12日、南アフリカワールドカップグループリーグB第1節がポートエリザベスで行われ、韓国(FIFAランキング47位)とギリシャ(同13位)が対戦した。前半7分にセットプレーからDFイ・ジョンス(鹿島)がシュートを押し込み韓国が先制する。その後も試合を支配した韓国は後半7分にMFパク・チソン(マンチェスター・ユナイテッド)が追加点を奪う。その後、ギリシャは前線の選手を入れ替え反撃に出るも韓国守備陣を最後まで崩すことはできず、試合はこのまま2対0で終了し、韓国が貴重な勝ち点3を獲得した。

 攻守に渡り04年欧州王者を圧倒(ポートエリザベス)
韓国 2−0 ギリシャ
【得点】
[韓] イ・ジョンス(7分)、パク・チソン(52分)

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 02年日韓大会でベスト4入りした韓国も、地元開催以外の勝ち星は06年ドイツ大会での1勝のみ。まずは南アフリカで勝ち点3を積み上げたいところだ。対するギリシャは94年アメリカ大会以来2度目の出場となる。アメリカではグループリーグ3試合で1ゴールもあげることができず3連敗。その後EURO2004を制し欧州王者にまで上り詰めたものの、ことW杯に関していえば、まずは初ゴール・初勝利を目指したい。

 最初に決定的なチャンスを迎えたのはギリシャだった、立ち上がり2分、右サイドからのコーナーキックをゴール正面で待っていたのはMFヴァシリオス・トロシディス(オリンピアコス)。完全フリーの状態で足元にボールが来たが、シュートは枠を大きくゴール右に外れる。マークがしっかりしていなかった韓国DFの隙をついて、ここは決めたいところだった。

 同じようなチャンスが韓国に訪れたのは7分。左サイドを駆け上がったDFイ・ヨンピョ(アル・ヒラル)が倒されフリーキックを得ると、MFキ・ソンヨン(セルティック)が入れたボールに飛び込んだのはイ・ジョンスだった。右足で落ち着いてボールに合わせギリシャゴールを揺らした。Jリーグでも度々セットプレーでゴールを決めてきたイだが、本大会初戦で貴重な先制弾を叩き込んだ。ゴール前に侵入する際、マークについていたFWアンゲロス・ハリステアス(ニュルンベルク)の視界から一瞬姿を消し、うまく相手の背後にポジションをとった。この時点でこのゴールはほぼ決まったも同然だった。最初のビッグチャンスを掴んだ韓国がそのまま試合を優位に進めていく。

 失点を喫したギリシャはロングボールをFWゲオルギオス・サマラス(セルティック)やFWテオファニス・ゲカス(ヘルタ・ベルリン)に収め、攻撃を組み立てようとする。さらにサマラスは左サイドで積極的にドリブルを仕掛け突破を試みた。ただ、それらの攻めは単調な感が否めず、前半15分過ぎからは攻撃パターンに慣れた韓国DFをあわてさせるような場面は少なくなった。

 韓国は早い時間に先制した気持ちの余裕からか中盤でボールを奪うと、細かくつなぎスルーパスを狙った。FWパク・ジュヨン(ASモナコ)やMFイ・チョンヨン(ボルトン)がいい動きを見せ、度々ゴールに迫る。27分にはピッチ中央からパク・チソンが出したスルーパスに反応したパク・ジュヨンが完全にDFを振りきりPA内でシュートを放つ。ギリシャGKアレクサンドロス・ツォルバス(パナシナイコス)が辛うじて左足でセーブし追加点にはならなかったものの、完全にギリシャDFを崩すことに成功していた。

 後半に入っても前半の流れは変わらず韓国ペースで試合が進む。その韓国に追加点が生まれたのは7分だった。ギリシャDFの緩慢なプレーを見逃さなかったパク・チソンがプレッシャーをかけ高い位置でボールを奪う。するとそのままゴール前までドリブルで突破を試みる。DF2人に囲まれながらも、パクは落ち着いてGKの動きを見てシュート。ボールはゴール右隅に吸い込まれ、韓国がギリシャを突き放した。素早くプレッシャーをかけたのみならず、奪ったボールをそのまま持ち込みシュートを確実に決めるあたり、欧州の大舞台を何度も経験したパクのプレーは今日のメンバーの中では一段上にいた。

 その後、ギリシャは不調の攻撃陣を3人交替し反撃の姿勢をみせる。対する韓国はしっかりと守ってカウンターから速攻をしかける。残り15分を切ってからはお互いに惜しいシュートを放つ場面もあったが、ロスタイム2分を過ぎても互いにゴールを奪うことはなく2対0で韓国がギリシャに完勝した。パク・チソンは02年日韓、06年ドイツ大会に続き3大会連続でゴールを決めたことになる。ギリシャは初得点を決めることもできずW杯4連敗を喫した。

 アルゼンチンが頭ひとつ抜けているグループだが、韓国が流れをつかめば状況はわからなくなる。パク・チソンをはじめ多くの選手が欧州リーグでレギュラー級の活躍をしているため、格上相手でも物怖じすることはない。アジアの虎が躍進できるかは、次戦のアルゼンチン戦にかかっている。そこで勝ち点を1つでも積み重ねられればベスト16入りへ視界は一気に開ける。

(大山暁生)

【韓国】
GK
チョ・ソンリョン
DF
チョ・ヒンヨン
イ・ジョンス
イ・ヨンピョ
チャ・ドゥリ
MF
キム・ジョンウ
キ・ソンヨン
→キム・ナミル(74分)
パク・チソン
イ・チョンヨン
→キム・ジェソン(90+1分)
FW
キム・ギフン
パク・チュヨン
→イ・スンヨル(87分)

【ギリシャ】
GK
ツォルバルス
DF
パパドプーロス
ヴィントラ
セイタリディス
トロシディス
MF
ツィオリス
カラグーニス
→パツァツォグル(46分)
カツラニス
FW
サマラス
→サルピンギディス(59分)
ハリステアス
→カペタノス(61分)
ゲカス