やっと勝てました。


 前節(23日)のファジアーノ岡山戦は公式戦で3カ月ぶりの勝利。必ず勝てると信じてトレーニングはしてきたとはいえ、なかなか歯車がかみ合わなかっただけに本当にうれしい1勝になりました。


 勝てない時のチーム状態は決していいものではありませんでした。うまくいかない時はちょっとしたことが裏目に出て悪循環に陥るものです。個々の選手が目指す方向性や気持ちもなかなかひとつにまとまっていませんでした。


 しかし、ここまで勝てない時期が続き、「自分たちがやらないと結果は出ない」という危機感で、ようやく選手全員がひとつになったような気がします。岡山戦ではピッチ上にいる11人が、誰一人として集中力を切らさず戦えていました。もっと言えば、ベンチにいた僕たちも含めて、全選手が同じ気持ちでいました。


 チーム一丸となって勝利という目標に100%向かっていたからこそ、好結果が得られた。僕はそう捉えています。少し時間はかかってしまいましたが、この長く苦しい経験は今後のクラブの歴史や選手たちのサッカー人生の中で生きる時が来るはずです。また、生かさなくてはならないと思います。


 早速、岡山戦の翌日には吉備国際大学とのトレーニングマッチがありました。青野慎也コーチから試合前には「昨日のいいテンションのまま臨もう」と指示を受けましたが、その通り、全選手が気持ちのこもったプレーをしていましたね。


 結果は8-0。大学生相手でも一切手を抜かず、いい試合ができたと思います。僕も前半に1ゴール、後半に2ゴールのハットトリック。それもすべてヘディングで決めました。公式戦、練習試合も含めて頭だけで3点獲ったことは今までのサッカー人生でも記憶にありません。


 うち2点は内田健太からのクロスに合わせたもの。レギュラーで出ている選手との連係もしっかりできている点を示せたことはゴール以上に大きなアピールです。


 今の愛媛において、僕の役割は前線で飛び込み、体を張って得点につながる仕事をすること。「クロスを上げてくれれば何とかしてくれる」という信頼度をより高めていきたいと思っています。


 結果が出なかったこともあり、最近の試合は固定メンバーではなく、いろいろな選手が起用されていました。これはサブメンバーにとっては大きなチャンスです。チームの中の一員としてプレーしつつも、いかに個人のストロングポイントを出せるか。僕も含めて、この点が一番大事なところです。


 欠点を直すのは1日や2日ではできません。しかし、強みを生かすことは意識ひとつでできます。若い選手たちにも、自分の長所は何かを考えた上で、それを前面に押し出す方法を見つけてほしいものです。控えの選手が頑張れば、チーム力は必ず上がります。


 ひとつの勝利でチーム内はだいぶ明るくなったとはいえ、まだ僕たちは1勝しただけに過ぎません。大事なのは、この勝利に安心せず、次を見据えて、岡山戦同様にしっかり準備を重ねることです。


 その意味では次のジェフユナイテッド千葉戦は非常に大事なゲームと言えます。続けてホームで試合ができる日程面のアドバンテージをプラスに捉え、連勝を収めたいところです。


 当然、個人としてもチャンスがあれば、ゴールを決めたいと強く思っています。トレーニングマッチでハットトリックを達成できたように、練習の中で結果は出ています。あとはそれを試合で出すだけです。


 残念ながら今季の愛媛は「6位以上」の目標達成が非常に厳しい情勢です。しかし、残り1カ月半、記録に残らなくても記憶に残るプレーや試合をすることがプロとしての務めです。


 僕たちの試合でサッカーに興味を持ったり、少しでも元気になってくれる人がいる限り、気の抜けたプレーは絶対に許されません。毎試合のように足を運んでくれる熱心なサポーターも、スタジアムに初めて来るお客さんも、わざわざ貴重な時間を割いて、試合を観に来ていただいています。


 長いトンネルの期間を経て、勝利を待ち続けてくれていた愛媛の皆さんのためにも、多くの人の心に訴えかけるようなプレーで恩返ししたいとの思いが一層強くなりました。まずは日々の練習からチャンスをつかみ取り、ピッチに立てば、少々、強引でもゴールをもぎとる。ひとつ勝つだけではなく、勝ち続けるチームになるために僕自身も結果を出します。


 勝てない時期は、本当に皆さんにツライ思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。ここからの残り7試合は苦しい時にも応援していただいた方々への恩返しだと思って、精一杯頑張ります。引き続きの応援、よろしくお願いします。


(この連載は毎月第2、4木曜更新です)


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