18日、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦の組み合わせが決定した。ディフェンディングチャンピオンのバルセロナ(スペイン)はシュツットガルト(ドイツ)と、新銀河系軍団を結成したレアル・マドリッド(スペイン)はリヨン(フランス)との対戦が組まれた。1回戦は年明けの2010年2月16、17、23、24日に1回戦1stレッグが行なわれる。
 現代のサッカーシーンで最もスペクタクルなプレーが見られる欧州チャンピオンズリーグ(CL)。今年も激戦のグループリーグを勝ち抜いた16チームがヨーロッパの頂点を目指す。

 先日行なわれたクラブW杯も制し“6冠”を制したバルセロナはグループリーグから苦戦を強いられた。グループFに入ったバルセロナはインテル・ミラノ(イタリア)、ディナモ・キエフ(ウクライナ)、ルビン・カザン(ロシア)と同居した。第3節ではルビン・カザンとのホーム戦を1−2で落とし、一時はグループリーグ敗退の可能性もあった。しかし、今月9日に行なわれた最終節ディナモ・キエフとのアウェー戦を2対1でものにし、結果的にはグループ首位通過を果たす。2位にはジョゼ・モウリーニョ率いるインテルが入り、混戦だったグループも終わってみれば順当な結果となった。

 決勝トーナメント進出クラブの顔ぶれをみると、イングランド、スペイン、イタリア勢がそれぞれ3クラブ、フランスとドイツが2クラブ、ロシア、ポルトガル、ギリシャから1クラブとなっている。波乱があったのはグループAのユベントス(イタリア)と、グループEでリバプール(イングランド)が敗退したことだろう。ただし、04−05シーズン覇者リバプールはプレミアリーグでも不振をかこっており、この結果は致し方ないところか。

 決勝トーナメント1回戦は各グループ1位と2位の対戦が組まれた上、同国対決が避けられ以下の通りとなった。8つのカードで注目を集めるのはイタリア勢の3試合だろう。
 昨シーズンはベスト16の壁で全てのクラブが散ったセリエA勢。今年も厳しい戦いとなりそうだ。

 セリエA4連覇中で、国内では断トツの力を持つインテルはチェルシー(イングランド)との対戦となる。このカードはモウリーニョ監督が率いた新旧クラブの対決だ。チェルシーの中心選手であるティディエ・ドログバやフランク・ランパードはモウリーニョに心酔する選手たち。教え子の特長を知り尽くしたモウリーニョが彼らのよさを消すためにいかなる手を打ってくるのか。CLに出場していないプレミアの他クラブ首脳陣も、チェルシー対策のため熱視線を送ることになるだろう。
 一方、現在チェルシーを率いるのは昨年までインテルのライバルACミランを指揮したカルロ・アンチェロッティ。インテルに勝つことを至上命題とされてきた人物だけに、率いるクラブが変わってもインテルへの対抗心は相当高いはずだ。モウリーニョとは違うアプローチでクラブを掌握しつつあるアンチェロッティは、どのような戦いを挑むのか。

 ミランはマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)との対戦となった。06−07シーズン王者と07−08シーズン王者が対戦するこのカードは1回戦屈指の組み合わせだ。シーズン序盤は出遅れたミランもロナウジーニョを左、アレッシャンドレ・パトを右に配したスリートップが機能し始め結果を出している。一方のユナイテッドもクリスティアーノ・ロナウドがレアルに移籍し攻撃力は低下したものの、ウェイン・ルーニーを中心に据えプレミアリーグで2位につけている。勝ち方を知る両クラブがどのような試合を見せるか楽しみだが、両者の決定的な違いを挙げるならば指揮官だろう。ミランを率いるのは鹿島アントラーズでもプレーし日本でもお馴染みのレオナルド。監督経験ゼロながら、今季から名門を率いる青年指揮官だ。片やユナイテッドの指揮官は言わずと知れたサー・アレックス・ファーガソン。赤い悪魔を指揮して今季で24シーズン目。過去に2回欧州王者へとクラブを導いている名将はいまだに満足することを知らない。今季も最大の目標としてチャンピオンズリーグ制覇を掲げている。2人の経験値の差が勝敗を分ける大きなポイントとなるかもしれない。

 もう一つのイタリアクラブはグループリーグでリバプールを撃破したフィオレンティーナだ。実に10シーズンぶりのCL決勝トーナメント進出だが、1回戦の相手は奇しくもユーベを沈めたバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)。グループE1位通過の立役者アルベルト・ジラルディーノがバイエルン相手に一歩も引かなければ勝機は十分にある。グループリーグ最終節では難攻不落といわれるリバプールのホーム・アンフィールドで2対1と強敵を退けた。対するバイエルンもフランク・リベリがケガから復帰すれば、アリエン・ロッベンとの快速コンビが復活する。ブンデスリーガでも披露された相性抜群のカウンターはフィオレンティーナにとって脅威となることは間違いない。

 イタリア勢とともにベスト16の壁に挑むのは“白い巨人”レアル・マドリッドだ。ここ4シーズン連続、CLでは決勝トーナメント1回戦敗退。今季はC・ロナウド、カカ、カリム・ベンゼマ、シャビ・アロンソと超豪華な補強を敢行しただけに、ここでの敗退は決して許されない。対戦するリヨンも6シーズン連続の決勝トーナメント進出だが、クラブに以前ほどの勢いは感じられない。レアルにとっては単なる通過点としたい1回戦となった。

 決勝トーナメント1回戦は1stレグを2月中旬、2ndレグを3月初旬に開催されるが、年明けから再開する移籍マーケットで選手の変動もありうる。日本人にとっては本田圭佑(VVVフェンロ)獲得の噂もあるCSKAモスクワ(ロシア)の動向も気になるところ。世界中のサッカーファンが熱狂する2月が今から待ちきれない。

(大山暁生)

【UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦】
シュツットガルト(ドイツ) × バルセロナ(スペイン)
オリンピアコス(ギリシャ) × ボルドー(フランス)
インテル・ミラノ(イタリア) × チェルシー(イングランド)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) × フィオレンティーナ(イタリア)
CSKAモスクワ(ロシア) × セビージャ(スペイン)
リヨン(フランス) × レアル・マドリッド(スペイン)
ポルト(ポルトガル) × アーセナル(イングランド)
ACミラン(イタリア) × マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)