このところ香港では「アヒル」が有名になっていました。5月から約1カ月間観光地のビクトリア港に現われた「ラバー・ダック」。僕も家族で近くのラマ島に遊びに行った時に船から見ましたが、黄色の巨大なアヒルのオブジェが優雅に浮かんでいました。一時、空気が抜けてペチャンコになってしまうハプニングもあり、日本で映像を見た方もいるかもしれません。 

 さて、僕は次のシーズンに向けて少しずつ動き始めています。生活のリズムも一定にしてトレーニングの時間を確保し、フィジカル強化に取り組んでいるところです。

 空いた時間には語学の習得にも励んでいます。香港に来て痛感したのは英語の重要性。現地の言語ももちろん大切ですが、英語ができれば、もっとコミュニケーションの幅が広がります。今は自分で入手した教材や、英語のラジオ放送を聞きながら、もっとスムーズに会話ができれば、と思っています。

 スポーツ選手は永遠に現役を続けられるわけではありません。競技に打ち込むのは当然として、プラスアルファで勉強をしておくことも大切だと感じます。引退してから慌てていては第2の人生で、いいスタートは切れないでしょう。

 これまで各国でプレーする中で、スペイン語はそれなりにマスターできました。英語力も高めることで、自分の経験を、より多くの人に伝えられる存在になりたいものです。

 海外に行くと、たいてい、どの国にもあるのがチャイニーズレストランでしょう。現地の料理はどんな味か分からなくても、チャーハンなどのご飯ものや麺類は、だいたいの予測ができます。僕も今まで、あちこちでお世話になりました。

 そのせいか日本では、あまり中華料理を食べることがなかったのですが、香港では当たり前のように本場のシュウマイやショーロンポーに舌鼓を打っています。

 香港には飲茶の習慣があり、昼間に家族や仲間うちでお店に出かけ、お茶を飲みながら点心を食べます。日本のレストランだと小さい子どもがいると周囲に気をつかいますが、香港はどのテーブルもにぎやかなので、その点はありがたいです。

 料理の味付けは全体的に辛め。気候が暑い上に辛いものを食べていると汗がダラダラと止まりません(苦笑)。のどが渇いてオレンジジュースを頼むと、一転して炭酸入りの甘い飲み物が出てきます。やはり、所変われば味覚も変わるものだなと実感させられますね。

 日本人も多いですから、日本食レストランもあちこちにあります。他の国では日本食といっても現地の味にアレンジされているケースがありますが、香港は日本人が日本の味で勝負しているお店が多いです。日本にいる時と変わらない食事ができるのは、滞在者にとって生活しやすいでしょう。

 というわけで、すっかり家族ともども香港生活に慣れてきた今日この頃ですが、僕だけ一時帰国することになりました。6月後半に約2週間ほど、日本に戻ります。

 目的のひとつは来季に向けて、しっかり練習を積むため。クラブの社長にお願いして、母体が同じ横浜FCの練習に参加させてもらうことになりました。

 横浜FCの山口素弘監督は名古屋グランパスエイト時代の先輩。プロとしての姿勢やサッカーに対する考え方も素晴らしく、まだ若造だった僕にとって尊敬できる存在でした。短期間とはいえ、モトさんの下で練習できるのは楽しみです。

 そして、現役ではカズ(三浦知良)さんもいます。前回もカズさんの話をしましたが、僕にとっては本当に憧れの選手。一緒にトレーニングをするのは大きな刺激となるでしょう。

 同じタイミングで香港のチームメイトも4名、練習に参加します。彼らが日本のサッカーに触れることでレベルアップしてくれれば、来季に向けて大きなプラスです。

 練習参加は予定では19日から。約5カ月ぶりの日本での時間を有意義に過ごせればと思っています。 

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
◎バックナンバーはこちらから