香港に来てから早いもので3週間が経とうとしています。こちらに来てからはチームでの練習はもちろん、新生活を始めるにあたっての手続きに追われ、食事を摂る時間も充分にないような忙しさでした。

 そんな中、2月2日のアウェーゲームではスタメンでフル出場。早速、横浜FC香港でのデビューを果たしました。

 対戦相手は下位のサウザンです。立ち上がりに先制を許し、なんとか同点ゴールを決めたかったのですが、そのまま0-1での敗戦となりました。順位は10クラブ中の7位に後退しています。

 公式戦で90分間フル出場するのは実に3年ぶりのこと。後のことは考えず、行けるところまで行くつもりで試合に入りました。この時期に90分間、運動量を落とさずプレーできた点は、オフにトレーニングを続けてきたことが間違いでなかったと証明できたと思います。

 もちろんストライカーとして点が奪えなかったのは、とても残念です。しかもゴールを決めるチャンスは何度もありましたから余計に悔しいですね。一番惜しかったのは後半にFKでゴール前に来たボールをヘディングで叩きつけたシーン。惜しくもバーに当たり、同点弾とはなりませんでした。

 横浜FC香港のサッカーは、ボールポゼッションをしっかりした上で、サイドからの崩しや縦パスでチャンスをつくるスタイルです。僕のように泥臭く前線で仕事をするタイプはマッチすると感じています。

 監督からも「前でボールを収めて起点になってくれ」と言われています。そして「ゴールを獲ってくれ」と。FWとして、これ以上、モチベーションの上がる言葉はありません。

 クラブは10代、20代の選手が大半を占めています。全体的に身体能力が高く、テクニックよりも、まずは運動量で勝負している印象です。僕が入ることでテクニックや戦術の部分を伝えられれば、よりいいサッカーができるのではないかと考えています。

 コミュニケーションをとる際は、基本的に英語を使っています。広東語もちょっとだけ覚えました。ドッチエ(ありがとう)やドウサン(おはよう)などなど。正直、デビュー戦では、まだ選手全員の名前や特徴を覚えていない状況でしたが、その後の練習やリザーブマッチで徐々にお互いの理解度を高め、コンビネーションは良くなっています。

 実際、先日行われたリザーブマッチでは90分間出場し、クロスに対して頭で押し込みゴールを決めました。お互いの精度を高めていけば、公式戦での初ゴールも近いでしょう。いや、次の試合こそは得点を決めなくてはいけないと強い気持ちを持っています。


 香港は2月の気温が20度前後。南シナ海に面しているため、湿気は多く、曇った日も多いのですが、サッカーをやるには程良い気候です。また日本と比べると公式戦は少なく、試合日程は比較的ゆったりしています。次に向けて準備はしっかりできる点は新参者にはありがたいです。落ち着いてきたら香港での生活についても、このコーナーでご紹介しましょう。

 その前になにはともあれ、ゴールです。次の試合は17日のFAカップでタイポーと対戦します。このカップ戦はホーム&アウェーのトーナメント。勝利を決める得点をあげて、クラブの一員として認めてもらえるよう頑張ります。

 横浜FCが運営するクラブだけに、社長も日本人で、チームメイトにはFW吉武剛、GK村井泰希と2人の日本人がいます。困ったことがあればサポートしてもらえるので、その点では本当に助かっています。香港でチャンスを与えてくれた感謝の思いをプレーに変え、早く結果を出したい。今はその一心で毎日を過ごしています。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
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