我がガイナーズは5月も10勝4敗2分と6つの貯金をつくることに成功しました。これで合わせて貯金は12。前期優勝へのマジック9が点灯しています。

 とはいえ、まだ優勝を強くは意識していません。現役時代もそうでしたが、マジックは3くらいにならないとカウントダウン気分にはならないものです。まだ12試合も残っていますから、1戦1戦、今までどおり戦いたいと思っています。

 ただ、新人や若手のなかには、こういった優勝争いが未経験の選手もいるでしょう。「意識するな」と言っても意識してしまうのが人間です。

 ですから、彼らには敢えて「意識してプレーしろ」とアドバイスを送っています。優勝へのプレッシャーをはねのけ、いかに自分のプレーができるか。重圧の中で結果を出すことが自信につながります。

 好調なガイナーズの一方で、古巣カープの低迷はOBとして気になるところです。今年は投手陣が充実し、Aクラスを十分、狙えるとみていただけに現状の成績はとても残念に思います。

 特に頼みの投手陣が踏ん張りきれず、終盤にひっくり返されるケースが目立ちますね。同じ負けでも、最後の最後で逆転されるとチームの雰囲気は悪くなります。

 抑えのデニス・サファテが不調で、2軍落ちしたのは誤算ですが、それまでの試合でも継投に頼り過ぎている感はありました。マエケンや野村祐輔といった完投能力のある投手は、最後まで投げさせた方が良かったのかもしれません。

 いずれにしても負けが込むと采配が裏目、裏目に出てしまいます。野村謙二郎監督には、なんとか負の連鎖を断ち切ってほしいものです。そのためには、まずベンチの雰囲気を明るくすることでしょう。

 テレビ中継を見ていると、野村監督以下、皆、表情が暗いのが気になります。もちろん、表情を明るくしたからと言って勝てるわけではありませんが、気持ちが前向きにならない限り、いい結果は出にくいものです。

 亡くなった三村敏之さんはこう言っていました。「進みべき道、進みたい道と進む道は交差しない」。つまり進むべき道=「理想」や進みたい道=「願望」と、進む道=「現実」は違うのです。野村監督も思うようにいかないことが多いと思いますが、現実を直視し、何とかチームを立て直してほしいと感じています。

 もちろん、チーム浮上にはフロントの協力も必要でしょう。本気でAクラスを狙っているのあれば、7月末のトレード期限までに補強を考えなくてはいけません。

 しかし、シーズン中の交換トレードはお互いの球団の利害が絡むため、なかなか成功しません。助っ人外国人も実際に獲得しないと、当たり外れは分からないものです。

 ただ、日本でプレーしている外国人なら、ある程度は計算が立つでしょう。まさにアイランドリーグでは、そんな選手たちが結果を出しています。ガイナーズで抑えをやっているアレックス・マエストリや愛媛のデイビット・トレイハンなどは1軍でも通用する力を持っているのではないでしょうか。

 デイビットは現在、防御率0.96でリーグトップ。ボールに力があり、ストライクが難なくとれます。マイナーの外国人は「球は速くてもコントロールに難あり」というケースが一般的ですが、彼は違います。

 ストレートのみならず変化球も制球力もありますから、先発、中継ぎと使い勝手があるはずです。NPBの各球団の編成担当もウワサを聞きつけたようで、球場でその姿を見かけるようになりました。本人たちも目指すのはNPBやMLBですから、途中入団は望むところでしょう。

 前回も取り上げましたが、今季は金無英(福岡-福岡ソフトバンク)、角中勝也(高知-千葉ロッテ)が1軍に定着し、元アイランドリーガーが頑張っています。マエストリやデイビットが彼らに続き、NPBでペナントレースの流れを変える存在になるかもしれません。

 そんな観点からアイランドリーグに注目していただければ、きっとおもしろいはずです。ぜひ近未来、NPBで活躍する選手たちをチェックしに、球場へ足を運んでもらえればと思っています。

(このコーナーは毎月1日に更新します) 


◎バックナンバーはこちらから