過去の決勝カード2試合が再現! 〜09−10欧州チャンピオンズリーグ準々決勝〜
現地時間3月30日、31日、4月6日、7日にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1stレグが行なわれる。前年優勝のバルセロナ(スペイン)はアーセナル(イングランド)と、準優勝のマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)はバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)とそれぞれ対戦する。注目の本田圭佑が所属するCSKAモスクワ(ロシア)は名将モウリーニョが率いるインテル・ミラノ(イタリア)と激突する。世界最高峰の大会で超一流プレーヤーたちがどのようなプレーを見せるのか。3カ月後の南アフリカW杯を占う上でも、見逃せない4試合になりそうだ。
ここ数年、欧州サッカー界をリードしてきたのは、間違いなくイングランド・プレミアリーグだった。過去5シーズン全ての大会で決勝戦に駒を進め、うち2回で優勝。07−08シーズン決勝は同国対決となった。さらに、ここ3大会はベスト4のうち3クラブをイングランド勢が占めてきた。フィジカルの強さに任せた力のサッカーと言われた時代は遠い昔。各国のスター選手が集まり、スピード感溢れる魅力的なサッカーを展開してきた。
しかし、今大会のベスト8に残ったイングランドはマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの2クラブのみ。04−05シーズン覇者のリバプールはグループリーグで敗退し、07−08ファイナリストのチェルシーはベスト16でインテルの軍門に下った。ベスト8クラブの所属国に目をやると、イングランドとフランス、イタリア、ロシア、スペイン、ドイツと6カ国にも及ぶ。イングランドとフランスが2クラブ残っているが、残りの国々は1クラブずつ。ヨーロッパはまさに群雄割拠の時代に突入したといえる。
多士済々のベスト8の中でも世界中のサッカーファンから注目を集めるのは、バルセロナとアーセナルの対戦だ。最も攻撃的なサッカーを展開する両クラブの対戦は、05−06シーズン決勝カードの再現となる。
昨季王者のバルセロナは国内リーグでレアル・マドリッドにわずかながら後れをとっているものの、CLでの戦いぶりは万全だ。決勝トーナメント1回戦ではシュツットガルトを相手に1stこそ引き分けたが、ホームでカンプノウに戻っての2ndレグを4対0で圧勝し、危なげなくベスト8入りを決めている。今季から加入のズラタン・イブラヒモビッチは期待以上の働きを見せているとは言えないものの、レアル・マドリッドとの“クラシコ”では決勝点を挙げるなど最低限の仕事は果たしている。さらにペドロという若い才能がカンテラ(下部組織)から育っており、昨年よりも選手層も厚くなっている。準々決勝1stレグではアンドレス・イニエスタが太腿を痛め欠場する予定だが、リオネル・メッシ、シャビなど多くのタレントを抱えるだけに大きな心配にはならないだろう。
対するアーセナルは負傷者が続出しており、シーズン序盤から大苦戦が予想されていた。しかしながら、プレミアリーグでも首位から勝ち点4差の3位につけており、CLでも7季連続のベスト8入り。大方の予想を裏切る快進撃を見せている。負傷者が出ても勝ち続ける理由はアーセン・ベンゲル監督の戦い方がクラブに浸透していることと、代役となる選手が想像以上のプレーを見せているためだろう。決勝トーナメント1回戦2ndレグではセスク・ファブレガスの代役で出場したサミル・ナスリが大活躍。PA内でDF3人をドリブルで置き去りにし、自らのシュートで3点目のゴールを決めた。現在もロビン・ファン・ペルシという攻撃の核を欠きながら、攻撃的サッカーに陰りは感じられない。ただし、守備陣の要であるトーマス・ヴェルメーレンの穴を埋めるべく獲得したソル・キャンベルは35歳とスピードが著しく下がっている。素早いパス回しが武器のバルセロナ攻撃陣についていくことができるか。大きな穴にならないことを祈りたい。
準々決勝のもう一つの注目カードは、マンチェスター・ユナイテッドとバイエルン・ミュンヘンの一戦だ。このカードも98−99シーズン決勝の再現となる。11年前の決勝では後半ロスタイムまで0対1でリードされていたユナイテッドが、テディ・シェリンガムとオーレ・グンナー・スールシャールのゴールで一気に試合を引っくり返した。“カンプノウの奇跡”とまで言われた伝説の試合だ。キャプテンのライアン・ギグスは当時も決勝のピッチに立っている。
ただし、現在の両者の状況は対照的だ。ユナイテッドは国内リーグで首位を守っており、決勝トーナメント1回戦もACミラン(イタリア)を2試合合計7対2で圧勝している。何と言っても今季はウェイン・ルーニーがさらなる進化を見せていることが大きい。昨季までクリスティアーノ・ロナウドと共存してきたが、相棒がレアル・マドリッドに移ってから、点取り屋としての才能を一気に伸ばしてきた。以前は試合中に気持ちが切れることも少なくなかったが、メンタル面でもうまくコントロールが効いている。さらに、彼の前線からの守備はチームに大きな安心を与えており、加えて、ヘディングでの得点力も増した。国内リーグでは目下26点で得点ランク首位を走っている。
一方のバイエルン・ミュンヘンは、故障明けのフランク・リベリやアリエン・ロッベンは復帰した頃の勢いがなくなってしまった。先週末の国内リーグでは久しぶりの連敗を喫しただけでなく、準々決勝進出を決めるスーパーゴールを叩き込んだロッベンがふくらはぎを負傷するアクシデントにも見舞われた。ユナイテッドを相手にロッベンのいない布陣では、厳しい戦いを挑まざるを得ない。リベリの移籍問題もクラブが勝ち続けてきたことで下火になってきたが、今のクラブの状況ではいつ再燃するかわからない。12年前の決勝では接戦を演じた両者だが、意外な大差がつくことも考えられる。
日本人として初めてCL準々決勝のピッチに立つことになりそうな本田圭佑だが、1stレグの行なわれるイタリアでの練習中に左足首を傷めたという情報がある。先発出場は微妙な情勢だ。これはCSKAモスクワにとっても大きな痛手。本田の活躍がなければベスト8進出はなかっただけに、彼の穴をいかに埋めるかがポイントとなりそうだ。そうでなくても相手は百戦錬磨の指揮官、ジョゼ・モウリーニョが率いるインテル。セリエA4連覇に向け視界良好であり、欧州制覇を大目標にモウリーニョがミラノにやってきて2シーズン目。今季は是が非でもビッグイヤーを手中にしたいはずだ。
フランス勢対決となるリヨンとボルドーの対戦は、決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリッドを下しているリヨンが有利か。ただ、お互いの手の内を知り尽くしているだけに、激しい戦いになることは必至だ。勝者はフランス勢として6年ぶりのベスト4進出という栄誉を手にすることになる。
(大山暁生)
【UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグ】(※左側がホーム)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) × マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
リヨン(フランス) × ボルドー(フランス)
アーセナル(イングランド) × バルセロナ(スペイン)
インテル・ミラノ(イタリア) × CSKAモスクワ(ロシア)
ここ数年、欧州サッカー界をリードしてきたのは、間違いなくイングランド・プレミアリーグだった。過去5シーズン全ての大会で決勝戦に駒を進め、うち2回で優勝。07−08シーズン決勝は同国対決となった。さらに、ここ3大会はベスト4のうち3クラブをイングランド勢が占めてきた。フィジカルの強さに任せた力のサッカーと言われた時代は遠い昔。各国のスター選手が集まり、スピード感溢れる魅力的なサッカーを展開してきた。
しかし、今大会のベスト8に残ったイングランドはマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの2クラブのみ。04−05シーズン覇者のリバプールはグループリーグで敗退し、07−08ファイナリストのチェルシーはベスト16でインテルの軍門に下った。ベスト8クラブの所属国に目をやると、イングランドとフランス、イタリア、ロシア、スペイン、ドイツと6カ国にも及ぶ。イングランドとフランスが2クラブ残っているが、残りの国々は1クラブずつ。ヨーロッパはまさに群雄割拠の時代に突入したといえる。
多士済々のベスト8の中でも世界中のサッカーファンから注目を集めるのは、バルセロナとアーセナルの対戦だ。最も攻撃的なサッカーを展開する両クラブの対戦は、05−06シーズン決勝カードの再現となる。
昨季王者のバルセロナは国内リーグでレアル・マドリッドにわずかながら後れをとっているものの、CLでの戦いぶりは万全だ。決勝トーナメント1回戦ではシュツットガルトを相手に1stこそ引き分けたが、ホームでカンプノウに戻っての2ndレグを4対0で圧勝し、危なげなくベスト8入りを決めている。今季から加入のズラタン・イブラヒモビッチは期待以上の働きを見せているとは言えないものの、レアル・マドリッドとの“クラシコ”では決勝点を挙げるなど最低限の仕事は果たしている。さらにペドロという若い才能がカンテラ(下部組織)から育っており、昨年よりも選手層も厚くなっている。準々決勝1stレグではアンドレス・イニエスタが太腿を痛め欠場する予定だが、リオネル・メッシ、シャビなど多くのタレントを抱えるだけに大きな心配にはならないだろう。
対するアーセナルは負傷者が続出しており、シーズン序盤から大苦戦が予想されていた。しかしながら、プレミアリーグでも首位から勝ち点4差の3位につけており、CLでも7季連続のベスト8入り。大方の予想を裏切る快進撃を見せている。負傷者が出ても勝ち続ける理由はアーセン・ベンゲル監督の戦い方がクラブに浸透していることと、代役となる選手が想像以上のプレーを見せているためだろう。決勝トーナメント1回戦2ndレグではセスク・ファブレガスの代役で出場したサミル・ナスリが大活躍。PA内でDF3人をドリブルで置き去りにし、自らのシュートで3点目のゴールを決めた。現在もロビン・ファン・ペルシという攻撃の核を欠きながら、攻撃的サッカーに陰りは感じられない。ただし、守備陣の要であるトーマス・ヴェルメーレンの穴を埋めるべく獲得したソル・キャンベルは35歳とスピードが著しく下がっている。素早いパス回しが武器のバルセロナ攻撃陣についていくことができるか。大きな穴にならないことを祈りたい。
準々決勝のもう一つの注目カードは、マンチェスター・ユナイテッドとバイエルン・ミュンヘンの一戦だ。このカードも98−99シーズン決勝の再現となる。11年前の決勝では後半ロスタイムまで0対1でリードされていたユナイテッドが、テディ・シェリンガムとオーレ・グンナー・スールシャールのゴールで一気に試合を引っくり返した。“カンプノウの奇跡”とまで言われた伝説の試合だ。キャプテンのライアン・ギグスは当時も決勝のピッチに立っている。
ただし、現在の両者の状況は対照的だ。ユナイテッドは国内リーグで首位を守っており、決勝トーナメント1回戦もACミラン(イタリア)を2試合合計7対2で圧勝している。何と言っても今季はウェイン・ルーニーがさらなる進化を見せていることが大きい。昨季までクリスティアーノ・ロナウドと共存してきたが、相棒がレアル・マドリッドに移ってから、点取り屋としての才能を一気に伸ばしてきた。以前は試合中に気持ちが切れることも少なくなかったが、メンタル面でもうまくコントロールが効いている。さらに、彼の前線からの守備はチームに大きな安心を与えており、加えて、ヘディングでの得点力も増した。国内リーグでは目下26点で得点ランク首位を走っている。
一方のバイエルン・ミュンヘンは、故障明けのフランク・リベリやアリエン・ロッベンは復帰した頃の勢いがなくなってしまった。先週末の国内リーグでは久しぶりの連敗を喫しただけでなく、準々決勝進出を決めるスーパーゴールを叩き込んだロッベンがふくらはぎを負傷するアクシデントにも見舞われた。ユナイテッドを相手にロッベンのいない布陣では、厳しい戦いを挑まざるを得ない。リベリの移籍問題もクラブが勝ち続けてきたことで下火になってきたが、今のクラブの状況ではいつ再燃するかわからない。12年前の決勝では接戦を演じた両者だが、意外な大差がつくことも考えられる。
日本人として初めてCL準々決勝のピッチに立つことになりそうな本田圭佑だが、1stレグの行なわれるイタリアでの練習中に左足首を傷めたという情報がある。先発出場は微妙な情勢だ。これはCSKAモスクワにとっても大きな痛手。本田の活躍がなければベスト8進出はなかっただけに、彼の穴をいかに埋めるかがポイントとなりそうだ。そうでなくても相手は百戦錬磨の指揮官、ジョゼ・モウリーニョが率いるインテル。セリエA4連覇に向け視界良好であり、欧州制覇を大目標にモウリーニョがミラノにやってきて2シーズン目。今季は是が非でもビッグイヤーを手中にしたいはずだ。
フランス勢対決となるリヨンとボルドーの対戦は、決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリッドを下しているリヨンが有利か。ただ、お互いの手の内を知り尽くしているだけに、激しい戦いになることは必至だ。勝者はフランス勢として6年ぶりのベスト4進出という栄誉を手にすることになる。
(大山暁生)
【UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグ】(※左側がホーム)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) × マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
リヨン(フランス) × ボルドー(フランス)
アーセナル(イングランド) × バルセロナ(スペイン)
インテル・ミラノ(イタリア) × CSKAモスクワ(ロシア)