先日、2日間の練習オフも使って書類手続きのため、2泊3日で日本へ一時帰国しました。今回は家族も一緒で、福岡までのフライトは3時間ちょっと。外国といっても日本が近いのは、中南米や欧州にいた時とは違います。

 わずか3日間の滞在とはいえ、日本では中身の濃い時間を過ごしました。まずは名古屋時代の後輩、古賀正紘(アビスパ福岡)との再会です。彼にチケットをとってもらってアビスパのホームゲームを観戦したり、一緒に食事もしました。

 そして、ちょうど福岡で開催中のインターハイも観に行きました。目的は習志野高時代の恩師でもある本田裕一郎先生にご挨拶するため。現在、本田先生は流通経大柏高で監督をされています。

 インターハイは僕も高3の時、習志野で優勝経験があります。暑い昼間の連戦で、選手にとっては過酷な条件ですが、高校生が必死にボールを追いかける姿には心を打たれます。さすがに近年は暑さも厳しくなっていますから、試合中に給水タイムが設けられていました。

 久々に本田先生にお会いし、高校生のプレーを見ていると、自分の原点を改めて思い出させてくれました。今回、流通経大柏は、同じ千葉のライバル市船橋に惜しくも決勝で敗れてしまいました。冬の高校サッカーでは雪辱を果たしてくれると期待しています。

 横浜FC香港も始動して約1カ月になり、ボールを使った実戦形式の練習が増えてきました。新しい選手の特徴もつかみつつ、僕の強みも知ってもらうことで、いい連係ができつつあります。

 昨季はシーズン途中の移籍だったため、試合をしながらお互いの特徴を手探り状態で見つけていかざるを得ませんでした。まして言葉の壁もありますから、コミュニケーションをとるだけでも一苦労です。その点、今季はじっくり準備や修正の時間がとれるので昨季よりも結果が出せる気がしています。

 特に今季は昨季の優勝チームであるサウス・チャイナからMFオウ・ヨウが加入しました。彼は24歳ながら、抜群のテクニックとパスセンスを持っています。しかもスタミナがある。中盤の司令塔として起点となってくれる選手でしょう。

 話をすると、将来は日本でのプレーを希望しており、高い志も持っています。彼とのコンビでゴールが量産できるよう、14日からの中国本土での合宿で、より精度を高めていくつもりです。

 前回も触れましたが、香港にはマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、トッテナム、サンダーランドとイングランド・プレミアリーグのチームが続々とやってきて親善試合をしました。

 僕も観戦に行ったものの、当日はものすごい雨。香港はただでさえ雨が多いため、ピッチコンディションは決して良くありませんでした。そんな中でも高いテクニックを随所に見せてくれたプレミアリーグの選手たちは、さすがの一言です。

 特にマンチェスター・シティのアルバロ・ネグレドは僕がスペイン2部にいた時に相手チームで対戦した選手でした。僕がヌマンシア所属だった2006-07シーズンには、彼はカスティージャで18ゴールをあげています。

 でも、その時点でプレミアリーグに移籍するような選手になるとは思いもしませんでした。当時の彼は得点能力は高くても線が細く、調子に波もありました。華々しい活躍を遂げる試合があれば、ピッチから消えてしまうような時もあったからです。

 その後、1部のアルメリア、セビージャとステップアップし、昨季はリーグ戦で25ゴール。ブレイクの陰には。おそらく地道な努力があったことでしょう。数年前まで一緒のカテゴリーで戦っていた選手が世界のトップでプレーしている姿に、非常にいい刺激を受けました。

 香港は元英国領ですから、プレミアリーグの人気は高いものがあります。今回も悪天候にもかかわらず、スタジアムは満員でした。

 しかも、ピッチ内外での行為が物議を醸しているマンCのサミル・ナスリがボールを持つとブーイングが発生するなど、ファンの気質も日本とは違います。日本のサッカーファンなら、海外から来た選手は温かく迎えるのが基本スタンスでしょうから、これには少し驚きました。

 逆にとらえれば、それだけ香港のファンはサッカーに対して熱しやすいとも言えます。現状、香港リーグは決して観客が多くありませんが、彼らの心をうまくつかめば、もっとスタンドは盛り上がるはずです。

 それには何よりもピッチの中で僕たちがいいプレーをみせることが先決でしょう。リーグ戦開幕まで残りは1カ月を切りました。チームとしても個人としても最高のスタートダッシュができるよう、しっかり準備したいと思っています。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
◎バックナンバーはこちらから