3日、AFCアジアカップ2011予選Aグループ最終戦が愛知・豊田スタジアムで行なわれ、日本代表はバーレーン代表と対戦した。海外組4人を招集し試合に臨んだ日本は主に左サイドから攻撃を組み立てた。押し気味に試合を進め前半36分、松井大輔(グルノーブル)からのクロスを岡崎慎司(清水)がヘッドで押し込み先制する。後半に入っても主導権を握った日本だが、得点を奪えない時間が続くと徐々に足が止まり始める。30分過ぎにはバーレーンに細かいパスを繋がれ、ゴール前への侵入を許す場面も見られた。それでもゴールを許さなかった日本は、後半ロスタイムにトップ下で出場した本田圭佑(CSKAモスクワ)がヘッドでダメ押し点を押し込み2対0とし、バーレーンに快勝した。

 本田、試合終了間際に結果残す(豊田ス)
日本代表 2−0 バーレーン代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(36分)、本田圭佑(90+2分)
 東アジア選手権で不甲斐ない戦いに終始した日本代表は、今日の試合で結果以上のものを求められていた。それはW杯本大会へつながる試合をすることである。そんな状況で行われた試合は、バーレーンを相手に2対0という結果だった。

 欧州各国リーグに在籍する選手が加わったことで、先月のチームよりも底上げされたことは明らかだった。FWに入った岡崎、トップ下の本田がゴールを決めたことも明るいニュースといえる。左サイドで度々チャンスを演出した松井と長友佑都(F東京)のコンビは本大会でも活躍を期待させる動きをみせた。試合前から注目されていた本田と中村俊輔(横浜FM)の併用も違和感はなく、スムーズにパスが回った。

 一方で、課題も散見された。まず、前半から突破を許した右サイドの守備。内田篤人(鹿島)の背後を突かれる場面が目立った。内田はアジアチャンピオンズリーグ、ゼロックススーパーカップと連続出場し疲労が蓄積しているとはいえ、バーレーンに何度も同サイドを突破されるのでは心許ない。内田のコンディションが万全でなければ、駒野友一(磐田)を起用することもできたはず。少なからず修正が必要だ。

 さらに目についたのは、田中マルクス闘莉王(名古屋)の攻撃参加だ。時にはセンターバックが攻撃に加わることも必要だが、闘莉王は必要以上に前へ行きたがる。悪癖が顔を出し始めると、相手は確実に闘莉王が上がった穴を突いてくる。バーレーンにすら、そのスペースを使われていた。本大会で戦うのはバーレーンのような格下ではない。日本よりも実力が上の相手と戦う際、彼が上がる余裕などないはずだ。本大会へのテストという意識が闘莉王の頭の中には無いのだろうか。本大会で悪癖が出れば、そのプレーで致命的な失点を食らう可能性がある。まずは自らに与えられた仕事に専念すべきだ。

 岡田監督の采配に目を向けると、本田をフル出場させたことは評価できる。これまでは試合状況に関わらず、まるで判で押したような選手交代が目立っていたが、中村俊に代えて玉田圭司(名古屋)を投入した場面など適切な判断をしていた。森本貴幸(カターニャ)にはもう少し長い時間を与えるべきだったかもしれないが、投入が遅れたのは松井が予想以上にいい動きをしたためだろう。森本にとって最後のアピールチャンスだったが、不完全燃焼のまま終わってしまった。

 バーレーンを相手に2対0という結果は、可もなく不可もなくといったところ。ホームでバーレーンに完封勝利を収めたところで及第点を出すようでは、本大会での上位進出は到底叶わない。日本代表の次戦は4月7日(水)のセルビア戦(大阪・長居スタジアム)だ。この試合は国際Aマッチではないため、今日の試合でいい動きを見せた海外組4人の出場はない。国内組は彼らの不在を感じさせないようなプレーを披露する必要がある。W杯欧州予選でフランスを上回った相手に対して、どのような戦いができるのか。日本代表がサポーターからの信頼を取り戻すには、来月の親善試合で可能性を感じさせる試合をしなければならない。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
長友佑都
内田篤人
MF
遠藤保仁
長谷部誠
中村俊輔
→玉田圭司(87分)
松井大輔
→森本貴幸(67分)
本田圭佑
FW
岡崎慎司