3日、BCリーグが開幕し、各地で熱戦が行なわれた。4日とあわせて2試合が消化され、連勝した球団は0。リーグ創設4年目を迎えたリーグが群雄割拠の時代に突入し、今シーズンの優勝争いは混戦必至となりそうだ。
主力かわらず、安定感は抜群 〜群馬ダイヤモンドペガサス〜
 昨シーズン、地区連覇を果たし、石川ミリオンスターズとのリーグチャンピオンシップを制した群馬ダイヤモンドペガサスは、比較的主力メンバーに変更はない。投手陣の柱は昨シーズン1年目なが投手部門MVPに輝いた堤雅貴。リーグきっての左腕とプロも注目する20歳だ。開幕戦では5回4安打2失点とまずまずの滑り出しを見せた。そのほか、越川昌和、清水貴之、キム・ジョンファンと人材は豊富だ。打線も井野口祐介、川村修司、山田憲ら主力のバットが振れている。さらに四国・九州アイランドリーグで2冠王に輝いたカラバイヨが加入し、よりパワーが増した。ただ、懸念材料をあげるとすれば、投手コーチ不在という点だ。これがどのようにチームに影響するのか。

パワーに機動力を兼ね備えた打線 〜新潟アルビレックスBC〜
 08年には前期優勝こそ達成したものの、未だ地区優勝を果たすことができていない新潟アルビレックスBC。芦沢真矢監督就任3年目の今シーズンは勝負の年となる。打線の中心は、今シーズンもやはり主砲の青木智史だ。ホーム開幕となった4日の群馬戦では早くも第1号をマークし、チームを敗戦から救った。また、新加入の今井佑紀をはじめ、頓所大輔、稲葉大樹らを中心に今シーズンは機動力野球も見られそうだ。投手陣は昨シーズンエース格として活躍した伊藤秀範が退団。また、チーム最多の32試合に登板した中山大は現役を引退し、コーチに就任するなど、再構築が強いられている。昨季、リリーフから先発に転向したスターツ、また新人ながら社会人出身で即戦力として期待される石渡大介の活躍がカギを握りそうだ。石渡は開幕2試合はリリーフとして起用されたが、先発能力も高く、今後はフル回転する可能性もある。さらに最速140キロ台半ばを誇り、身長182センチと上背もある寺田哲也、大学時代に通算20勝をマークし、4年時には春夏連続でリーグ最優秀投手に輝いた間曽晃平などにも注目したい。

星野&高田の穴を埋めるのは!? 〜信濃グランセローズ〜
 2年連続で主力投手をNPBに送り出している信濃グランセローズだが、チームとしては低迷が続いている。星野真澄(巨人)、高田周平(阪神)と柱が抜けた今シーズン、主戦として期待されているのが既存の投手陣。2年目を迎えた芦田真史、昨年シーズン途中に入団した鈴木幸介、そして球団創設から期待されている給前信吾だ。また、新人の杉山慎は第2戦で強力打線の富山を相手に8回4安打1失点の好投でチーム初勝利をもたらし、今後の活躍が期待できる。打線では昨シーズン打率ベスト10に入った3番・今村亮太、パワーヒッター4番・村田郷、勝負強い5番・大村有三、さらには高知ファイティングドッグス(四国・九州アイランドリーグ)から新加入したムヨルの爆発に期待したい。

投手中心の守り勝つ野球を継承 〜石川ミリオンスターズ〜
 金森栄治前監督が築き上げた投手陣の層の厚さと固い守備は、森慎二新監督が率いる今シーズンのチームにもしっかりと受け継がれている。特に投手陣は強力だ。元横浜の大輔、昨シーズンはリーグトップの防御率1.66をマークした山崎猛志、リーグ最多勝(17勝)の南和彰、山崎、南とともに防御率1点台と安定感を誇った山下英とコマは揃っている。あとは打線が奮起するかどうかだ。俊足の戸田衛、安定した率を残せる好打者・楠本大樹らを中心にチャンスにいかに得点できるかがカギとなる。開幕2試合を見ても、昨シーズン同様、投手を中心とした守り勝つ野球で3年ぶりのリーグ王者奪還を狙う。

課題は投手&守備 〜富山サンダーバーズ〜
 2年ぶり王座奪還に燃える富山サンダーバーズは、開幕戦の初回、打者一巡の猛攻を見せ、今シーズンも自慢の強力打線が健在であることを証明した。昨シーズンチームトップの打率.325をマークした恭史、2年連続で開幕アーチを放った町田一也、今シーズンからスイッチヒッターに戻り、プロのスカウトも注目する下島孝之といった既存選手の飛躍に期待がかかる。しかし、投手陣では木谷智朗以外は横一線。萩原淳由、田中孝次、大卒ルーキーの加藤貴大を筆頭に、先発、リリーフともに誰が台頭してくるかに注目したい。また、昨シーズンはチーム失策数がリーグワースト2位だった守備への強化は必須。今シーズンから横浜時代にゴールデングラブ賞3回受賞し、名手として鳴らした進藤達哉氏が守備コーチに就任した。しかし、2試合で既に3つの失策を記録。今後、守備の安定化が優勝へのカギを握りそうだ。

打線奮起で飛躍を目指す 〜福井ミラクルエレファンツ〜
 球団創設以来、2年連続で地区最下位に陥っている福井ミラクルエレファンツだが、首脳陣や選手たちの今季にかける思いは強い。ホーム開幕戦となった4日の石川戦、1点ビハインドで迎えた5回に打者10人の猛攻で一挙6得点を奪い、実力を見せつけた。運営会社が経営難に陥り、2月に新会社「福井県民球団」に事業を譲渡したエレファンツ。しかし、決して好転の一途を辿っているわけではない。そんな中、来シーズン以降、球団が存続するためには今シーズンの好成績は不可欠だ。既存選手に、大阪桐蔭高でクリーンアップを担った松下直道や、酒田南高時代にはレギュラーとして甲子園に出場するなど大舞台を経験し、即戦力として期待される北田亘ら新人選手がうまくかみ合えば、4期連続最下位の屈辱を晴らすことができそうだ。