ファンの皆さんの応援もあり、前期は5試合を残しての優勝。マジックが点灯してからは、プレッシャーのなか、いかに普段どおりの野球ができるかがポイントでした。

 その点では選手たちはよく頑張ってくれたと思います。優勝を決めた6月20日の愛媛戦ではわずか3安打で5点を奪っての勝利。相手の先発デイビット・トレイハンの乱調に乗じ、ワンチャンスをモノにしました。

 相手も総力戦で臨んできたなか、やりたい野球で勝てた。前期の好調ぶりを象徴するゲームとなったように感じます。

 前期の勝因は何と言っても投手陣の頑張りでしょう。2点差以内の接戦を落としたのは、優勝まで1試合だけ。広島からやってきた山野恭介が先発として急成長し、セットアッパーの西村拓也、クローザーのアレックス・マエストリが試合数の半分をはるかに超える登板数でフル回転しました。

 特にマエストリは30試合に登板。日本に来るのは初めてにもかかわらず、チームへ完全に溶け込み、周囲から信頼される存在になりました。

 また投手陣を支えたキャッチャーの存在も見逃せません。1年目の星野雄大が試合に出るたびに成長し、チームの大きな戦力となりました。

 彼は社会人の伯和ビクトリーで正捕手として都市対抗野球でも活躍しています。昨オフもソフトバンクが育成指名を検討しており、今年もドラフト候補です。

 今季のアイランドリーグは昨年のレギュラー捕手が抜け、各球団とも新人や経験の浅い選手がマスクを被っています。それだけに他球団ではバッテリーの呼吸が合わず、実績のある投手が苦労しているケースが見受けられました。この点を踏まえれば、星野が前期優勝の陰の功労者と言えるでしょう。

 打線も4番の島袋翔伍、ウィルバー・ペレス、桜井広大と3割バッターが3人とつながりがありました。ただ、桜井に関して言えば、個人的にはまだまだ物足りません。

 アイランドリーグのレベルで4本塁打は、NPBの1軍でも活躍したバッターとしては寂しい数字です。ヒジを手術した影響かまだバットの出が悪く、直球に差し込まれる場面が目立ちます。

 NPB復帰にはここからが勝負です。香川にはタイガースファンも多く、球場では彼に多くの声援が飛びます。バッティングでも他の選手との格の違いをもっとみせつけてほしいものです。

 リーグは後期開幕まで約1週間のインターバルに入り、その間、選抜チームで関東に遠征します。3日から5日までNPBのイースタンリーグ混成チーム「フューチャーズ」との3連戦です。

 NPBの7月末の補強期限へアピールできるよう、桜井はもちろん、各球団の外国人選手も7名連れて行く予定です。ご存じのように先日終了した交流戦では千葉ロッテの角中勝也(元高知)が首位打者となり、福岡ソフトバンクの金無英(元福岡)が6月23日の北海道日本ハム戦で初勝利をあげました。

 彼らに続く1軍の戦力を送り込めるよう、フューチャーズ戦では内容も結果も上回りたいと考えています。そしてアイランドリーグの選手であることに胸を張れるレベルへ高めていくつもりです。

 フューチャーズとの試合は3日は上尾、4、5日は大宮で開催されます。関東圏の野球好きの皆さんはぜひ観に来てください。 

(このコーナーは毎月1日に更新します) 


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