11日に開幕した南アフリカワールドカップはケープタウンでグループリーグA第1節が行われ、ウルグアイ(FIFAランキング16位)とフランス(同17位)が対戦した。試合開始から左サイドを起点に攻撃を組み立てるフランスとツートップにボールを預けゴールへの糸口を掴みたいウルグアイが攻守の切り替えが早いゲームを展開する。前半は無得点のまま折り返すと、後半は両者ともに決め手をかきこう着状態のまま試合は進む。ウルグアイが残り10分で退場者を出すとフランスが一方的に攻める展開となったが、必死で守るウルグアイ守備陣を破ることはできず、試合はスコアレスドローのまま終了した。さきに行なわれた開幕戦とともにグループAは2試合ともに引き分けスタートとなった。

 ウルグアイ、退場者出すも勝ち点1もぎ取る(ケープタウン)
ウルグアイ 0−0 フランス

全64試合詳細レポートと豪華執筆陣によるコラムはこちら

 試合開始直後からフランスは左サイドでチャンスを作った。FWフランク・リベリ(バイエルン・ミュンヘン)がボールを持ちサイドを駆け上がりゴールへの可能性を感じさせた。フランスが最もゴールに近づいたのは前半7分。リベリが相手DFをかわして左サイドを突破すると、低く鋭いクロスを上げる。GKとDFラインの間に通したボールにFWシドニー・ゴフ(リヨン)が合わせる。しかしボールは足にヒットせず逆サイドへ抜けてしまう。完全にフリーで抜け出しただけに、ここは決めておきたかった。結果的にこのプレーでゴールを奪えなかったのがフランスにとっては痛かった。

 対するウルグアイはリベリを起点にさせまいと、前半途中から左サイドにボールが入ると必ず2人でリベリをマークし自由を与えない。攻撃面では前線のツートップがいい距離感を保ってボールを収める。ディエゴ・フォルラン(アトレティコ・マドリッド)は中盤に下がりながらボールを触り、ルイス・スアレス(アヤックス)はトップに張ってフォルランなどから出てくるパスを受け、ゴールへ向かう動きを見せた。ウルグアイがチャンスを作ったのは前半15分。フォルランがワンツーで前を向くとPA少し外から強烈なシュート。GKウーゴ・ロリス(リヨン)が素晴らしい反応を見せボールを弾き返したが、1点が入ってもおかしくない展開だった。

 お互いに自分たちの色を出しつつもゴールはなかなか決まらない。細かいパスを繋ぎゴールに向かうフランスと縦へのボールでツートップにボールを預けたウルグアイだが、お互い無得点のまま前半を終了した。

 後半に入り、ウルグアイはフリーキックから何度かチャンスを迎える。3分はフォルランが直接狙うもGKの正面を突く。さらに18分、左サイドからまたもフォルランがゴール前にボールを入れるとスアレスがヘディングで飛び込むが、惜しくもボールにヒットせず。セットプレーから活路を見出し、フランスゴールに迫る。

 ウルグアイに最大の決定機が訪れたのは後半27分だった。左サイドからMFアルバロ・ペレイラ(ポルト)が入れたロングスローをスアレスがヘッドで落としフォルランが右足でシュート。鋭い弾道を残したシュートはわずかに枠の左に逸れていく。このチャンスを逃がすとスアレスはベンチに下がり、その後ウルグアイの攻撃の勢いは衰えてしまう。

 フランスはサイド攻撃が機能しなくなると、ニコラ・アネルカ(チェルシー)にボールを集めるがゴール正面で前を向くことができない。状況を打破するためにMFヨアン・グルキュフ(ボルドー)やリベリが強引に遠目からシュートを狙うも、枠をとらえられず。そこでレイモン・ドメネク監督は25分にティエリ・アンリ(バルセロナ)、フロラン・マルーダ(チェルシー)を投入する。しかし、それでもなかなか決定機を作ることはできない。

 試合の流れを一気に変えるプレーが起きたのは後半35分だった。途中出場のニコラス・ロデイロ(アヤックス)がバガリ・サーニャ(アーセナル)への悪質なタックルで2枚目のイエローカードをもらい退場となる。10人になったウルグアイは残り10分を守りぬく選択をし、フランスはかさにかかって攻撃を仕掛けた。38分にはゴブに替えてアンドレ=ピエール・ジニャク(トゥールーズ)を入れ、右サイドからチャンスメイクを試みる。さらに残り5分を切ると右サイドからのコーナーキックが続く。それでもウルグアイの守備陣はほころびをみせない。ロスタイム3分間もフランスがボールを持ち続けたが、アンリの放ったフリーキックもウルグアイの壁にはね返され、結局スコアレスドローで試合は終った。

 ウルグアイにとっては数的不利をはね返し勝ち点1を手にした格好だ。フランスは攻めながらもゴールを奪えずフラストレーションの溜まる結果といえよう。開幕戦とともにグループAは引き分けでの幕開けだ。16日(水)、17日(木)に行なわれる第2節で勝ち点3を上げたチームが決勝トーナメントへ王手をかけることになる。

(大山暁生)

【ウルグアイ】
GK
スストラ
DF
ルガーノ
ゴディン
ビクトリーノ
MF
A・ペレイラ
M・ペレイラ
ペレス
→エグレン(86分)
アレバロ
ゴンザレス
→ロデイロ(62分)
FW
スアレス
→アブレウ(73分)
フォルラン

【フランス】
GK
ロリス
DF
ギャラス
アビダル
サーニャ
エブラ
MF
トゥララン
グルキュフ
→マルーダ(74分)
ディアビ
FW
リベリ
ゴブ
→ジニャク(83分)
アネルカ
→アンリ(70分)