ロサンゼルス・エンゼルスの松井秀喜が14日、昨季まで在籍した古巣のニューヨーク・ヤンキースと公式戦で初めて顔を合わせた。「4番・DH」でスタメン出場した松井だったが、元同僚の先発左腕アンディ・ぺティットらの前に快音は聞かれず、5打数ノーヒットに終わった。試合もエンゼルスが終盤の猛追及ばず、5−7で敗れた。
 敵の選手に対しては厳しいヤンキースファンも、昨季の功労者に対しては温かった。ヤンキースにとっては本拠地開幕戦となったこのゲーム、試合前には昨年のワールドシリーズ制覇を記念するチャンピオンリングの授与式が行われた。デレク・ジーター、アレックス・ロドリゲスらが、グラウンド上でひととおりリングを受け取ると、こんな場内アナウンスが流れた。「実はチャンピオンリングは、もうひとつ残っています。もうみなさんはお気づきかもしれませんが……ヒデキ・マツイ!」。大歓声の中、最後に呼ばれたのがシリーズMVPの松井だった。3塁側からひとり赤いユニホームで登場すると、ジョー・ジラルディ監督から箱入りのリングが手渡され、ピンストライプの選手たちが周りを取り囲んで喜びを分かち合った。

 それだけではない。初回の第1打席、2死1塁で松井が打席に入ると、満員のスタンドはスタンディングオベーション。さすがの松井も敵地とは思えない雰囲気の中で、外のボールに空振り三振に倒れた。その後もショートゴロ、セカンドゴロ、セカンドゴロ。エンゼルスがボビー・アブレイユの満塁ホームランで2点差に追い上げた9回の打席では、さすがに相手チームの4番に対してブーイングも聞かれたが、松井は守護神マリアーノ・リベラからセカンドフライに打ち取られ、最後の打者になってしまった。元ホームグラウンドでの試合は16日まで続く。バットでの“恩返し”は次戦以降に持ち越された。