勝負の月と位置づけた5月を終え、13勝11敗3分の3位。ただ、30、31日と首位の徳島に連勝したことで1.5差と詰まってきました。

 ここまでチームを引っ張ってきたのは投手陣でしょう。チーム打率が.231とつながりを書く中、接戦をモノにできたのは、彼らの頑張りが大きいです。

 典型的だったのは5月22日の福岡ソフトバンク3軍戦。わずか1安打だったにもかかわらず、先発の又吉克樹からの継投でしのぎ、1-0で勝利しました。

 逆に言えば、攻撃陣がもう少し良ければ、勝ち星が伸びていたことでしょう。前回も触れたように桜井広大(打率.215)、大原淳也(.185)、国本和俊(.163)と主力が軒並み低打率に喘いでいます。特に1割台の大原と国本には焦りの色が見られます。

 しかし、アイランドリーグにはNPBのように2軍で再調整する場はありませんし、シーズン途中の補強も限界があります。練習生上がりの中川竜也が好調でカンフル剤にはなっているものの、最終的には主力が復調しない限り、逆転優勝はできません。
 
 元NPBやリーグで長年実績のある選手は当然、相手もマークしてきます。大原はオープン戦が好調だっただけに、余計に包囲網を敷いてきます。それでも開幕直後に結果が出れば問題はなかったのでしょうが、最初につまづいたことで歯車が狂ってしまいました。

 これはアイランドリーグに限らず、NPBでもよくある話です。どう、この悪循環を断ち切るか。ひとつの方法として発想の転換も大事でしょう。

 あのイチローでさえ、年間に200安打を打っても、アウトになった打席が400以上あります。どんなにすごいバッターでも凡打のほうがはるかに多いのです。

 そう考えれば、1打席や2打席、1日や2日、思うように結果が出なくても、切り替えて次に臨めばいいのです。ましてやシーズンは前期が半分を過ぎたところ。まだ挽回のチャンスはたくさんあります。

 救いは大原が落ち込むことなく、前向きに日々、取り組めていることです。打率は低くても、内野の守備では好プレーをみせていますし、練習も一生懸命やっています。

 人間、いい時ばかりではありません。悪い時もあります。悪い時にいかに振る舞うかで、人の価値は決まるのではないでしょうか。今の姿勢を続ければ、必ず復調の時期が来ると僕は見ています。

 最近、古葉竹識監督が座右の銘にしている「耐えて勝つ」の言葉をよくかみしめるようになりました。選手は急にうまくなるわけではありません。1日1日の積み重ねで少しずつ上達していきます。

 その成長度を見極め、我慢して経験を積ませるか。指導者には「耐える」ことが一番に求められると感じています。

 もちろん、選手を伸ばしつつ、勝たせることが監督としての腕の見せ所です。香川は徳島、愛媛と上位チームに勝ち越しているにもかかわらず、最下位の高知に負け越しています。これは監督の采配に問題があるのでしょう。

 梅雨時に入り、蒸し暑い上に、試合が流れたり、急に連戦になったりと、コンディションをキープするのが難しい時期になってきました。より選手の状態を見極め、うまく調整をしながら、起用していくことが重要になります。

 前期の優勝争いは三つ巴が最後まで続くでしょう。自分自身には「耐えて喝!」と気を引き締めながら、「耐えて勝つ」を実践したいと考えています。

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