてこれないぞ、と言われています。

 大学4年間は決して順風満帆ではなかった。2年秋には1イニング7失点を喫し、自信を喪失。野球を辞めようと思ったこともある。そして4年春は右肩の故障で戦線離脱。チームは14年ぶりの大学日本一を達成するも、何もできなかった自分に悔しさが込み上げてきた――果たして、武田内はどのようにして苦難を乗り越えてきたのか。

―― 今春は肩のケガで1試合も登板がなかった。
武内: 実は一時治りかけたんですけど、その時に少し焦ってしまったのがよくなかった。チームが優勝したのは嬉しかったですけど、自分がその中にいなかったというのはやっぱり悔しかったですね。でも、その悔しさがあったからこそ、夏の練習も頑張れましたし、今は結果的にはよかったかなと思えます。

―― モチベーションはどのように保ち続けたのか?
武内: 試合のたびに投げたくて仕方なかったですね。でも、ここを我慢して他のみんなよりも練習すれば、秋は絶対に活躍できると信じていました。

―― 大学4年間で一番の試練は?
武内: 2年秋ですね。立教大学戦、僕は2点ビハインドの9回から登板したんです。その裏にチームが2点を挙げて4−4の同点。延長に入ったのですが、11回に7失点を喫しました。とにかく恥ずかしいのと悔しいのとで、「早く代えてくれ」と思っていました。でも、結局最後まで投げたんです。本当に辛かったですよ。キャッチャーの方には「全部オレが悪いんだから、気にするな」と言ってもらいましたけど、一時は野球を辞めようかなと考えましたね。でも、監督や両親と話をするうちに「このままでは終われない」という気持ちが芽生えて、冬の練習もムチャクチャ頑張ったんです。その成果が翌年の好成績につながったんだと思います。

 ストレートで真っ向勝負!

 将来的には抑えを任せてもらえるようなピッチャーを目指したい、という武内。負けん気の強さが持ち味という彼のピッチングへのこだわりについて訊いた。

―― 高校時代はエースだった。先発へのこだわりはない?
武内: 大学に入ってから先発する機会がなかったですね。最初は先発で投げたいなという気持ちもありました。でも、今ではリリーフピッチャーとして頑張っていきたいと思っています。

―― リリーフならではの苦労は?
武内: 先発は自分で試合の流れをつくることができますが、リリーフは流れが出来上がった中で、短いイニングを抑えなければいけません。時にはランナーがいる状態でマウンドに上がる時もある。プレッシャーは大きいと思いますね。

―― マウンドでは緊張する?
武内: 結構、緊張しちゃいますね(笑)。マウンドに立つと毎回足が震えるんですよ。もちろん、ブルペンで気持ちをつくっていくんですけど、やっぱりマウンドに行くと足が震える。高校まではそんなこと、なかったんですけどね。でも、マウンド上で深呼吸して、投球練習で思いっきり投げると、足の震えは止まるんです。だから、投球練習ではストライクが入る入らないは気にせずに、とにかく思いっきり投げるように心がけています。

―― ピッチングへのこだわりは?
武内: やっぱりストレートには一番こだわっています。スピードだけあっても打たれると思うので、ストレートとわかっていても打てないというようなキレのある重いボールを投げたいと思っています。

―― 対戦したいバッターは?
武内: 個人の選手というよりは、巨人の打者と対戦したいですね。徳島ではほとんど巨人戦しか映りません。だから、ずっとテレビで見てきた選手と対戦してみたいんです。

―― ファンへのアピールポイントは?
武内: 一番見てもらいたいところはストレートで空振りの三振をとるところ。同じ三振でも自分としては見逃しよりも空振りにこだわっています。見逃しはコースがよかったから、ということも考えられますけど、空振りの場合はたとえど真ん中だったとしても空振りしてくれれば、「自分の球が勝った!」という喜びがあるんです。

―― 座右の銘は?
武内: 「真っ向勝負」です。どんな強打者にも逃げずに、ストレートで向かっていく強気のピッチングをしたいなと。

 1998年から12年連続Bクラスと、低迷が続く広島。今オフには、マーティ・ブラウン前監督(現・東北楽天監督)から野村謙二郎新監督へとバトンタッチし、新規一転、チーム再建を目指す。即戦力としての呼び声高い武内。チーム復活の起爆剤となる活躍を期待したい。


武内久士(たけうち・ひさし)プロフィール>
1987年11月29日、徳島県出身。中学2年から投手一本。城東高校では3年時にエースとして夏の県大会ベスト8に進出。法政大学では2年春からベンチ入りし、主にリリーフとして活躍。3年時にはハーレム・ベースボールウィーク、世界大学選手権の代表に選出され、国際大会を経験した。身長184センチ、体重83キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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