いよいよプロ野球のキャンプがスタートしました。ルーキーにとってはプロの第一歩。監督、コーチ、先輩に囲まれ、緊張の日々でしょう。

 僕がルーキーの時には、法大の先輩でもある山本浩二さん、PL学園高の先輩・加藤英司さんがいたので、かわいがってもらってチームにもすぐ溶け込めました。

 当時はスパイクを磨いたり、コーヒーをつくったり、雑用もルーキーの仕事。近年はスタッフが増え、新人も野球に専念できるようになったのではないでしょか。

 しかも、僕たちの頃は大学の試験が2月にあり、単位を取って卒業するために途中で戻らなくてはいけませんでした。最近はそういう選手も少なくなり、前乗りしてキャンプ地で練習するルーキーもいて恵まれているなと感じます。

 中日に入団した又吉克樹も自主トレから評価が高いと聞いています。1年、四国で投げて体力面では問題がないはずです。このキャンプでしっかりアピールし、まずは1軍で開幕を迎えられることを祈っています。

 先日、野球殿堂が発表になり、野茂英雄、佐々木主浩、秋山幸二の3名が選ばれました。いずれも同じ時代にプレーした選手だけにそれぞれ思い出があります。

 野茂は彼がルーキーの時、オープン戦で初めて対戦した時の衝撃が忘れられません。トルネードから投げるボールは出所が見にくく、タイミングがものすごくとりにくいものでした。

 その上、力のあるストレートとフォークがあるのですから、簡単にはとらえられません。細かいコントロールはなかったものの、1年目から活躍するだろうと感じました。

 佐々木は抑えに転向してから、打った記憶がほとんどありません。150キロを超えるストレートに、フォークボールを放り、1打席で打てるボールが1球あるかないか。特にフォークボールは途中までストレートの軌道と全く差がないので見分けがつきませんでした。

 野茂もフォークを武器にメジャーリーグでも奪三振王になりましたが、その落ち方はチェンジアップに近いものがありました。一方、佐々木のフォークはストレートと同じようにきて、ストンと消えるのです。しかも空振りをとるフォークと、カウントを稼ぐフォークと2種類を使い分けるのですから、これは厄介でした。

 秋山は、あの常勝西武で清原和博と並んでクリーンアップを務め続けたことに価値があります。他球団のマークが厳しい中で、2000安打、400本塁打を達成したのは「すごい」の一言です。

 バッティングのみならず、守備、走塁の能力も高く、同じ外野手から見てもレベルが違いましたね。特に印象深いのは1991年の日本シリーズ。第3戦、西武1点リードの8回、1死二塁のチャンスで僕はセンター前へヒット性の当たりを飛ばしました。

「落ちればタイムリーになる」と喜んだのもつかの間、センターを守っていた秋山がスタートよく前進し、打球をキャッチしたのです。結局、広島はそのまま0-1で敗れただけに、勝敗を分ける大きなプレーとなりました。

 こういう外野手がいれば、本当にピッチャーは助かります。守れる上に長打も打てる右打ちの外野手は、秋山以降も日本人ではなかなかいません。その意味では特筆すべき存在と言えるでしょう。

 彼らのように殿堂入りするスターが今季のルーキーから出てくることを期待しています。プロ野球のキャンプのみならず、この2月はソチ五輪も開かれますね。そして個人的にはラグビーのトップリーグプレーオフ、日本選手権も楽しみです。

 スポーツ全体が盛り上がるのはとても良いこと。その波に乗り遅れないよう、僕も香川でシーズンに向けて選手をレベルアップさせていきたいと考えています。

(このコーナーは毎月1日に更新します) 

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