アギーレ後任、理想と現実
アギーレの次は誰?
八百長疑惑の告発がバレンシア裁判所に受理されたことを受けて、日本サッカー協会はハビエル・アギーレ日本代表監督を解任。巷には次期監督に関する報道が、続々と飛び出している。
協会側は現職のJリーグ監督を引き抜かないことを既に明言している。ガンバ大阪の長谷川健太監督、サンフレッチェ広島の森保一監督らの線は消えたと言っていい。
いくつかのスポーツ紙をざっと見てみると、日刊スポーツは「後任は大物外国人」として欧州中心に人選中とのこと。スポーツニッポンは元鹿島アントラーズ監督でJリーグ3連覇を達成したオズワルド・オリヴェイラ氏(現パルメイラス監督)、昨季までヴァンフォーレ甲府を指揮してフリーの城福浩氏の名前を有力候補に挙げている。
スポーツ報知もオリヴェイラ氏の名前を真っ先に挙げている。サンケイスポーツは「日本を知る指導者を中心」として元名古屋グランパス監督のドラガン・ストイコビッチ氏、鹿島アントラーズでプレーし、ACミラン、インテルで監督経験のあるレオナルド氏。2人とも現在フリーの立場だ。
メディア全体を見ていけば、ブラジル代表を率いて母国開催のW杯に出場したルイス・フェリペ・スコラーリ氏(現グレミオ監督)、元セレッソ大阪監督で香川真司や柿谷曜一朗らを育てたレヴィー・クルピ氏(現アトレチコ・ミネイロ監督)、元鹿島アントラーズ監督のジョルジーニョ氏(現フリー)と、日本のサッカーファンがよく知る名前ばかりだ。一方で、過去2度、緊急登板した岡田武史氏(現今治FCオーナー)やアルベルト・ザッケローニ前監督(現フリー)の名前はほとんど出ていない。
メディア全体のトーンとしては、「欧州中心の人選」よりも「日本をよく知る監督」のほうがはるかに上回っている印象を受ける。これらの報道から一体、何が読み取れるのか。
これだけのJリーグ監督経験者の名前がメディアに出ているということは、協会も「日本をよく知る監督」を基本線にして選考に着手しているとみて間違いないだろう。まずもって6月からスタートするロシアW杯アジア1次予選のことをかなり気にしていることがうかがえる。
今大会からアジア予選は方式が変更される。1次予選は5チームずつ8組に分かれ、各組1位と2位の成績上位4チームが最終予選に進む。1次予選突破はまず間違いないだろうが、何が起こるのか分からないのがサッカーだ。日本代表の現行スケジュールでは3月27、31日の親善試合を含め、新体制は3カ月弱で準備しなければならないため、日本サッカーを熟知している人物のほうがいいという考え方は理解できる。
成功の前例もある。
2007年11月にイビチャ・オシム監督が急性脳梗塞で倒れ、その後バトンタッチを受けたのが岡田氏だった。このときも就任から2カ月ほどで南アフリカW杯予選に臨んでいる。岡田氏にはフランスW杯予選の経験があり、言うまでもなく日本サッカーにずっと携わってきた人。だからこそスムーズな移行を可能にしたとも言える。岡田ジャパンは順当に予選を勝ち上がり、紆余曲折はあったにせよ南アフリカW杯本大会でベスト16に進出したことは記憶に新しい。
しかし、前回と違うのはコーチ陣が“据え置き”ではないこと。岡田氏はオシム体制を丸々引き継いだが、アギーレが連れてきた外国人コーチ陣は総辞職する。引き継ぎの要素はほぼない。そうなると、日本を知らない外国人監督を招聘した場合、本当に一からチームづくりを始めなければならなくなってしまう。迫るW杯予選を考えるなら、当然リスクも出てくるというわけだ。日本を知る監督、コーチングスタッフで固めたほうが確かに計算はできる。
ただ、あくまでW杯本大会を見据えるならば、欧州の名のある監督という選択肢も捨てずに検討してもらいたいとは思う。そもそもアギーレを招聘したのも、メキシコ代表を率いてW杯で2度ベスト8に進出しているという「世界実績」があったからだ。日本やアジアのことをよく知らないとなると、すぐにやってくるアジア1次予選で苦しむかもしれない。しかしながら、チームづくりを進めていきながら日本代表を世界基準に仕立ててくれるという期待感も膨らむわけだ。
Jリーグでの実績ならオリヴェイラ氏がピカイチだが、協会の意中の人物は果たして誰なのか。
いずれにせよ、予選までに残された時間を考えるならスンナリと決まってほしいものだ。
(このコーナーは第1木曜日に更新します)
八百長疑惑の告発がバレンシア裁判所に受理されたことを受けて、日本サッカー協会はハビエル・アギーレ日本代表監督を解任。巷には次期監督に関する報道が、続々と飛び出している。
協会側は現職のJリーグ監督を引き抜かないことを既に明言している。ガンバ大阪の長谷川健太監督、サンフレッチェ広島の森保一監督らの線は消えたと言っていい。
いくつかのスポーツ紙をざっと見てみると、日刊スポーツは「後任は大物外国人」として欧州中心に人選中とのこと。スポーツニッポンは元鹿島アントラーズ監督でJリーグ3連覇を達成したオズワルド・オリヴェイラ氏(現パルメイラス監督)、昨季までヴァンフォーレ甲府を指揮してフリーの城福浩氏の名前を有力候補に挙げている。
スポーツ報知もオリヴェイラ氏の名前を真っ先に挙げている。サンケイスポーツは「日本を知る指導者を中心」として元名古屋グランパス監督のドラガン・ストイコビッチ氏、鹿島アントラーズでプレーし、ACミラン、インテルで監督経験のあるレオナルド氏。2人とも現在フリーの立場だ。
メディア全体を見ていけば、ブラジル代表を率いて母国開催のW杯に出場したルイス・フェリペ・スコラーリ氏(現グレミオ監督)、元セレッソ大阪監督で香川真司や柿谷曜一朗らを育てたレヴィー・クルピ氏(現アトレチコ・ミネイロ監督)、元鹿島アントラーズ監督のジョルジーニョ氏(現フリー)と、日本のサッカーファンがよく知る名前ばかりだ。一方で、過去2度、緊急登板した岡田武史氏(現今治FCオーナー)やアルベルト・ザッケローニ前監督(現フリー)の名前はほとんど出ていない。
メディア全体のトーンとしては、「欧州中心の人選」よりも「日本をよく知る監督」のほうがはるかに上回っている印象を受ける。これらの報道から一体、何が読み取れるのか。
これだけのJリーグ監督経験者の名前がメディアに出ているということは、協会も「日本をよく知る監督」を基本線にして選考に着手しているとみて間違いないだろう。まずもって6月からスタートするロシアW杯アジア1次予選のことをかなり気にしていることがうかがえる。
今大会からアジア予選は方式が変更される。1次予選は5チームずつ8組に分かれ、各組1位と2位の成績上位4チームが最終予選に進む。1次予選突破はまず間違いないだろうが、何が起こるのか分からないのがサッカーだ。日本代表の現行スケジュールでは3月27、31日の親善試合を含め、新体制は3カ月弱で準備しなければならないため、日本サッカーを熟知している人物のほうがいいという考え方は理解できる。
成功の前例もある。
2007年11月にイビチャ・オシム監督が急性脳梗塞で倒れ、その後バトンタッチを受けたのが岡田氏だった。このときも就任から2カ月ほどで南アフリカW杯予選に臨んでいる。岡田氏にはフランスW杯予選の経験があり、言うまでもなく日本サッカーにずっと携わってきた人。だからこそスムーズな移行を可能にしたとも言える。岡田ジャパンは順当に予選を勝ち上がり、紆余曲折はあったにせよ南アフリカW杯本大会でベスト16に進出したことは記憶に新しい。
しかし、前回と違うのはコーチ陣が“据え置き”ではないこと。岡田氏はオシム体制を丸々引き継いだが、アギーレが連れてきた外国人コーチ陣は総辞職する。引き継ぎの要素はほぼない。そうなると、日本を知らない外国人監督を招聘した場合、本当に一からチームづくりを始めなければならなくなってしまう。迫るW杯予選を考えるなら、当然リスクも出てくるというわけだ。日本を知る監督、コーチングスタッフで固めたほうが確かに計算はできる。
ただ、あくまでW杯本大会を見据えるならば、欧州の名のある監督という選択肢も捨てずに検討してもらいたいとは思う。そもそもアギーレを招聘したのも、メキシコ代表を率いてW杯で2度ベスト8に進出しているという「世界実績」があったからだ。日本やアジアのことをよく知らないとなると、すぐにやってくるアジア1次予選で苦しむかもしれない。しかしながら、チームづくりを進めていきながら日本代表を世界基準に仕立ててくれるという期待感も膨らむわけだ。
Jリーグでの実績ならオリヴェイラ氏がピカイチだが、協会の意中の人物は果たして誰なのか。
いずれにせよ、予選までに残された時間を考えるならスンナリと決まってほしいものだ。
(このコーナーは第1木曜日に更新します)