4月は開幕1軍入りを果たしたガイナーズ出身の又吉克樹(中日)のピッチングに刺激を受けた1カ月間でした。

 開幕から14試合に登板し、4月17日の横浜DeNA戦では初勝利。セットアッパーの浅尾拓也が不在の中、田島慎二、福谷浩司とともに中継ぎで重要な局面を任され、いいスタートを切ったように映りました。

 しかし、慣れてくると同時に怖さも出てくるのがNPB1軍の世界です。「打たれてはいけない」と慎重になりすぎるあまり、最近の登板ではボール先行で四球を出してしまう場面も増えていました。

 疲れも出たのか、持ち味であるストレートに一時のようなキレがなく、2試合連続で失点。結局、4月27日に2軍落ちとなってしまいました。

 翌日、電話をすると、少ししょげていましたが、これは誰もが通る道です。悔しさを糧に、どれだけレベルアップして、1軍に這い上がってこられるかどうか。ここで真価が問われます。

 キャンプからずっと1軍だっただけに、彼にとって2軍暮らしは初の経験でしょう。試合や遠征が続き、日々、結果が求められる1軍とは違い、2軍では自分を見つめ直す時間ができます。賢い彼のことですから、課題は自覚しているはず。少しリフレッシュして徹底して取り組んでほしいものです。

 やはり中継ぎであれば、上原浩治のように四球を出さないことが第一です。又吉のピッチングを見ていると、初球を簡単に打たれるケースも目立ちました。決して球種は多くないだけにアウトロー、インハイにきっちり投げ分ける制球力が今後はより必要になるでしょう。

 香川では僕は投手陣に「1-0で9回2死満塁、3-2のカウントと思って1球1球練習するように」と話をしてきました。又吉も、これをきっと覚えているはずです。NPBでは1球が命取りになることは身をもって感じたでしょうから、壁を乗り越えてほしいと願っています。

 シーズンは長く、まだ始まったばかり。現状、抑えの岩瀬仁紀も田島も不調で中日のブルペンは盤石とは言い難い状況です。巨人戦では連投でもほぼ完璧に抑えていましたし、チャンスは必ず巡ってきます。

 大切なのは、その時にきちんと抑えて結果を残すこと。次に1軍に上がった時は、10試合連続で無失点を続けられるようなピッチングをみせてほしいものです。又吉の力をもってすれば、それは十分可能でしょう。ぜひ、また一回り大きくなった姿を1軍のマウンドで見せてほしいと期待しています。

 アイランドリーグも開幕から1カ月が経ちました。現状は5勝2敗2分の首位。いろんな選手をやりくりしながら起用する中で、投打のバランスが整ってきました。4月最後の試合となった27日の高知戦では初登板初先発となった太田圭祐が5回1失点の好投。ミャンマーからやってきたゾーゾーウーも今季最初の登板で打者ひとりを抑えました。

 打線では開幕前から4番で考えていた宗雪将司が打率.606と大当たりをみせています。オープン戦はいまひとつで心配しましたが、公式戦に入ってうまくヒットが出たのが良かったのでしょう。

 とはいえ、この調子がずっと続くわけはありません。ヒットが多い割に7打点と少ないのは4番としてはまだまだです。仮に4打数1安打でも、その1本がタイムリーとなるような勝負強さも今後は養ってほしいと感じています。

 また、予想以上に頑張っているのが、ルーキーの長安駿作です。チームでは宗雪に次ぐ打率.323。2本のホームランを放っています。実戦を重ねる中で、ボールを呼び込み、自分のポイントでしっかりとらえられるようになってきました。入団前に足首をケガしていた影響で、まだ守りは本来の状態ではありませんが、打撃に関しては申し分ない活躍をみせています。 

 今季は各チームとも外国人が多く、彼らの合流が遅かった分、4月は例年以上に戦力チェックをしながらの戦いだったのではないでしょうか。チームのかたちが固まってきた5月からが本当の勝負です。1試合1試合、良かった点、悪かった点をミーティングであぶり出し、質を高めていきたいと考えています。

 ここまででは徳島相手に4-0で完封勝ちした試合(4月24日)が理想に近い野球です。次の試合は高知相手に20-4の大勝(4月27日)だったものの、こういったゲームは滅多にありません。

 もちろん、大差で勝つに越したことはありませんが、選手は苦しい展開、際どい試合を乗り切ることで成長します。今後も接戦をひとつひとつモノにしながら、個の力もチーム力も高めていきたいですね。

 ゴールデンウィークは連日のように試合が開催されます。試合を重ねるたびに、たくましくなっていく選手たちをぜひ皆さんも応援に来てください。

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