現地時間9日、10日、16日、17日にUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグが行なわれる。それぞれ90分の激戦を繰り広げた16クラブがベスト8のハードルを越えるべく、残り90分で雌雄を決する。決勝トーナメント1回戦ではもったいないような因縁の対決にも、間もなく決着の時がやってくる。
 ここ数年、ベスト8の壁を越えることができないイタリア・セリエA勢。この中で好発進を見せたのはインテル・ミラノだ。現監督であるジョゼ・モウリーニョが作り上げたといっても過言ではないチェルシー(イングランド)を相手に、ホームで2対1と先勝している。チェルシーがモウリーニョ体制となった04−05シーズン以降で4シーズン、CLベスト4入りを果たした一方、インテルは国内でリーグ4連覇を達成しながら、欧州の舞台では輝くことはできていない。

 インテルはホームで勝っているものの、サイモン・カルーにアウェーゴールを奪われている。ホームアンドアウェー方式のCLにおいて、地元で2対1と勝利しても、まだセーフティリードとは呼べない。それでも、2ndレグで先制点を奪うようなことにあれば、一気にインテル優勢の図式となる。ここは策士モウリーニョのこと。勝手知ったるスタンフォードブリッジで、早々に先制点を狙いかつての教え子達を慌てふためかせようと戦略を練っているだろう。1stレグで得点を奪ったディエゴ・ミリートの活躍や、初戦は不発に終わったサミュエル・エトーの巻き返しに期待がかかる。

 ACミランは1stレグでホームにマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を迎え、試合開始早々、ロナウジーニョが思い切りのいいシュートで先制点を挙げ、試合の主導権を握る。しかし、07−08シーズン王者はやられたままでは黙っていなかった。36分にポール・スコールズが同点弾を叩き込むと、後半21分、29分、ウェイン・ルーニーが立て続けにゴールを奪いリードを拡げた。ホームで2点差のまま折り返せば、マンチェスター・ユナイテッド絶対有利は揺るがない。ミランにとっては絶望的な状況だったが、後半40分に途中出場のクラレンス・セードルフが技ありのヒールシュートを流し込み、1点差で90分間の戦いを終えた。

 アウェーゴールを3つも献上しオールド・トラフォードに乗り込むことになったが、セードルフの1点が非常に大きな意味を持つ。最低でも2点を獲らなければベスト8進出はないが、以前のキレを戻しつつあるロナウジーニョやプロとして偉大な一歩を踏み出した場所に凱旋するデイビッド・ベッカムの活躍があれば、逆転の目もでてくるかもしれない。ミラニスタの祈りが奇跡を起こすことになるのだろうか。

 1stレグの試合で新たな因縁を生んだのが、セリエAもう一つのクラブ、フィオレンティーナとバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)のカード。バイエルンホームで行われた1stレグでは、前半終了間際にアリエン・ロッベンがPKで先制。フィオレンティーナも後半5分にペル・クロルドルップがセットプレーからシュートを決め、すぐさま同点に追いつく。その後はバイエルンが主導権を握り、押し気味に試合を進めたもののフィオレンティーナの堅守を崩すに至らず、1対1のドローで試合終了かと思われた。しかし迎えた後半ロスタイム、ミロスラフ・クローゼがヘディングシュートを決め値千金の決勝ゴールを奪い、バイエルンが勝ち越しに成功した。ただ、このゴールシーンをスローVTRで観る限り、クローゼのポジションは明らかなオフサイド。フィオレンティーナ側は抗議するものの判定は覆らず2対1でバイエルンが勝利した。

 フィオレンティーナはホームで迎える2ndレグで、悔しい形でゴールを持っていった相手にリベンジを果たしたい。しかし、バイエルンはロッベンとフランク・リベリが揃ってピッチに登場するようになってから上昇気流に乗っている。昨年11月以降公式戦20試合負けなしで、先週末にはブンデスリーガで首位に立った。現地報道ではリベリの移籍話が連日大きく取り上げられており、このコンビがそう長く続かないと言われている。グループリーグではユベントスを敵地で4対1の大差で下しているだけに、フィレンツェに乗り込んでの2ndレグにも気負いはない。

 ヨーロッパから遠く離れた日本人にとって一番気になるのは、やはり本田圭佑が在籍するCSKAモスクワだ。今週末にはロシアリーグが開幕するが、本田はトップ下での出場が濃厚だ。それでも、本来トップ下のポジションに入っているアラン・ジャゴエフが負傷から戻ってくれば、本田の先発出場は約束されない。ライバルがケガで休んでいる間に、少しでも指揮官にアピールしたいところ。そのために最も有効な手段はやはりゴールだろう。83分間出場した1stレグでは積極的に動いたものの、ホームで1対1のドロー。アウェーで戦う2ndレグでは、得点に絡む本田の豪快なプレーに期待したい。

(大山暁生)

【UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグ】(※左側がホーム)
アーセナル(イングランド) × ポルト(ポルトガル)
フィオレンティーナ(イタリア) × バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
レアル・マドリッド(スペイン) × リヨン(フランス)
マンチェスター・ユナイテッド(イングランド) × ACミラン(イタリア)
チェルシー(イングランド) × インテル・ミラノ(イタリア)
セビージャ(スペイン) × CSKAモスクワ(ロシア)
バルセロナ(スペイン) × シュツットガルト(ドイツ)
ボルドー(フランス) × オリンピアコス(ギリシャ)