激戦を勝ち抜いたベスト4が激突! 〜09−10欧州チャンピオンズリーグ準決勝〜

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 現地時間4月20日、21日にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグが行なわれる。前年優勝のバルセロナ(スペイン)はグループリーグでも激突したインテル・ミラノ(イタリア)と、前年のファイナリストを破って準決勝に駒を進めたバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)はリヨン(フランス)とそれぞれ対戦する。決勝の地、サンチャゴ・ベルナベウ(マドリッド)に辿り着くのはどのクラブか。世界最高峰のベスト4激突に注目が集まる。
 好カードが目白押しだった準々決勝の中でも、最もエキサイティングな展開となったのはマンチェスター・ユナイテッド対バイエルン・ミュンヘンの試合だ。98−99シーズンの決勝(“カンプノウの奇跡”が起こった試合)以来となる両雄の対決も、CL史上に残る劇的な試合となった。1stレグを敵地で1対2と落としたユナイテッドは、前半3分にいきなりダロン・ギブソンのゴールで先制する。さらに7分、41分とナニがゴールネットを揺らし、この時点で合計スコア4対2。多くのサッカーファンがこの時点で、ホームの大声援を受けたユナイテッドのベスト4入りを確信したことだろう。

 しかし、バイエルンが前半終了間際、イビチャ・オリッチがDFとの競り合いで球際の強さを見せ、反撃弾を粘り強く叩き込むと、オールド・トラフォードに不穏な空気が流れる。あと1点加えれば合計スコアで並び、アウェーゴール差でバイエルンがユナイテッドを上回る。そして迎えた後半29分、バイエルン左サイドからのコーナーキック。キッカーのフランク・リベリはファーサイドのPA外に身構えたアリエン・ロッベンの足元に高いボールを供給する。大きな弧を描いた放物線の先にボールが落ちてきた瞬間、ロッベンは鋭く左足を振り抜く。シュートは地を這うように一直線にゴールへ向かい、エドウィン・ファンデルサールの必死のセーブも届かずゴールへ突き刺さった。決勝トーナメント1回戦のフィオレンティーナ(イタリア)戦に続き、ロッベンが貴重なアウェーゴールを奪い、バイエルンがユナイテッドを上回った。ユナイテッドは後半開始早々に退場者を出した上、ケガを押して出場していたウェイン・ルーニーはすでにピッチを去っており、再び攻撃のリズムを掴むことなく敗戦となった。一方のバイエルンは2000−01シーズン以来、9年ぶりのべスト4進出を果たした。ちなみに00−01シーズンは決勝に進出し、バレンシア(スペイン)を破って欧州チャンピオンに輝いている。

 もう一つの注目カードは昨年王者のバルセロナ(スペイン)とアーセナル(イングランド)という“超攻撃的”クラブ同士の対決だ。1stレッグはお互い譲らず2対2のドロー。2ndレグでも激しい接戦が予想されていた。 迎えたカンプノウでの2ndレグ。この試合で強烈なインパクトを残したのはリオネル・メッシだった。

 バルセロナは前半18分にニクラス・ベントナーに先制を許したものの、圧倒的なポゼッションですぐに流れを引き戻す。そして前半21分、相手DFのクリアが小さくなったところへメッシが素早く反応し、左足で強烈なシュート。ボールはゴール右隅に突き刺さり、すぐにバルセロナが同点に追いつく。さらに37分には左サイドを崩したバルセロナがゴール前でペドロが絶妙なポストプレー。シンプルにゴPA内でメッシの前にボールを落とし、これを落ち着いて決め2点目。その4分後にもDFラインギリギリから飛び出したメッシがGKと1対1になり、ループ気味のシュートでハットトリックを達成。前半だけで3ゴールを挙げる活躍をみせ、アーセナルを一気に追いつめた。極めつけは試合終了間際、再びDFラインの裏をついたメッシがゴール前へ進入。DF2人に囲まれ、一旦はシュートを弾かれるものの、すぐさまそのボールを拾い最後はGKの股を抜いて4点目を決めた。メッシがCL史上6人目の快挙となる1試合4ゴールの活躍で、合計スコア6対3とアーセナルを粉砕。CL連覇に向けて鮮やかな勝利をあげた。

 この2試合で、ここ数年CLの主役ともいえたイングランド・プレミアリーグ勢が姿を消した。残り2カードは本田圭佑が所属するCSKAモスクワ(ロシア)と対戦したインテルが勝ち上がり、フランス勢対決となったリヨン対ボルドーは1stレグの貯金をいかしたリヨンが制している。ベスト4の顔ぶれは、ドイツ、スペイン、イタリア、フランスのクラブとなった。イングランド勢のいないベスト4は02−03シーズン以来7年ぶり。我が世の春を謳歌していた同リーグは、巨額の負債問題も抱えており今後立ち直ることができるか。来季へ向けて、様々な面で注目を集めることとなるだろう。

 準決勝のカードはインテル・ミラノ対バルセロナ、バイエルン対リヨンとなっている。やはり注目はインテル対バルセロナだ。今年のCLグループリーグFでも対戦している両者だが、グループリーグではミラノで0対0、バルセロナで0対2という結果だった。バルセロナ優勢でグループ首位通過を果たしている。とはいうものの、これはあくまでもグループリーグでの成績だ。インテルを率いる知将、ジョゼ・モウリーニョは“打倒・バルサ”の秘策を練っているに違いない。片や、昨季6冠を制し、今年もCL連覇がかかる若き指揮官、ジョゼップ・グアルディオラも無策で準決勝に臨むことはないだろう。ちなみに、モウリーニョが指導者としてのキャリアをスタートさせたのは、96年にバルセロナを率いたボビー・ロブソンの通訳を務めていた頃からで、当時のクラブの主将はグアルディオラだった。通訳と選手として同じピッチで戦った両者が、それぞれ監督として欧州最高峰の舞台で激突することになる。

 実はこの試合で気になるのは、アイスランドの火山噴火の影響だ。欧州全土で大混乱をもたらしている火山噴火は、CLにも大きな影響を及ぼしている。バルセロナからミラノに向かう飛行機が火山の影響で欠航となり、バルセロナのメンバーは1000キロ近い道のりをバスで移動することとなった。途中、フランスのカンヌで一泊しミラノへ移動するという強行日程で試合に臨むことになる。火山の影響が続けば、帰路も同じ行程を経なければならない。バルセロナは先週のリーグ戦でエスパニョールとのバルセロナダービーで引き分け、2位レアル・マドリッドとの勝ち点差はわずかに1。シーズン終盤で疲労の残りやすいタイミングで自然災害を被るのは不運以外の何物でもない。コンディション維持には細心の注意が必要だろう。さらに1週間後、バルセロナに乗り込むインテルが同じような不利を受けるかは、火山の状況を見てみなければわからない。バルサ連覇の最大の障害は、スペインから遠く離れた北国の煙となるかもしれない。
 
 2カード続けて劇的な勝利を収めているバイエルンはリヨンとの対戦となる。ロッベンやリベリが調子を上げているとはいえ、バイエルンは国内リーグで星を取りこぼすなど意外に脆い面も併せ持っている。一方で、相手のスキを突いてくるのはリヨンの得意技。決勝トーナメント1回戦では、優勝候補でもあったレアル・マドリッドを2戦合計2対1で下しており、前評判を覆す勝負強さはこのクラブの伝統だ。マンチェスター・ユナイテッドを撃破し士気の上がっているバイエルンだが、そこに慢心があるようならばリヨンにも付け入るスキは十分にある。GKユーゴ・ヨリスやFWリサンドロ・ロペスは国際経験も豊富。リヨンが1stレグで先制するようなことがあれば、意外なほどあっさりとフランス勢6季ぶりの決勝進出が決まるかもしれない。

 準決勝の先にあるのは、5月22日にスペイン・マドリッド、サンチャゴ・ベルナベウで行なわれる決勝の舞台。レアル・マドリッドの永遠のライバル、バルセロナが決勝へ乗り込み連覇へ挑戦するのか、それともモウリーニョが再びCLファイナルの舞台に上がるのか。眠れるドイツの雄が久々にファイナリストとなるのか、それともリヨンが再び巨大クラブを倒しファイナリストの栄冠を得るのか。まもなく夢の舞台での対戦カードが決定する。

(大山暁生)

【UEFAチャンピオンズリーグ準決勝1stレグ】(※左側がホーム)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) × リヨン(フランス)
インテル・ミラノ(イタリア) × バルセロナ(スペイン) 
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