3日、日本代表はAFCアジアカップ予選バーレーン戦に臨む。豊田スタジアムで行われる試合には、長谷部誠(ヴォルフスブルク)や本田圭佑(CSKAモスクワ)、森本貴幸(カターニャ)といった欧州各国リーグに籍を置く選手が招集されている。また、リーガ・エスパニョーラのエスパニョールからJリーグに復帰した中村俊輔(横浜FM)も先発出場が濃厚だ。2月に行なわれた東アジア選手権では不甲斐ない戦いに終始し、サポーターの怒りを買った日本代表。一まず続投の決まった岡田武史監督にとって、いばらの道はまだまだ続いていく。
 3月3日は南アフリカW杯前の最後のインターナショナルマッチデーとなる。日本代表もイタリアなどの強豪国とのマッチメイクが噂されていたが、前回のアジアカップで4位に終わり予選免除を受けることができなかったため、貴重な強国との親善試合が実現できず、アジアカップ予選最終戦をホームで戦うこととなった。すでに日本、バーレーンともにアジアカップ本戦出場を決めており、明日の試合は消化試合となっている。

 この試合で日本に求められるのは変化だ。W杯出場国でない格下を相手に結果を残すのは当然であり、その上で、多くの日本サポーターが本大会に向けて何らかの可能性を感じ取れる試合をする必要がある。

 しかし、先日発表された20名のメンバー表に目を通しても、これまで岡田監督が呼び続けてきた選手の名前ばかりだった。インターナショナルマッチデーのため、海外組を優先したということだが、新顔は1人もなし。これまでの岡田ジャパンと大きな差はない。

 選手起用の面では、新たな試みがなされるようだ。深刻な得点力不足を解消するため、本田がトップ下のポジションでプレーする可能性が高い。本人が起用を熱望してきた主戦場で、日本に新しい風を吹き込むことができるか。ゴール正面から本田が放つ強烈なシュートは岡田ジャパンにとって大きな武器になる。FW起用が有力視されているのは岡崎慎司(清水)。泥臭くゴールを狙うタイプだけに、ミドルシュートのこぼれ球などに素早く反応しゴールを奪いたい。

 中盤では中村俊が右サイドに入る。スペインで出場機会に恵まれず横浜F・マリノスに復帰する中村俊だが、エスパニョールでの成績は散々だった。リーグ戦の出場はわずか11試合で、そのうち先発したのは6試合。90分間フル出場したのはたった3試合だ。リーガ・エスパニョーラで中位争いをするクラブで、ベンチを温める日々が続いた。結果論になるが、客観的にみてスペイン移籍は失敗だったと言わざるを得ない。本田がCSKAモスクワでチャンピオンズリーグデビューを果たしたのとは対照的に、消化不良のシーズンを送っている中村俊。バーレーン戦で以前のような存在感のあるプレーを見せなければ、W杯本大会の出場が危ぶまれてもおかしくはない。長年、日本の司令塔と呼ばれてきた男にとって、非常に大きな意味を持つ試合になりそうだ。

 中村俊以上に厳しい立場に置かれているのは岡田監督だ。手負いの指揮官にとって、この試合ほど戦いにくいものはないだろう。結果を出して当たり前の相手だけに、これまでと同じような采配では許されない。代表を取り巻く重苦しい空気を変えるために、秘策はあるのか。本田や森本がゴールを決めただけでは、もはやサポーターは納得しない。試行錯誤せずに今まで通りのサッカーに終始するのであれば、この試合は何の意味も持たない。新たな選手が招集されていない以上、監督が選手起用や采配で新たな面を積極的に引き出していかなければいけない。退屈な日本代表はもう見飽きた。これまでの価値観を一気に覆すようなサッカーを見せてほしい。

(大山暁生)

<アジアカップ予選Aグループ>
◇3月3日(水)
日本代表 × バーレーン代表
豊田スタジアム(愛知)