23日まで10日間、中国本土の広州に渡り、9月1日の開幕に向けた合宿に行ってきました。広州といえば、ACLの決勝トーナメントに進出した広州恒大が有名ですが、もうひとつ中国スーパーリーグに所属する広州富力というクラブがあります。今回、僕たちは、その練習施設を使わせてもらいました。

 行ってみてビックリしたのは施設の充実度です。練習グラウンドは4、5面あり、ホテルもすぐ近くに用意されていました。今季より広州富力は元イングランド監督のスヴェン・ゴラン・エリクソンが指揮をとり、ナイジェリアのストライカー、ヤクブ・アイェグベニもプレーしています。近年のスーパーリーグは中国の経済発展を追い風に世界の大物を獲得していますが、その勢いを実感しましたね。

 開幕を目前に控え、合宿の内容は実戦形式が中心です。10日間で練習試合も4度組まれていました。対戦相手は同じく合宿に来ている香港のクラブや、スーパーリーグや2部の甲級リーグのサブチーム。結果は2勝1敗1分と勝ち越し、手応えを感じています。

 実は広州への移動が台風の影響で遅れたため、合宿は初日にいきなり試合というハードな日程。香港でのトレーニングで筋肉を張らした状態で、そのまま実戦になだれ込んだせいか、試合中に少し内転筋に違和感が出てしまいました。

 大事をとって途中交代し、次の試合も欠場。ただ、残り2試合はしっかり出場し、それぞれゴールを決めました。足の状態はもう大丈夫です。

 ゴールはいずれもクロスをヘディングで合わせたところから生まれたものです。新チームが始動して1カ月半、お互いの特徴を理解し、連係が高まっているのを確認できました。

 もちろん、攻撃力をアップするには得点パターンはひとつでも多いに越したことはありません。試合を重ねてみて、相手のDFラインの裏に抜けてのシュートが少ないとの課題も見つかりました。これはチームでも練習しているプレーだけに、もっと全員で意識して取り組みたいと考えています。

 開幕を前にして、チームには新たな仲間も加わりました。横浜F・マリノスや大宮アルディージャ、徳島ヴォルティスなどにも所属していたMF原田慎太郎です。2007年からは米国でプレーし、今回、期限付き移籍で香港にやってきました。ポジションは主にボランチで、長い米国暮らしで英語も堪能なため、コミュニケーションにも問題はありません。

 これでチームにはゴールキーパーに村井泰希、中盤に原田、前線に僕と吉武剛と日本人選手が4人となりました。横浜FCからやってきたDFパク・テホンも入れると、日本のサッカーを知っている選手が各ポジションにいることになります。

 僕たちのクラブは横浜FCが運営を始めて、まだ2年目で、これから歴史をつくっていく段階です。そこでベテランを加え、若手中心のチームに経験を伝えようとしているのでしょう。僕も香港での2シーズン目ですから、ピッチ内外で若い選手の底上げに役立つ役割を果たしていきたいと思っています。

 それにはまず試合で結果を出し、自信をつけてもらうことが一番です。いいかたちで終えた合宿を、ぜひスタートダッシュにつなげたいですね。勢いに乗った若手を、僕たちベテランがうまくコントロールしながら、常にピッチでベストな試合をみせる。そんなシーズンにすることが目標です。

 香港リーグでは3位以内に入るか、カップ戦で優勝すればAFCカップに出場する可能性が出てきます。特にクラブでは目標順位を定めていませんが、やるからには上を目指していきたいです。
 
 個人的には、シーズンを通じて良いコンディションで試合に出続けること。その上で、チームの勝利に貢献すること。この2つをより意識しています。もちろんゴールも量産し、「福田が点を獲れば負けない」という“神話”をつくれたらうれしいです。

 香港は9月を前にしても気温は30度超、湿度80%以上と蒸し暑い日が続いています。開幕戦も最も気温が高い時間帯の14時30分キックオフと、暑さ対策は不可欠です。それを見越して全体練習も、昼間の炎天下に汗をたっぷりかきながらやっています。

 暑くても熱いプレーをお見せできるよう、残り数日、きっちり準備していきます。今季も応援よろしくお願いします。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
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