30日、日本サッカー協会(JFA)は、6月初旬のキリン杯で審判を務めるデンマーク人国際審判員の来日記者会見を行った。今回、JFAに招聘されて来日したのは国際主審のニコライ・フォルクアーツ氏ら4名。キリン杯の日本代表2試合(1日のモンテネグロ戦と5日のコロンビア戦)で笛を吹く。フォルクアーツ氏のみが大会後も日本に残り、約1ヶ月、Jリーグでレフェリーを務める。
(松崎審判委員長<左>とデンマーク審判員団)
 キリン杯では昨年もスペインから国際審判員を招いていたが、Jリーグでは02年のシーズン以来、約4年半もの間、外国人審判員を招聘していなかった。松崎康弘JFA審判委員長は今回の招聘の意図について「外国人の審判員がいると、日本人レフェリーの仕事が少なくなる。(02年シーズンから)日本人に試合経験を積ませるべく、招聘をやめていた。実際、日本人レフェリーの質は上がってきたが、欧州の高いレベルのゲームで笛を吹いている審判からレフェリングを勉強してもらえばと考えた」と説明した。

 招聘の最も大きな理由と目されるのは、近年のJリーグで見られる日本人レフェリーの疑問判定だ。
 5月6日のJ1第10節・大分対広島戦では、1−1で迎えた後半34分、長田和久主審がプレーに関係のないMF藤田に警告を与えてしまった。その日2枚目のイエローカードとなった藤田は退場処分でピッチを去り、10人の大分は1−2で敗れた。後に、審判委員会を通じて、藤田への警告が人違いであることが確認されたが、チームの敗戦という事実は訂正されなかった。

 06年8月30日のJ1第21節・鹿島×名古屋戦では家本政明主審が11枚のイエローカードを乱発して、試合をコントロールできなかったことが問題視された。同主審は判定に一貫性がないとして、Jリーグでは異例の約1ヶ月の研修を受けた。こうした日本人審判員のレフェリングの乱れが、「欧州のレフェリングを学んでほしい」(松崎審判委員長)という判断につながったようだ。

 フォルクアーツ氏が日本で笛を吹く期間が1ヶ月と限定的なのは、アマチュアのレフェリーのため。フォルクアーツ氏はデンマークの商社で経理業務を担当し、他の3人も保険会社やコンサルティング会社に務めている。「もっと長くいてほしいが、仕事との兼ね合いがある。休みを利用して、来てもらっている」(松崎審判委員長)。

 ただ、アマチュアとはいえ、世界最高峰の欧州チャンピオンズリーグを含めて国際試合約50ゲームで笛を吹いている。フォルクアーツ氏は「日本のサッカーはDVDでしか見たことがないが、審判のクオリティーが非常に高い。我々とレベルはそれほど変わらないと思う」と語った上で「私は国際主審を約7年も務めてきた。自分としては経験が長いと思っている。日本のレフェリーにとって参考になるレフェリングをお見せできれば」と意気込んでいた。

<デンマーク人審判団のプロフィール>
※年齢は2007年5月30日時点

■ニコライ・フォルクアーツ
1965年2月7日生まれ(42歳)
1999年よりFIFAレフェリー
国内トップリーグ 約200試合
国際試合     約50試合



■ミカエル・スベンソン
1967年5月31日生まれ(39歳)
2004年よりFIFAレフェリー
国内トップリーグ 約140試合
国際試合     約15試合






■トルベン・イエンセン
1965年7月31日生まれ(41歳)
2004年よりFIFAアシスタントレフェリー
国内トップリーグ 約150試合
国際試合     約35試合





■ボー・アビルドガード
1963年5月20日生まれ(44歳)
2002年よりFIFAアシスタントレフェリー
国内トップリーグ 約160試合
国際試合     約50試合