アイランドリーグもNPBも開幕から1カ月が経ちました。NPBではガイナーズ出身の三輪正義(東京ヤクルト)が24日のカープ戦でサヨナラヒットを打ち、ヒーローになっています。カープOBとしては複雑な心境だったものの(苦笑)、少ないチャンスをよくモノにしましたね。

 俊足の三輪は代走要員としてはもちろん、どこでも守れる選手として重宝されています。昨秋、カープの後輩でもある福地寿樹2軍コーチに会った時も「三輪は一軍で頑張ってもらわないといけない選手」と期待されていました。

 ヤクルトはケガ人も多く、選手層は決して厚くありません。それだけに三輪のような何でもできるタイプはチームにとってありがたい存在です。サヨナラ打を放ったようにバッティングも年々、良くなっていますから、これからもっと出場機会を増やして活躍してほしいですね。

 ケガ人続出と言えば、カープも同様です。主軸のブラッド・エルドレッド、代打の切り札・前田智徳が相次いで死球を受けて骨折し、投手陣も野村祐輔が右肩を痛めて戦列を離れています。

 試合に出ている主力選手でも栗原健太は調子がなかなか上がりませんし、新外国人のフレッド・ルイスは日本野球への適応に苦しんでいます。投手もWBCで代表に選ばれた今村猛が本来のピッチングができていません。

 しかし、どんなチーム状況であれ、試合は待ってくれません。とにかく今は勝率5割前後をキープし、上位にくらいつくことを考えるべきでしょう。

 そんな中、4番に座った廣瀬純がプロ野球新記録となる15打席連続出塁を達成したのは明るいニュースです。彼のプロ1年目(2001年)、僕は2軍の打撃コーチを務めていました。正直、入団当初の彼のバッティングはプロレベルでは厳しいものでしたね。

 法大時代は三冠王を獲得し、シドニー五輪の日本代表にも選ばれた大砲だったこともあり、当時は長打を狙って力が入りすぎていました。そのため穴が多く、なかなかレギュラーに定着できなかったのです。
 
 ところが今は無駄な力を抜き、センター中心に打ち返すバッティングをしています。バットの握りも軟らかく、どんなボールにも対応できていますね。15打席連続出塁の間は4つも四球を選んでおり、落ち着いて打席に入れている証拠でしょう。

 カープに限らず、上位進出には投打で軸となる存在が必要不可欠です。劣勢を一打で挽回できる選手がいるチームは、やはり強い。今後、廣瀬にはぜひ打線の中心としてチームを牽引してほしいと願っています。 

 アイランドリーグではガイナーズが4月を4勝5敗と負け越して終えるかたちとなりました。スタートダッシュを期待していたファンの方には申し訳なく思います。

 ただ、本当の勝負はゴールデンウィークで連戦の続く5月です。4月の間に投手、野手とも満遍なく起用し、良い面、悪い面は見えてきました。それを踏まえた上で巻き返しを図りたいと考えています。

 チームを上昇気流に乗せるには、やはり中心メンバーの奮起が欠かせません。4月は桜井広大や国本和俊といったクリーンアップが不調で打線がつながりませんでした。

 彼らは実績もあり、結果を残して当たり前の選手です。成績を出し続けるのは難しいものですが、この壁を乗り越えなければNPBでプレーはできません。彼らには常に上のレベルを意識して野球ができるよう、こちらもいろいろとアプローチして刺激を与えていくつもりです。

 投手陣は故障で苦しんでいた篠原慎平が復活し、頭数が揃ってきました。桜井、国本が打ち、打線さえ機能すれば、強いガイナーズをお見せできるでしょう。

 ゴールデンウィーク中は3日、4日と志度で、連休明けの9日からはレクザムスタジアムで4連戦が行われます。寒くもなく、暑くもなく、外で過ごすにはちょうどよい気候になってきました。皆さんのお越しを球場でお待ちしています。

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