おかげさまで2年連続の前期優勝を達成することができました。優勝を目前にした22日のホームゲームでは香川県知事をはじめ、2000人を越えるお客さんが詰めかけ、選手を後押ししてもらいました。本当にありがとうございます。

 今回の前期優勝は、まさに崖っぷちからの巻き返しです。1カ月前、5月29日の時点では11勝11敗3分の勝率5割。チームは勝ったり、負けたりで波に乗り切れていませんでした。

「残り15試合、ここからが勝負」
 選手を集めて、そんな話をし、作戦もより勝負に徹したものに変えました。個々の力に任せるのではなく、バントや小技を絡め、チーム全体でチャンスをモノにする姿勢をより強調したのです。

 その采配に選手たちはよく応えてくれました。特に桜井広大、大原淳也、国本和俊、島袋翔伍といった主力打者が打つべきところで打ち、投打のバランスが良くなったことが大きかったです。

 桜井は優勝を決めた23日の愛媛戦で逆転のタイムリーを放ちました。島袋は前日の高知戦でサヨナラ弾を叩きこみました。16日の試合では大原が2ホーマーを含む4安打と活躍しました。勝負どころで力をできるかどうかはプロとして大切な要素です。ほぼ毎年のように優勝を重ねる中で、勝ち切る伝統がチーム内に生まれてきていることはうれしく思います。

 もちろん、開幕からしっかり試合をつくってきた投手陣の頑張りは予想以上と言ってもいいでしょう。特に新人右腕の又吉克樹はリーグトップの7勝(1敗)、防御率1.34とエース級の働きをみせてくれました。

 彼はスリークォーターとサイドの中間あたりから、140キロ台中盤の速球を投げ込みます。アイランドリーグはもちろん、NPBでも珍しいタイプでしょう。ボールに力があるだけではなく、初速と終速の差があまりない点も長所です。コントロールも良く、現時点ではドラフト上位で指名されても不思議ではありません。

 優勝をほぼ決定づけた22日の試合では先発し、8回2死までパーフェクト。大勢のお客さんの前で、あわやリーグ初の完全試合かと期待させる快投をみせました。

 残念ながら打ちとった当たりが内野安打となり、大記録達成はなりませんでしたが、それは今後のお楽しみでもよいでしょう。優勝の行方を左右する大一番で、あれだけのピッチングをし、1安打完封勝ちを収めたのはチームにも、又吉自身にとってもプラスになったはずです。

 とはいえ、シーズンはまだ半分。又吉にとっても他の選手にとってもNPBのスカウトが絞りこみ作業に入る夏場がひとつのヤマとなります。又吉に関していえば、ストレートだけではNPBの1軍クラスには通用しません。シンカー、スライダーといった変化球の精度を高めることがワンランク上を目指すには必要です。

 後期開幕までのインターバルを利用して、今年もリーグ選抜が関東に遠征します。2日(14時~)は上尾、3(14時~)、4日(12時~)は大宮でフューチャーズ(イースタンリーグの混成チーム)との3連戦です。桜井や大原、又吉をはじめ、元北海道日本ハムの金森敬之(愛媛)や広島から派遣中の小松剛(徳島)、池ノ内亮介(愛媛)らも参加します。

 6日からは後期の戦いが始まるため、選手にとっては体力的に厳しい日程とはいえ、関東近辺のNPBスカウトやファンにアピールする絶好の機会です。昨季、フューチャーズを3タテしたように、各選手が自分の持ち味を発揮してほしいと願っています。

 繰り返しになりますが、これからの暑い夏が本当の勝負です。その点、前期を制したのは後期の戦いを進める上でアドバンテージと言えるでしょう。

 前期の最終戦で、ミャンマーから来た左腕ゾーゾー・ウーを登板させたように、後期も選手たちに経験を積ませながら、勝てる試合を確実に拾っていきたいと考えています。たとえミスをしても、それですべてが終わりではありません。失敗を反省して次につなげ、成長できるかどうか。各選手の取り組みも問われることでしょう。

 個人のレベルアップとチームとしての勝利をうまく両立させながら、ぜひ実りの秋を迎えたいですね。2日からの関東3連戦はすべてデーゲームですが、もし都合が合うようでしたら四国で頑張る選手たちの姿を観に来てもらえるとうれしいです。

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