ボストン・レッドソックスの松坂大輔が2日、敵地のボルチモア・オリオールズ戦で復帰し、今季初登板した。先発マウンドを託された松坂は初回に1点を失うも、2回以降は相手打線をゼロに抑える。しかし、勝利投手の権利を得る5回に2本の本塁打などで一気に6点を奪われ、5回を投げきることなく、7安打7失点(自責6)の内容で降板した。レッドソックスはこの大量失点が響き、打撃戦の末に9−12で敗れ、松坂は敗戦投手となった。
 勝負をかけた1年のスタートは最悪の結果に終わった。昨年は3月のWBCでMVPを獲得するも、シーズンに入って肩の不調に悩まされた。2度の故障者リスト入りを経験し、勝ち星は4勝(6敗)止まり。復活に向けて、自主トレから準備を進めていた。ところがキャンプ中の3月中旬に首に張りを訴え、出遅れる。松坂本人にとっては、この日が1カ月遅れの開幕だった。
 
 久々のメジャーでのマウンドからか、立ち上がりは球がばらついていた。いきなり先頭打者を四球で歩かせると、牽制悪送球もあって得点圏に走者を進めてしまう。続く2番のニック・マーカーキスにレフトへタイムリーを放たれ、あっという間に1点を失った。だが、ここから右腕は立ち直る。3番のマット・ウィータースをセカンドゴロ併殺打にしとめ、リズムを取り戻すと、2回以降は制球も徐々に定まり、ノーヒットに抑えた。

 その間に味方打線も反撃し、4回を終えてレッドソックスが4−1とリード。松坂が突然、乱れるのは復活の白星が見えてきた5回だった。まず1死から6番のタイ・ウィギントンにストレートをレフトスタンドに運ばれ、1点を献上。なおもヒットを許し、次の打者は1ストライクから4球連続ボールで歩かせて雲行きが怪しくなる。その後、2死1、3塁となって、1番アダム・ジョーンズの当たりはサード前へのボテボテのゴロ。これが不運な内野安打となり、1点差に迫られた。続くマーカーキスにはストレートを痛烈にはじき返されて同点。とどめはウィータースに、これまたストレートを左中間スタンドへ叩き込まれて、まさかの逆転を許した。

 交代を告げられた松坂は無念の表情を浮かべた。決して球速や変化球のキレは悪くなかったものの、勝負どころでの詰めが甘すぎた。現状の松坂は先発5番手で、昨年までのようなローテーションの柱ではない。今季のレッドソックスはアメリカンリーグ東地区の4位に沈んでおり、右腕の復調を待つ余裕がない状況だ。内容次第では、この日リリーフにまわったティム・ウェークフィールドのように中継ぎ降格もありうる。ひとまずは内容よりも結果が求められる背番号18にとっては痛すぎる1敗となってしまった。