ブラジルW杯イヤーのJリーグが開幕した。
 ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランのセレッソ大阪加入、MF松井大輔(磐田)、FW李忠成(浦和)、MF家長昭博(大宮)ら元日本代表の国内復帰。またセリエAのチェゼーナを指揮したマッシモ・フィッカデンティがFC東京に招聘されてイタリア人として初めてJクラブの監督に就任するなど、今季は何かと話題が多い。既に第1節が終わっているものの、毎年恒例の順位予想をしてみたいと思う(サッカー専門誌の順位予想で発表済みで、第1節を見て決めたわけではないのでご理解を!)。

 では順位予想を一気に。

(1)浦和(2)柏(3)広島(4)川崎F(5)新潟(6)横浜FM(7)C大阪(8)鹿島(9)FC東京(10)名古屋(11)G大阪(12)清水(13)鳥栖(14)仙台(15)大宮(16)神戸(17)甲府(18)徳島

 まず優勝予想だが、昨年のサンフレッチェ広島、横浜F・マリノスの例を見ても、ここ数年の外せないキーワードになっているのがサッカースタイルの「継続」である。横浜FMは2012年終盤から中村俊輔をトップ下に置く4-2-3-1システムを確立させ、2013年シーズンは開幕6連勝を飾った。シーズン前半に旋風を起こした大宮アルディージャも然り(ズデンコ・ベルデニック監督の解任が裏目に出て、以降は低迷)。この傾向は、今季も変わらないだろう。

 そして過密日程になるACL(アジアチャンピオンズリーグ)とリーグ戦の両立が、チームにとって大きな負担になっていることも明白だ。優勝した広島は例外にしても、昨季の出場組は浦和レッズ(6位)、柏レイソル(10位)、ベガルタ仙台(13位)ともに芳しくなかった。

「継続」と「ACL組以外」という条件と、戦力の充実ぶりを重ねていくと、浦和と柏が優位とみる。

 その上で浦和を優勝に推したのは、何よりもGK西川周作と李の加入が大きい。浦和の泣きどころが守備であり、なかでもGKは懸念材料だった。昨季、広島の最少失点に貢献した西川は言うまでもなくJナンバーワンのGKだ。守備の側面ばかりでなく、足元のある西川の存在によって浦和はビルドアップも改善していくだろう。

 また李は1トップでもシャドーでも使える。最初は控えからだろうが、能力は申し分ない。李の存在はFW興梠慎三らレギュラー勢にプレッシャーを掛けていくことにもなるはず。西川と李は新加入といっても、広島でミハイロ・ペトロヴィッチ監督の薫陶を受けており、順応に時間もかからない。「継続」の強化としては計算が立ち、リーグ戦に集中できるのも大きい。ただ、これまでもペトロヴィッチ監督はいいところまでいっても、J1の主要タイトルを勝ち取れていない。勝負強いチームになっていければ、タイトル獲得のチャンスは広がってくる。

 対抗馬の柏は、Jトップクラスの“助っ人”であるFWレアンドロを獲得。FW工藤壮人、MFレアンドロ・ドミンゲスとの連係で生み出す攻撃は、川崎フロンターレの「大久保嘉人&中村憲剛&レナト」のトリオと双璧だろう。また柏は毎年、タイトルに絡んできて、勝ち方を知っているチームとも言える。

 3位は安定感のある広島。西川の穴は小さくないが、このチームはMF野津田岳人、FW浅野拓磨と若い選手が順調に伸びている。ACLとの両立をしっかりとこなしていければ、リーグ3連覇も夢ではない。

 横浜FM、川崎F、C大阪は選手層が厚いとは言えず、ACLの影響をモロに受けそう。フォルラン加入のC大阪は楽しみなチームだが、万が一、ブラジルW杯後にFW柿谷曜一朗、MF山口蛍らが海外のクラブに移籍してしまうと苦しくなってくる。

 台風の目として注目しているのがアルビレックス新潟だ。昨季は5連勝で締めくくっていて、FW川又堅碁がより活躍していければ、上位に食い込めるポテンシャルは十分にある。GK東口順昭のガンバ移籍は痛いものの、チーム全体が底上げされている印象を受ける。

 逆に「降格予想」になると今季も難しい。
 徳島ヴォルティスは戦力的にやはり厳しいと言わざるを得ず、苦戦は免れないだろう。何とか辛抱強く戦って、残留を目指したいところだ。予想上、16位ヴィッセル神戸、17位ヴァンフォーレ甲府、18位徳島としたが、神戸はFWマルキーニョス、FWペドロ・ジュニオール、MFシンプリシオとJで実績のある外国人を集めていて、良くいけば中位ぐらいに顔を出してくる力はある。また、戦力ダウンが明らかな甲府は、城福浩監督の手腕に懸かってくる。

 結局は5、6クラブが絡む大混戦になるような気がしている。ガンバ大阪、ジュビロ磐田とJ1優勝経験のあるクラブが2年連続で降格しており、同様のケースが今年もないとは言い切れない。

「継続」と「ACL組以外」という優勝の条件は、毎年言っているような気もする。ACLとJリーグ両制覇というチームもそろそろ出てきてほしいところだ。

 浦和の時代が再来するか、それとも……。

(このコーナーは毎月第1木曜日に更新します)
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