インテルが45年ぶりの欧州制覇! 〜09−10欧州チャンピオンズリーグ〜
22日、09−10欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝がマドリッド、サンチェゴ・ベルナベウで行われ、インテル・ミラノ(イタリア)がバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を2対0で下した。前半35分にディエゴ・ミリートのゴールで先制し、さらに後半25分にカウンターからミリートが追加点をあげた。インテルはセリエA、コパ・イタリアに続き3冠を達成となり、これはイタリア勢史上初の快挙。監督のジョゼ・モウリーニョは03−04シーズン、ポルト以来6季ぶりにクラブを欧州王者へと導いた。
ボール支配率30%ながら試合を完全に掌握
◇5月22日 マドリッド、サンチャゴ・ベルナベウ
バイエルン・ミュンヘン 0−2 インテル・ミラノ
【得点】
[イ] ディエゴ・ミリート(35分、70分)
イタリアの名門がこれぞイタリアサッカーという試合運びでドイツ王者を圧倒した。
決勝は近年欧州サッカーを席巻してきたイングランド、スペイン勢の顔合わせではなく、UEFAリーグランキング3位イタリアと4位ドイツのチャンピオン同士の対戦となった。インテル、バイエルンともに国内リーグとカップ戦を制しており、どちらが勝っても3冠達成。3冠は伝統ある両国のサッカー史でも過去に例がなく、いずれが勝つにしても歴史に名を残す一戦だった。
キックオフの笛が吹かれると、戦前の予想通り“攻めのバイエルン、守りのインテル”の図式で試合が展開された。前半15分、バイエルンの左CKの場面でマルティン・デミチェリスがヘッドであわせたところ、クリアに入ったDFマイコンの手にシュートが当たったように見えたが、これはノーファウルと判定される。さらに22分にはトーマス・ミュラーが浮き球をうまくコントロールしながら中央を突破、そこへアリエン・ロッベンがフォローに入りシュートを放つ。ボールは枠から大きく外れたが、バイエルンが攻めペースを作りながら時計は進んでいく。
バイエルンの攻撃は右サイドに開いたロッベンにボールを預けることから始まる。本来、左サイドにはフランク・リベリが配置されるのだが、準決勝のラフプレーで決勝は出場停止処分を受けていた。そのためバイエルンはどうしてもロッベン頼みの組み立てを余儀なくされる。当然ながらインテルはロッベンを徹底的にマークすることとなる。ボールがロッベンに渡るとクリスティアン・キブとエステバン・カンビアッソの2人が必ず戻り、ロッベンに自由を与えない。
先制点を入れたのは攻め続けたバイエルンではなく、守りを固めていたインテルだった。前半35分、GKジュリオ・セーザルからのロングボールをヘッドでミリートが落とし、一瞬フリーになったウェズレイ・スナイデルへ預ける。スナイデルはスルーパスで再びボールをミリートの足元へ戻すと、ミリートがGKの動きをよく見ながら落ち着いてシュートをゴールに流し込み先制する。相手DF陣の一瞬のスキを逃さなかったアルゼンチン人FWのシュートで試合の流れは一気にインテルに傾く。
カウンター狙いのインテルは全員で守備の意識を共有できていた。時間をかけてじっくりと攻めるバイエルンに対して、中盤からしっかりと陣形を整え穴を作らない。そしてボールを奪うとすぐさまサミュエル・エトー、ミリート、スナイデルの3人でカウンターを仕掛けバイエルンゴールに向かっていく。インテルの先発にはイタリア人選手が一人もいなかったが、イタリアサッカーを具現化するようなスタイルで試合を運んでいった。
ハーフタイムを挟んだ後半開始直後、ビッグチャンスをつかんだのはバイエルンだった。左サイドからハミト・アルティントップがドリブルでPA付近まで侵入し、ゴール正面で待つミュラーにスルーパス。フリーでシュートを放ったミュラーだが、ジュリオ・セーザルの好セーブにあいゴールを奪えない。結果的にはこのプレーが勝負の行方を大きく左右することになる。
ビッグチャンスの後もボールを圧倒的に保持したのはバイエルン。前半同様ロッベンを中心に右サイドから攻撃をしかけインテル陣内へ攻め込むシーンが数多く見られた。17分には右からのFKをロッベンがゴール前に入れると、クリアボールに反応したミュラーが右足でシュート。ボールは枠内に飛んだが、カンビアッソが間一髪ヘディングでクリアしゴールならず。その2分後にはまたも右サイドからロッベンが突破し、PA少し外から左足のシュート。ゴール隅へと素晴らしい弧を描いたが、これもジュリオ・セーザルの好セーブに阻まれる。ボール支配率はバイエルンが70%に迫ったものの、インテルの術中にはまりなかなか同点弾は生れなかった。
試合を決定づけるゴールが入ったのは後半25分。センターライン付近から出たパスをミリートが受けてゆっくりとしたドリブルでPA内に侵入する。ミリートは一瞬フェイントを入れDFを置き去りにし、シュートのタイミングを作る。そして冷静にGKの動きをよく見てファーサイドへボールを流しこんだ。カウンターから再びゴールを奪い2点のリード。試合を完全に掌握したインテルが、一気に欧州王者の座に近づいた瞬間だった。
2失点後のバイエルンはちぐはぐな攻撃が続いた。28分にはこれまでCLで大活躍をみせていたイビチャ・オリッチをベンチに下げマリオ・ゴメスを投入。苦境でも決して諦めない姿勢を見せていたオリッチのプレーで決勝まで駒を進めたバイエルンだったが、自ら躍進のキーマンを決勝の舞台から降ろしてしまった。これまで見事な攻撃サッカーを披露してきたルイス・ファンハール監督も、インテルの堅守の前に白旗を上げざるを得ないという状況だった。その後、バイエルンが決定機をつくることはなく、モウリーニョインテルが見事なゲームマネージメント能力を見せつけ2対0で勝利、45年ぶりに欧州王者となった。終始ボールを持たせたインテルだったが、鉄壁の守りでバイエルンを圧倒した。
この試合のキーマンは、間違いなくモウリーニョだった。ロッベン封じに策を練るだけでなく、徹頭徹尾、守りに主眼を置いて試合を組み立てた。おそらくCL決勝で勝利してきたどのクラブよりも、ボールを持たずに優勝したことになるはずだ。7割方ボールを持たせても、試合の主導権を奪うことに成功した。これまでポルトガル、イングランドと異なるサッカー文化の下で結果を出してきたモウリーニョだが、今日は見事なまでにイタリアの戦い方でヨーロッパ王座に就いた。決勝前から“CLを制すればレアル・マドリッドの監督に就任する”という噂が流れているが、レアルの本拠地、サンチャゴ・ベルナベウで素晴らしい采配を見せつけた。異なる3カ国のサッカーに対応しながら最高の結果を出してきた現代の名将。CL制覇を置き土産にスペインで磨き抜かれた手腕を披露することになるのだろうか。
(大山暁生)
ボール支配率30%ながら試合を完全に掌握
◇5月22日 マドリッド、サンチャゴ・ベルナベウ
バイエルン・ミュンヘン 0−2 インテル・ミラノ
【得点】
[イ] ディエゴ・ミリート(35分、70分)
イタリアの名門がこれぞイタリアサッカーという試合運びでドイツ王者を圧倒した。
決勝は近年欧州サッカーを席巻してきたイングランド、スペイン勢の顔合わせではなく、UEFAリーグランキング3位イタリアと4位ドイツのチャンピオン同士の対戦となった。インテル、バイエルンともに国内リーグとカップ戦を制しており、どちらが勝っても3冠達成。3冠は伝統ある両国のサッカー史でも過去に例がなく、いずれが勝つにしても歴史に名を残す一戦だった。
キックオフの笛が吹かれると、戦前の予想通り“攻めのバイエルン、守りのインテル”の図式で試合が展開された。前半15分、バイエルンの左CKの場面でマルティン・デミチェリスがヘッドであわせたところ、クリアに入ったDFマイコンの手にシュートが当たったように見えたが、これはノーファウルと判定される。さらに22分にはトーマス・ミュラーが浮き球をうまくコントロールしながら中央を突破、そこへアリエン・ロッベンがフォローに入りシュートを放つ。ボールは枠から大きく外れたが、バイエルンが攻めペースを作りながら時計は進んでいく。
バイエルンの攻撃は右サイドに開いたロッベンにボールを預けることから始まる。本来、左サイドにはフランク・リベリが配置されるのだが、準決勝のラフプレーで決勝は出場停止処分を受けていた。そのためバイエルンはどうしてもロッベン頼みの組み立てを余儀なくされる。当然ながらインテルはロッベンを徹底的にマークすることとなる。ボールがロッベンに渡るとクリスティアン・キブとエステバン・カンビアッソの2人が必ず戻り、ロッベンに自由を与えない。
先制点を入れたのは攻め続けたバイエルンではなく、守りを固めていたインテルだった。前半35分、GKジュリオ・セーザルからのロングボールをヘッドでミリートが落とし、一瞬フリーになったウェズレイ・スナイデルへ預ける。スナイデルはスルーパスで再びボールをミリートの足元へ戻すと、ミリートがGKの動きをよく見ながら落ち着いてシュートをゴールに流し込み先制する。相手DF陣の一瞬のスキを逃さなかったアルゼンチン人FWのシュートで試合の流れは一気にインテルに傾く。
カウンター狙いのインテルは全員で守備の意識を共有できていた。時間をかけてじっくりと攻めるバイエルンに対して、中盤からしっかりと陣形を整え穴を作らない。そしてボールを奪うとすぐさまサミュエル・エトー、ミリート、スナイデルの3人でカウンターを仕掛けバイエルンゴールに向かっていく。インテルの先発にはイタリア人選手が一人もいなかったが、イタリアサッカーを具現化するようなスタイルで試合を運んでいった。
ハーフタイムを挟んだ後半開始直後、ビッグチャンスをつかんだのはバイエルンだった。左サイドからハミト・アルティントップがドリブルでPA付近まで侵入し、ゴール正面で待つミュラーにスルーパス。フリーでシュートを放ったミュラーだが、ジュリオ・セーザルの好セーブにあいゴールを奪えない。結果的にはこのプレーが勝負の行方を大きく左右することになる。
ビッグチャンスの後もボールを圧倒的に保持したのはバイエルン。前半同様ロッベンを中心に右サイドから攻撃をしかけインテル陣内へ攻め込むシーンが数多く見られた。17分には右からのFKをロッベンがゴール前に入れると、クリアボールに反応したミュラーが右足でシュート。ボールは枠内に飛んだが、カンビアッソが間一髪ヘディングでクリアしゴールならず。その2分後にはまたも右サイドからロッベンが突破し、PA少し外から左足のシュート。ゴール隅へと素晴らしい弧を描いたが、これもジュリオ・セーザルの好セーブに阻まれる。ボール支配率はバイエルンが70%に迫ったものの、インテルの術中にはまりなかなか同点弾は生れなかった。
試合を決定づけるゴールが入ったのは後半25分。センターライン付近から出たパスをミリートが受けてゆっくりとしたドリブルでPA内に侵入する。ミリートは一瞬フェイントを入れDFを置き去りにし、シュートのタイミングを作る。そして冷静にGKの動きをよく見てファーサイドへボールを流しこんだ。カウンターから再びゴールを奪い2点のリード。試合を完全に掌握したインテルが、一気に欧州王者の座に近づいた瞬間だった。
2失点後のバイエルンはちぐはぐな攻撃が続いた。28分にはこれまでCLで大活躍をみせていたイビチャ・オリッチをベンチに下げマリオ・ゴメスを投入。苦境でも決して諦めない姿勢を見せていたオリッチのプレーで決勝まで駒を進めたバイエルンだったが、自ら躍進のキーマンを決勝の舞台から降ろしてしまった。これまで見事な攻撃サッカーを披露してきたルイス・ファンハール監督も、インテルの堅守の前に白旗を上げざるを得ないという状況だった。その後、バイエルンが決定機をつくることはなく、モウリーニョインテルが見事なゲームマネージメント能力を見せつけ2対0で勝利、45年ぶりに欧州王者となった。終始ボールを持たせたインテルだったが、鉄壁の守りでバイエルンを圧倒した。
この試合のキーマンは、間違いなくモウリーニョだった。ロッベン封じに策を練るだけでなく、徹頭徹尾、守りに主眼を置いて試合を組み立てた。おそらくCL決勝で勝利してきたどのクラブよりも、ボールを持たずに優勝したことになるはずだ。7割方ボールを持たせても、試合の主導権を奪うことに成功した。これまでポルトガル、イングランドと異なるサッカー文化の下で結果を出してきたモウリーニョだが、今日は見事なまでにイタリアの戦い方でヨーロッパ王座に就いた。決勝前から“CLを制すればレアル・マドリッドの監督に就任する”という噂が流れているが、レアルの本拠地、サンチャゴ・ベルナベウで素晴らしい采配を見せつけた。異なる3カ国のサッカーに対応しながら最高の結果を出してきた現代の名将。CL制覇を置き土産にスペインで磨き抜かれた手腕を披露することになるのだろうか。
(大山暁生)